野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

森の中の美術館

こんにちは。

こちらでも秋の声がころころと聞こえてきそうなほど澄んだ空が見られます。

少しまるくなってきた月は、南の空を渡り次第にゆっくりと沈むようになりました。

お元気でいらっしゃいますか。

前回は、詩と書にたくさんのご感想をいただきありがとうございました。

詩人の今村欣史さんと 父の写真に、感動しましたとのコメントをたくさんいただいたことを 伝えさせていただきました。

皆さまに感謝いたします。f:id:snow36:20211007104202j:image

日本海側の静かなところで過ごしたくなって出かけてみました。先月末のことです。

お宿は、時々お世話になるところです。以前のブログでご覧くださった方には、繰り返しになりまして。

週末のよい季節でしたが、ほかのお客はひと組だけでした。

f:id:snow36:20211012111406j:image部屋の外の芙蓉。虫食いの葉の先には芋虫くんが…🌿

 

女将さんが気を遣ってくださって、舟盛りには秋が深まるとまた旬が巡ってくる鰆やうすばはぎ、剣先イカ、マグロなどが盛り込まれています。

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右奥にちらっと見える鰆の身は ほのかに赤みを帯びた澄んだ色。長らく白身のお魚と思っていましたが、その身からは じんわりと広がる濃い旨みを感じます。 今更ですが 鰆は赤身魚(青魚)だったのですね。

f:id:snow36:20211013020924j:imageうすばはぎの揚げ出しやアワビのお刺身に但馬牛、ノドグロの塩焼きと、目も楽しませていただきました。 

仲居さんが「冬になると けあらしが出ます」と、昏くなってゆく湾の向こうの霞んだ海岸線を見て言われます。けあらしは 北海道だけの言葉と思っていました。 歳だけは取りましたが、知らないことは まだまだ多いようです。
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波の静かな夜。日暮れた後もイカ釣り船の灯りは見えませんでした。

翌朝 女将さんにまた伺いますねと感謝をして 京丹後の久美浜へと参ります。

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道路沿いの9月の末の久美浜の梨は そろそろ終わりの頃でした。それでも時折、実を紙でくるまれた梨の木を見かけます。

道沿いの田んぼの稲は、まだほのかな緑を含んで穂を下げていました。今頃はもう収穫も終わっていることでしょうね。ナビに従い秋の気配の山へと進みます。

 

和久傳「森の中の家 安野光雅館」は 谷工業団地の看板が立つ角を入ります。

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こちらは、 京都の料亭 和久傳さんが、誕生の地 久美浜に一から美しい森を造られ 風景に溶け込むような黒い杉板の美術館を建てられた場所とのことです。

ここは、安野光雅さんの作品を集められた美術館です。

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美術館は久しぶりです。最後に美術展を観たのは、去年の今頃の京都伊勢丹キスリング展だったとしみじみ思い返しました。

 

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安藤忠雄さん設計の森の中の美術館。

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12月6日まで 追悼展「イギリスの村」をされているとのことでした。

中では 写真を撮れませんので、パンフレットと絵葉書の写真と、拙い説明だけになって申し訳ありませんが…

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「絵は音楽…」と語られる安野さんの文が。

所々に、自筆の文章が架けられています。

「別れにはバッハの無伴奏チェロ組曲と人しれずこそ思ひそめしか」

百人一首本歌取りの歌と気づくと とても楽しく思いました。館内には 静かにチェロの曲が流れています。

f:id:snow36:20211015004554j:image「森の中の家」のパンフレット表紙の絵。月に照らされる森の中 吠える狼。鹿に木菟。

 

森の前に広がるメドウ。

草原に揺れる花は、ポピーでしょうか。紙の肌の凸の上に つつじ色の絵の具が触れるように小さな点に描かれています。絵葉書にもなっていませんでしたので、ご覧いただけなくて残念です。水彩の優しい色。

絵の右下のプレートに、旅する安野さんの言葉が添えられているのを読むのも楽しい。

下は、追悼展のパンフレットと絵葉書の絵です。

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リバプールの風景には、「ビートルズの故郷だから行ってみたかった」とのお茶目なひとことが。

 

ガラスケースの中には「大草原の小さな家」の原作「小さな家のローラ」の下書きのような絵が収められていました。

大自然の中で暮らす家族、子どものローラやメアリー、キャリーの姉妹の無邪気な笑顔や番犬のジャックがシンプルに生き生きと描かれています。 

安野さんが、イメージを作るためにマッチ棒を組んで再現された ローラたちの家の小さな模型も飾ってありました。

川にいる生き物に混ざって、ぽってりとしたオオサンショウウオの絵。

隣りに置かれた「赤毛のアン」の明るい表情が愛らしいです。

 

f:id:snow36:20211015004251j:image絵本のための絵がなんとも幸せそうで、観ていると楽しくなります。

会場に飾られた最後の絵の傍に 栗色の椅子が置かれていました。 画伯が絵を描く時にいつも使われていたとのことでした。素朴な椅子でした。

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安野光雅さんは 卓れた文筆家でもいらっしゃるのですね。

一階のチケット売り場が ミュージアムショップも兼ねていて、絵葉書と文庫本「片想い 百人一首」を買ってみました。

素晴らしいエッセイ集でした。本の感想はまた次の機会に。

 

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同じ敷地に 工房レストランがあり、早めのお昼をいただくことにしました。

レストランの其処ここに 森の植物が花瓶に挿してありました。

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うずみ豆腐と丹後のお野菜 お米は「コウノトリ育むお米」とのことで、柔らかな豆腐や 小さく刻まれた野菜の食感、薄味のお出汁がこころよく思います。

お茶は こちらで育つ桑で作られた桑茶とのことでした。やんわりとしたドクダミ茶のような味が温かくて飲みやすく思います。

レストランのMORI (モーリ 桑の樹・イタリア語) のネーミングは、安野さんともお聞きしました。

並べてある調味料から、生姜糀を少し入れてみました。穏やかに味の変化を感じられて美味しいです。

f:id:snow36:20211007101138j:image和三盆山椒ソーダ。甘さ控えめのソーダと一緒に口に入る山椒の実が ほどよくぴりりと。

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帰りに、木下酒造さんに寄って 玉川を買って帰りました。 がっしりとした木造の酒蔵とお店。

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こちらもお宿と同じく、以前 ブログに書かせていただいたことがあります。

 

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看板猫さんが お出迎えしてくれました。まず私にもお愛想をしてくれた後、おもむろに連れ合いの方へ歩いて行ってからのポーズが可愛すぎます。

うちでは魚しか飼っていませんので、不思議な格好だなぁと 我が家のぽんすおじさんは、しっぽ近くの背中を撫でていました。

 

木下酒造さんの「玉川(たまがわ)」は、お燗が美味しいお酒です。

飲むほどに豊かな表情を見せてくれる生きているお酒 玉川は、お世話になるお宿で出されて知り ファンになりました。

この度は、お薦めの「純米酒 ひやおろし」も買ってみました。

f:id:snow36:20211011162141j:image左から「ひやおろし」、「生酛純米コウノトリラベル」、3年以上熟成の「ビンテージ」

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ひやおろしは、この時期の贈り物。

ほんのりと実りの稲穂の黄金色を帯びるお酒は、口当たりの良さと香りがまず初めに。まもなく くっきりとした辛口へと収斂していく変化の楽しみがあります。 きりとした印象のお酒でした。

杜氏さんは、イギリスの方。フィリップ・ハーバーさんとおっしゃっる方だそうです。ハーバーさんによって江戸時代のお酒が再現されていて、冷蔵庫に琥珀色のお酒の瓶 Time Maching Vintageが並んでいました。f:id:snow36:20211004182405j:image

以前 許可をいただいて撮らせていただいた写真。美しいお酒です。

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今日もご覧くださいましてありがとうございました。

 

この度と次回の書は、10月1日から10日まで 元町の兵庫県民会館アートギャラリーで開かれていた「名筆研究会展」の先生方の作品からご覧ください。本当に申し訳ないことに私は都合で伺っておりません。(以下は妹が撮って来てくれた写真です)

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「夕雲の歌
赤い冬の夕陽は

濛氣に滲んで

その色いよいよすさまじく

満目の自然また

熱なく燃えて  富田砕花の詩抄」         名筆研究会会長  井元祥山先生 書

 

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「色彩は生まれる

光と闇の 相互貫通から  サム・フランシスの詩」        六車明峰先生 書

 

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ふらんすへ行きたしと思へども

ふらんすはあまりに遠く

せめては新しき背広をきて

きままなる旅にいでてみん。

汽車が山道をゆくとき

みずいろの窓によりかかりて

われひとりうれしきことをおもはむ

五月の朝のしののめ

うら若葉のもえいづる心まかせに。

   朔太郎の詩  瑛子かく」廣田瑛子先生 書

 

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「全世界に行き すべての者に福音を宣べ伝えなさい マルコ伝」村上翔雲 書 パンフレットより

 

コーヒーカップの耳から…

こんにちは。

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ご無沙汰していた間に、ギボウシの花が咲いていました。ギボウシと言えば、大きな葉のウルイ(酢味噌和えなどですね) が浮かんできてしまいます。

 

以前 紫陽花の庭の方からいただいた寄せ植えの盆栽で ギボウシの前のイワヒバや 右のイワヤツデも少し育っています。

しばらくの間 愛らしい薄紫の花に和ませてもらいました。

 

*🌾*

新米の季節になり いつもお世話になる兵庫県多可郡加美区の農家さんに連絡をしてみますと、

ご主人が病気になられて 田んぼを続けられなくなったとのことでした。 

たいへんですね。どうぞお大事になさってください… と申しながら、我が家と親戚の一年分の玄米16袋の手配をどうしたものかと思いました。

普段から 住まいのまわりの田園の写真を撮らせていただいているのに、なぜ どうしたものかとなるのか…。

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ある年に、出荷の都合で足りなくなり 他所からお米を買うことになって (我が家にも田んぼが一反ありますが 専業の方にお任せしています) 、伝手を頼りに加美区の農家さんにお世話になりました。

より山深い静かなところで育ったお米は味わい深く、こちらのお米との食べ比べも楽しいものでした。

どちらもとても美味しいと思いましたが、家族は 加美区のお米を食べたいと言うので それから加美区のお米を買わせてもらうことになりました。

この度は 急なことでしたので、知り合いに さらに知り合いの方を紹介していただいたり、娘の同級生の親御さんに 売っていただけないかとお願いしたりして何とか買うことができました。

娘にお米の手配をしてもらう日が来るなんて 思いもよらないことでした。

f:id:snow36:20210926122332j:imageいただきに伺ったお宅の近くの風景です。我が家の辺りも変わらなく見えますが、水も空気もたいへん美しいところです。

友達の家の残りて故郷は花ぞむかしの香に匂ひける

         安野光雅 「片想い百人一首」ちくま書房  本歌取りの歌。

先の農家さんのように、私たちの方でも 親戚の家のまわりでも高齢化が進み、田んぼの雑草を刈るばかりのところが増えてきています。

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今日の父の書は、いつもとは違う形でご覧ください。

妹から 今村欣史先生の詩を 父が書かせていただいた初見の作品が出てきたと連絡がありました。

日頃から 父の作品整理をしてくださっている名筆研究会の先生方のお一人、六車先生が見つけられて、詩の作者 今村欣史さんの元へ届けてくださいました。感謝しております。

 

詩人の今村欣史さんは、西宮市で喫茶店「輪 (わ) 」を今年の春まで経営されていらっしゃいました。

今村さんや奥さまの気さくなお人柄から、多くのお客に愛され長く続いたお店とお聞きしています。(私も一度伺ってブログに書かせていただいたことがありました)

この詩が収録されている今村欣史さんの詩集 「コーヒーカップの耳」は、「輪」のカウンター越しに交わされる マスターの今村さんと常連さんたちとの 飾らない笑いや涙の物語です。

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聞き書きではなく、これらの詩は 常連さんおひとりおひとりの人生の言葉そのもので、

読み始めると、その臨場感に ふたつほど離れたスツールに座って聞いている「輪」のお客のひとりとなった気分になっていきます。

これからご紹介します詩は、若松さんとおっしゃる常連さんの心。

父も 何度も書の作品として書かせていただくほど惹かれた詩でした。

始めの一部分だけを 書にさせていただいております。(しかも省略もあり 字も変えた箇所があることに、今気づきました。今村さん 本当に申し訳ありません)

 

前置きが長くなりました。

皆さま どうぞよろしくご覧ください。

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「亮介 今村欣史 詩抄

俺の息子 卒業式の五日前に死んだんよ。

何で俺みたいな者に あんな子がおったんやろ。

今でも不思議な気がするんよ。

亮介言うんやけど 一歳の時 初めて手術したんよ

心臓の。 そやけど治らん言われた。

五歳の時にも手術して その間に頭も。

病院の付き添いは母親よりも俺に来てくれと言うんよ。

別に何してやる訳でもないのに そばにおるだけで喜んで。

そやけど辛(つろ)うて見とれんやった。

点滴の痕やらが痛々しいて。

生まれた時からそんなんやったから

本人はそれが普通やったんやろね。

痛い 辛い 苦しいゆうことは一言も言わんやった。

かえって親の俺に気い使(つこ)うて・・・」

「亮介 若松さん」コーヒーカップの耳   朝日新聞出版 今村欣史 詩 村上翔雲 書

 

回想する言葉から伝わるお父さんと闘病する子どもさんとの情愛に、尽きることのないお父さんの哀しみが重なって参ります。 静かな旋律のように感じられます。

勝手ながら、今村さんのブログをお借りしました。

心が忙しい日 - 喫茶 輪

blog.goo.ne.jp

拙い私のブログにご協力くださった今村欣史さんに感謝いたします

 

皆さま 今日もご覧くださいましてありがとうございました。               野の書ギャラリー

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コウノトリに会いに行く

こんにちは。

f:id:snow36:20210912140719j:image背の高い酒米 山田錦が実り始めています。

数日前の晴れた日に歩いた時の様子です。吹く風が軽く感じられました。

お元気でいらっしゃいますか。


f:id:snow36:20210913180450j:imagef:id:snow36:20210913180448j:image満開の小さなニラの花がかわいらしいです。

こちらでも 夜になると薬師堂から鈴虫の鳴き声が冷えた空気に染み入るように聞こえるようになりました。

 

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田んぼの写真が続きまして。これは 兵庫県豊岡市祥雲寺での写真です。

先月 久しぶりに時間ができたので、コウノトリを見に出かけました。よろしくおつきあいくださいね。

 

コウノトリの郷公園(こうのとりのさとこうえん)」は、豊岡市祥雲寺と言う地区の田園の中にあります。

1971年(昭和46年)に最後の野生の一羽が怪我で死んだことにより日本から絶滅したコウノトリを 歳月をかけて繁殖させて再び自然へ帰すことを続けておられる施設です。

同じ敷地に 兵庫県立大学の大学院があり、地域資源マネジメントについて研究をされているそうです。

豊岡市から日本海へ流れ込む 円山川(まるやまがわ) のある豊岡盆地では、今年 野外で繁殖して巣立ったコウノトリは 13カ所で26羽とのことで、

今年の6月には淡路島でも巣立ちが見られたとも聞きました。

 

自然の中で暮らすコウノトリに偶然に出会うのは、まだまだ難しいことですが、こちらでは放されて暮らす様子を見ることができますので、日本海側へ出かけた帰りなどに時々立ち寄らせてもらいます。

コウノトリの郷公園に造られたビオトープで餌を摂る姿は シラサギ(ダイサギ) に似ていますが、かなり大きく感じます。

本来は、あまり警戒しない鳥なのだそうです。運が良ければ近くで見られるようです。

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実際に飛んで来ています…  写真に撮ると小さくなりまして。

 

館内では、来場者のために コウノトリについて説明を受けながら場内を案内してもらえる見学ツアーがありました。

ビオトープやため池が見渡せる広いテラスの前に10人ほどが集まり、中には小学校低学年くらいの男の子もいました。皆さん 自然と距離を取って立ちます。

 

お話でお聞きしたのは、空を飛ぶ際に少しでも体を軽くするために、鳥は骨の中が空洞になっていること。

ヨーロッパのコウノトリ(シュバシコウ・朱嘴鸛) は、クチバシが赤く、体も少し小さいこと。

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左がヨーロッパのコウノトリですね。

日本のコウノトリは、目のまわりが赤くて目が鋭く見えました。

他にもコウノトリが、どこでいつ何羽巣立ちをしたかなど 工夫された表が張られてあったのが丁寧でとてもわかりやすかったです。

コウノトリは、一日に 500gを食べるそうで、こちらでは田んぼやビオトープから自分で探して食べたり、アジやドジョウなどを飼料として与えているとのことでした。

動物性のものを食べますとのお話を聞いていますと、「ヘビ、セミ、カエル…」と男の子が小声で言いに来ます。

ちょっと遠慮がちなのがかわいらしいです。

「その通りです☺️ 」と説明してくださる方がにっこりされます。

このあと、このような感じのやりとりが 男の子と説明される方との間で 何度かあり、おとなばかりの場がとても和みました。

一生懸命にメモを取られていたお母さんが「これ!」と注意されていましたが、お子さんの詳しさに他の方も驚いておられました。

f:id:snow36:20210916093335j:imageガマズミ

コウノトリは、江戸時代までは日本で普通に見かけられたとのことでしたが、

絶滅した理由としては、明治時代以降に狩猟の対象になったことと、巣をかけるアカマツの木が 戦時中に多く伐採されたこと。

稲作などで農薬が使われるようになり、使用が禁止される以前に農薬に含まれていた水銀で 餌となる生き物が水田から絶えて餌が無くなった上に、コウノトリの体にも影響が出たこと 。

また、田んぼを踏み荒らす害鳥として駆除の対象にまでなっていたとのことでした。

敵らしいものがいなかったから、長らく日本の空を飛んでいたコウノトリ

仕方のないこともあったでしょうけれど、どの理由もすべて私たち人間から起こったことなのですね。

 

豊岡市に僅かに残った数羽とロシアからもらい受けた数羽から始まった繁殖は苦労の末に成功して、今年の7月末の時点では、日本中で257羽(うち26羽が豊岡で生まれた) が確認されているとのことでした。

今年は、関東の栃木県の渡良瀬遊水地でも、巣立ちが確認されたとのことでした。

ロシアや中国にいるコウノトリと同じ種が日本で見られるもので、このコウノトリは世界では 3,000羽ほどいるとお聞きしました。

 

屋内での説明の後、私たちが初めに行ったビオトープへ移って説明をされるとのことでした。 私たちは そこから離れて

1965年(昭和40年) 当時の保護センターの方々が、繁殖のために捕獲した野生のコウノトリに「いつか必ず野に帰してやるから」と約束して飼育し始めたという「約束のケージ」を再現されたドーム型のケージのあるところまで歩いてみました。

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途中、高いところに作られたコウノトリの巣塔を見ました。 

f:id:snow36:20210915232713j:imageこちらは、建物の入り口のそばに置いてありました。直径2mはあるそうで、実物大の巣だそうです。

f:id:snow36:20210915233002j:image道沿いの疏水に 小さなハグロトンボが。よく見かけるトンボですね。緑深い気持ちのよい散歩道が続いています。

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f:id:snow36:20210915233208j:image湿地が広がっています。

f:id:snow36:20210915233405j:imageドームのこちら側から向こうは、コウノトリの飼育場のために立ち入り禁止区域になっていました。
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f:id:snow36:20210915233402j:imageコウノトリは、30年以上生きるのだそうです。

 

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f:id:snow36:20210913175712j:imageまたもや不鮮明ですみません。雰囲気だけでもお伝えできましたら。

こちらは コウノトリの郷公園のエントランス近くの祥雲寺の田んぼにいたコウノトリです。冒頭のものと同じ鳥の写真です。

帰りの車の中からスマートフォンで動画に撮ったものを切り取りました。

端から端まで2mある翼を広げた悠揚とした姿で低く飛ぶ様は、近くから見るとかなりの迫力がありました。コウノトリは鳴かない鳥なのですね。

祥雲寺一帯の田んぼでは、コウノトリのためにも これからのためにも 無農薬か それに近い環境で稲を育てておられるそうです。

若い頃に田んぼや畑仕事をしていた義母から「無農薬で田んぼをしたら どんなに良いかと思うけど、お金や手間が掛かってなかなかできないことやと思う」と聞いたことを思い出します。

こんなに大きな鳥が、人家近くを好んで巣を掛けて自由に暮らしていた時代。絶滅した生き物を再び元に戻すことの長く続くご苦労を思います。

幸せを運ぶと言われるこの鳥が、これからも私たちの近くで見ることができるようになりますように。

 

f:id:snow36:20210913180003j:imageセンニンソウの白い花。季節ですね。家の近所を歩いていると、黒豆畑の仕切りのネットに絡みついて咲いていました。 

畑の中でしたので、先週の道普請(村の一斉の雑草刈りです) を免れたようです。日本のクレマチスの原種と言われながら、野に咲く花は 度々雑草になってしまいますね。今はお彼岸で曼珠沙華が満開です。

また長くなってしまいまして。

おつきあいくださいまして、ありがとうございました。 雨台風 小さく過ぎてくれますように

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「波乗りの鷗(かもめ)のむかし渡海僧 三樹彦の句」(200×300m/m)    伊丹三樹彦 句


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「現し身に地上逆風 六十年 三樹彦の句」(240×340m/m)   伊丹三樹彦 句    村上翔雲 書

鷺草に涼む。一羽の雛に。

こんにちは。

9月が近づき ツクツクボウシが鳴く頃になりました。

日が沈んだ後の一日の最後の明るみの中、草むらから聞こえてくるのは、コオロギの鳴き声。雨上がりの清涼さからも秋めいた空気を感じます。

先日、義父の施餓鬼供養も無事に終えて ほっとしています。

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お元気でいらっしゃいますか。

前回からかなり開いてしまいましたが、連れ合いのことでは お気遣いのコメントをたくさんいただきましてありがとうございました。

しばらく体調の浮き沈みをしていましたが 次第に元気になってきまして、いただいたコメントに本人もたいへん感謝しております。

 

 

8月に入った頃、小さな盆栽の鷺草が 白い花を咲かせました。f:id:snow36:20210824152620j:image

7月の終わり頃に、蕾をつけた茎がするすると伸びてきました。

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f:id:snow36:20210813141259j:image蕾を見ると嬉しくなります。

低気圧の影響で雨が続くとの予報を聞いて、家の中に入れようと鉢を手に取りましたら、ひんやりとした夜の空気の中で 微かに優しい香りが漂ってきました。近づいてみると、しっかりと個性の立った香りがします。f:id:snow36:20210824152727j:image

何年も我が家にありながら、鷺草が香ることを知りませんでした。

 

この香りを なんと表現しましょうか。

ランの仲間らしい甘さがありながら 花の姿に相応しい洗練された和の優美を感じます。 控えめに香る小さな花が咲いたことを しみじみと嬉しく思います(去年は咲かなかったのです) 。

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🌿

仕事で使う倉庫は、家から少し離れた所にあります。

倉庫へ行った時に、道向かいのお宅の方で ばさっと音がして、何かが ぴぴぴと鳴きました。

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遠目なのを拡大したので見えづらくなってすみませんが、幼いです。

きっと近くに親鳥がいるから 近づき過ぎないようにしないとと思いました。
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柔らかそうな黒いつばさ、胸の羽毛もふくふくと愛らしくうずくまっています。クチバシのまわりはまだ黄色いです。

見ているだけで、温かい体温まで感じられそうです。

巣から落ちたのかと 屋根の内側を見上げても巣は見当たりませんでした。

辺りを見回すと、そばの電線に カラスが留まるのに気づきました。3羽いました。そこから動こうとしません。

ツバメが、2羽 飛んで来ました。

そのお宅の奥さんが出て来られて、

「昨日 孫がボール遊びしとったら 巣に当って壊れて 1羽は死んでしもうたのよー。 」と話されました。 「ああ、そうなんですねー。」

「親鳥がまわりを飛びよるんやったら、触らん方がええね。」 「そうですね。」

近づき過ぎないと言いながら、その辺りにいると親鳥も来られないということですね。

カラスが気になりながら倉庫に戻りかけると、

一緒に倉庫に来ていた連れ合いがやって来てツバメの雛に気がつき、まさかの❗️ 手のひらを伸ばしました。

乗ってくるかに見えましたが、雛は はたはたと飛んで藪に逃げて行きました。

すぐに親鳥たちが後を追っていきます。 

 

雛が襲われてしまうかもしれないと思うと、心穏やかでいられなくなっていました。

自分でもいかがなものかと思いますが、つい、幼稚園から小学校の低学年ぐらいの子どもを連想してしまうのです。

目の高さほどを懸命に、でも 頼りなく飛んで行くツバメを はらはらしながら見送っていました。

山あいに住むようになって23年が経ちますが、自然に従うのは難しいこととつくづく思います。

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6月頃でしたか、1羽のツバメがたいへんな勢いでカラスを追い回しているところを見かけました。

鋭い鳴き声で威嚇しながらの直線的な追飛は どこまでも長く続きました。

ツバメの命懸けの怒り。カラスも私もまた 命を食べないと生きていけなくて。

 

🌿🌿

長い雨の止み間、青空の日曜日に 終わりかけの鷺草を撮りました。

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花は また来年ですね。

豪雨や長雨が続いたために被災された方々にお見舞い申し上げます。

コロナや大雨の災害、いろんなことが早く鎮まりますように。

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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「九月 四国巡礼の旅へ 鴉とんでゆく 水をわたらう 山頭火 句」(160×123m/m) 草木塔  種田山頭火


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「行乞途上 草にすわり飯ばかりの飯 山頭火 句」(160×123m/m) 草木塔 種田山頭火


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「朝露しっとり 行きたい方へ行く 山頭火 句」(160×123m/m) 種田山頭火 句  村上翔雲 書

 

 

 

昨日の花

こんにちは。

お元気でいらっしゃいますか。ご無沙汰しております。

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ひと月前から、拝見したブログにも 私のブログにいただいたコメントにも、私がつけた通りにスターがついていないようでして、

ちゃんとついていることもあれば、中途半端にしか反映していない時も多いことに 遅蒔きながら気づきました。

本当に申し訳ありません。 ここ2、3日は ようやくトラブルがなくなったように思います。

 

🎐

暑くなりましたね。

日中、こちらでチイチイゼミと呼ばれる 4cm足らずの大きさの ニイニイゼミが高い声で鳴いています。

夜 お風呂へ行こうと外へ出ると、外灯に 何度も突撃しては落下を繰り返していました。(我が家のお風呂は これといった理由もありませんが、玄関から出てすぐの別棟の中にあります。と言うと、露天風呂かと 友人にからかわれます。ごく普通の家庭用のお風呂です😊)

お風呂から戻って来ると、持っていた洗濯物かごにまっすぐ飛び込んで来ました。 セミは、ふんわりとは飛べないですね。繊細な模様の翅もただ小さくてかわいいです。苦手な方 すみません。

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そっと包むように持つと じっとしています。ちょっとだけごめんね。

写真を撮らせてもらった後は、外の松の木の中に逃しました。

 

風蘭は、梅雨の終わり頃からしばらくの間 白い花で楽しませてくれました。 湿度の高い夜の雨の庭に、南の町をひたすら歩いた記憶を呼び起こすバニラのような芳しい香りが立ち上ります。 

f:id:snow36:20210730181905j:image石に着生したものと、

そこから株分けして樫の木に着生させた株から咲いています。

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写真は、梅雨の終わり頃の写真です。今年は もう咲き終わりました。

 

昼間の日差しの強さには辟易しますが、山の中の我が家の辺りの夜は 暑さの余韻もまださほど感じられません。

雲の合い間に月を認め、虫の声を聞き、星を探しながら連れ合いの作業着などを干して、ささやかな一日を終えます。

過ぎていく毎日は、跡も残らない小さな雨降りのようなものなのかもしれませんが、知らずと心のどこかに織り込まれているものなのですね。

昨日の花の可憐さをふと思う静かな時間を大切にしたいです。

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☂️

2週間ほど前に 連れ合いが持病をこじらせまして、仕事があるからと言うのを説得して病院へ付き添って参りました。 15年来の自律神経の病気は、ほどほどにコントロールができていれば 普段は問題なく過ごせます。

この度は、体調の変化を わずかなことと後回しにしてしまった為に起こったことでした。

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内科の病院で点滴をしていただいた後、主治医のおられる医院へ行きました。

先生はゆっくり時間を割いて最近の様子や仕事のことなどをひとつひとつ聞いてくださいました。

 

🌂

帰りは夜になり 慣れた道にも暗闇がしんと続いていました。

しばらく行くと、接触事故の起きたばかりのところに出遭いました。センターラインもない狭い道の先に 車が2台 不自然な向かい合わせになって止まっていました。 ふたりの人が立っていました。

怪我をした様子も見受けられず、警察などには既に知らせて待っておられるようでした。

私たちにできることは無さそうでしたので、なんとか回れ右をして (本当に不器用です)他の道から帰りました。

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🌙

短いトンネルを抜けて 暗い森の中を通る急な下りカーブを回ったところで 何かが目の前に飛び出して来て 慌ててブレーキを踏みました。ライトの前にはイノシシの子どもが。

カーブでスピードを落として走っていたので当たらずに済みました。 ウリ坊くんは、そのまま道を横切って茂みに走り込んで行きました。

ぶつからなくてよかったね。あの子のお母さんはどうしたんやろね などと ほっとして話す間に、連れ合いが少し元気そうになったことに気づき ようやく気持ちがほどけてきました。 

一度崩れると しばらくは日にち薬ですね。

お天気の話のようですが、人もそうしたものなのでしょう。これからは、もっとゆとりを持って気をつけてあげなくては…。長い一日を終えました。

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🐚

セミやイノシシ、今日は熊まで出たそうでして、田舎の日常の話ばかりで失礼しました。

ちょっとさっぱりとした風景を。

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f:id:snow36:20210727054942j:image東の方に、明石海峡大橋がぼんやりと見えます。
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こちらは、明石市林崎町松江海岸にあるお店からの明石海峡の眺めです。日差しが明るい海岸の路地を進んだ先にあるところです。

若い頃に一度行っただけですが 今も素敵なお店でした。

遠浅の海の向こうに 薄黄色に霞んで見えるのは、淡路島です。

船が列を成すように西へ渡って行きます。 

こちらより東にある須磨からの眺めに慣れた目からは、知らないところの景色に見えて 凪いだ様子の沖の潮の動きが荒々しくさえ感じられます。
f:id:snow36:20210726145655j:image立って櫂を漕いでいるのは、パドルボードというのですね。初めて見ました。

今年もコロナの影響で、海水浴場を開くことは中止となり、遊泳にはある程度制限もあるようですが、浜辺遊び程度なら構わないらしく、皆さん 浜辺近くで寛いでおられます。

とても暑い日で、砂浜が眩しく波は穏やかでした。砂浜は、昔はなかったように思います。

夏休みの昼下がり。窓越しに広がる海を眺める時間も良いものでした。
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こちらのお店には、海の中にいるような設えで有名な女性用のトイレがあります。

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普通に利用できますが、ガラスの中から魚の泳ぐ姿を見るのが楽しい部屋です。昔から人気のお店なので、ご存知の方もたくさんいらっしゃいますね。

 

🐟

今年に入って、より不定期な更新になっていますのに いつもご覧くださることに感謝しております。

ありがとうございます。

お身体大切にお過ごしくださいね🌿

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「日傘の往来で燈籠銘は モルガン・ユキ 三樹彦の句」

モルガンお雪も住んだ「異人山」 当時の灯籠、今も | おでかけトピック | 兵庫おでかけプラス | 神戸新聞NEXT

祇園の芸妓さんの頃に 大富豪ジョージ・モルガンに見初められ、何度も断りながら結婚へと、その後も高い山も深い谷もある人生を辿られた モルガンお雪さん。燈籠とは、須磨 一ノ谷の安徳宮にあるモルガン灯籠のことでしょうか。


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「風見鶏 雲は気儘に離合して 三樹彦の句」


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「大青空 水牛が雲食べたから 三樹彦の句」

 以上 3点 伊丹三樹彦 句  村上翔雲 書

 

 

姫風露の咲く山へ

こんにちは。

熱海の土砂災害、鳥取 島根など各地の被害をニュースで拝見しました。熱海では亡くなられた方もまだ行方不明の方もおられるとのことで、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

どうぞ 一日も早く日常に戻られますように。

 

**

先月始めのことです。用事の合間に回ったところで、野の花の群生を見かけました。近づいてみると ヒメフウロでした。

こちらは、標高820m 奈良県吉野郡天川村洞川です。よろしければ、天川村のサイトです。ご覧くださいね。

http://www.vill.tenkawa.nara.jp/

私の住む場所とは異なる高山の植生の道をひたすら車で進んだ先の山の上に拓けていたところは、清流に沿って細長く伸びて賑わう どこか懐かしい町でした。

急いでいたこともあり、世界遺産 大峯山などの写真が撮れませんでした。歩きながら撮るのは ささやかな野の花。

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たくさん咲いていても、閑けさだけが広がっていくようです。誰も立ち止らない湿った蔭りが 花で仄明るむ場所に変わります。

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中心の見た感じが違いますが、 咲いたばかりの花で5本の葯が花びらに赤く点々と広がっている花と、咲いてからの時間の経過で 真ん中が赤くなった花があるからですね。すみません。見た目だけの適当な説明で…

フウロソウの仲間は小さな花で 2、3日ほどで花は終わり次々と咲くので 種を包んだ赤い実も見受けられます。

 

ちょっと寄り道ですが、ヒメフウロと ヒメフウロソウは、同じ花かと間違えそうな名前ですが、異なる花なのですね。

f:id:snow36:20210707013934j:imageこちらは我が家のヒメフウロソウです。愛らしく咲く姿に嬉しくなります🌿

 

気づくと、ヒメフウロは山上川へ降りる小径や擁壁のあちらこちらで咲いていました。

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f:id:snow36:20210707170059j:imageにおいから、塩焼草とも呼ばれるそうですが、気になるにおいには、気づきませんでした。
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少しだけ咲いていたこちらは 見たことがあるような ないような… 何という植物なのかわかりませんでした。外側の先の尖った5枚は萼でしょうか。

中の丸い花の中心に近づくにつれ淡い色から赤紫色になっていくところなどは 絵のような趣きにも感じられます。 

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後でこれは ナワシロイチゴの花と知りました。小さな赤い実が生るのでしたね。愛らしい姿が目に浮かびます。  教えてくださった方に。いつもありがとうございます。感謝しています🌿

蕾は丸くなって中を守っているかのようです。優しい色合いの小さなお花でした。

 

f:id:snow36:20210708165221j:image写真の右奥に、少し隠れながら縦看板が見えています。

ここ天川村洞川(どろがわ)は、和漢胃腸薬 陀羅尼助(だらにすけ)の里で、商店街には 何軒も「だらにすけ」を扱うお店があります。

こちらの薬としての歴史は、7世紀まで遡って修験道の開祖 役行者(えんのぎょうじゃ)まで辿れるとのことですが、だらにすけは300年の歴史があるのだそうです。

役行者(役小角)、知ったように書いていますが、父が話していたとぐらいしか覚えていなくて、ほとんど存じ上げないのです。 困っておりましたら、この方が まさに今日 こちらの記事を書いていらっしゃいました。

【役行者】せっかんされた葛城の鬼神・一言主神【祇園祭 役行者山】 - ものづくりとことだまの国

開物発事さん 

古代の日本の不思議を 私たちの前にダイナミックに面白くあぶり出してくださいます。この度もとても楽しく拝見させていただきました。いつもありがとうございます。

役行者(役小角)、鬼を自在に使うという伝説もあるそうで 本当に不思議な方だったようです。

どうぞご覧になってくださいね。

 

さて だらにすけですが、以前は 各お店の処方で 小さな丸剤のだらにすけを作られていて、大峯山で修行する修験者の方々などが買って行かれたそうです。

今は、薬事法ができて 一つの工場でまとめて作られていますが、お店では それぞれ古くからの顧客に加えて インターネットなどでも販売しているとのことでした。

だらにすけの成分は、オウバクエキス、ガジュツ末、ゲンノショウコ末の3種と聞きました。

オウバクは、ミカン科のキハダの樹皮。ガジュツは、ショウガ科のムラサキウコン。

ゲンノショウコは、フウロソウ科。この地で元気に咲いているヒメフウロとなんとなく繋がりを感じます。

f:id:snow36:20210708232152j:imageゲンノショウコフウロソウの仲間にはいろんな種類があり、いろんな場所で見かけるゲンノショウコは 素朴さが好きで鉢植えにしています。これは実家に咲いていたものを持って帰って来た我が家の花です。

だらにすけのお話を長く書いてしまいましたが、これは 体調を崩した連れ合いが、どんなところか存じないまま長らく だらにすけを買わせていただいているお店に伺ってお聞きした話なのです。

昔の佇まいを残されたリノベーションも美しいお店は、若いご夫婦が切り盛りされていました。

近くまで来たのでと突然伺った私たちに ご親切にいろんなお話を聞かせてくださいました。

 

昔から修験者が修行に訪れる大峯山から流れる山上川には、ニジマスの群れがあちらこちらに。

網や板などで囲われることなく放されているようでした。f:id:snow36:20210706114928j:image

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さらに車で奥へ進んでみると、養殖のイワナを食べられるお店がありました。先客は 家族連れが2組ほど。初めていただく岩魚(イワナ)は、サケ目サケ科のお魚。

外のベンチに座り、皮がぱりとして 中はしっとりとした身のイワナの炭火焼きをいただきながら 小さく聞こえてくる葉擦れや川の水音に出来るだけ耳を澄ませます。つい食べてばかりになりそうで… おとな気ないですね。

香りもよく野趣に富み とても美味しいのですが、私では同じサケ科の岩魚と天魚(アマゴ)の違いをお話できるほどではなくて…

f:id:snow36:20210706115011j:imageちょっと変なアングルになりました。

お刺身は甘くねっとりとした食感で、続いてじんわりと旨味が広がります。魚の味を楽しみたくて、お醤油はほんの少し。 

色もきれいなニジマスの糀漬けを、持ち帰りにしてもらって 遅い晩酌のおともにいただきました。食べてから写真に撮っていないことに気づきました。

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楽しいひと時を過ごしました。また改めて 散策してみたいところでした。

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今日も お昼過ぎまで強い雨が降り、雷鳴が低く轟いていました。雨の止んだ夕方には 間近の山を靄がゆっくりと流れてゆきました。

こちらでも支流に勢いづいた濁流が流れ込んでいるのを見ると 心穏やかではなくなりますが、明日からは 徐々に晴れ間も出ると聞いています。

どうぞお気をつけてお過ごしくださいね。

今日もご覧くださいましてありがとうございます。

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「岩間の岩魚 みずからを封じおわって沈みこむ 斑紋浮きあがる朱の幻覚  安水稔和の詩」安水稔和 詩


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空海のはるかにここに鰡(ぼら)のへそ 省二の句」岡井省二 句


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「浮鯛や 同行二人となりゐたり 省二の句」岡井省二 句  上すべて 村上翔雲 書

 

 

 

6月の終わりに

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか。

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ご近所のクレマチスです。湧き出るような葉の中から生き生きとした姿を見せてくれます。お花の後にできる造形も不思議で美しいですね。

 

🦑

連れ合いが友人たちと釣りに出かけました。

久しぶりの ぽんす会です。 「ぽんす」とは、こちらの言葉で、釣り好きが昂じた者というほどの意味です。

ぽんす会の面々は、私が勝手にそう呼んでいるのをずっとご存知ないと思います。

長い間の釣りクラブです。いつの間にか それぞれご自身でお魚を捌かれるように。皆さん楽しい方々ばかりです。

お互いに その時々に都合のつくメンバーで出かけているそうです。

去年の7月にもお世話になった豊岡市竹野町竹野浜の船頭さんに 一年ぶりに仕立て船を出してもらいました。 ケンサキイカ狙いで参ります。

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今年は 気合いが入っていたようで まわりの写真も撮っていないそうでして、こちらは去年の写真です。
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気合いと申しながら、とりあえず昼間の仕掛けは、天秤フカセでのんびりと ゆらゆら日本海に揺られます。鯛か、ヒラマサか、ハマチ狙いです。

穏やかな海を眺める時間が最高の気分とのことでした。 何も釣れなかったようでしたが…

夕方になって、いよいよ ケンサキイカを釣るために イカメタル仕掛けという方法 (こちらも 魚釣りの天秤フカセと同じく、イカを引き寄せるための竿の上げ下げも少なくて、ややのんびりな釣り方だそうです) を使うことになり、

途中経過の電話をしてきましたが、私は 生憎 ぽんす氏の代理で村の会合に行っており電話に出られませんでした。

ケンサキイカのシーズンで、よく回ってくるようです。

 

ぽんすおじさんは 「まあまあの釣果」を上げ深夜に帰って参りました。早朝から釣果のお披露目です。

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・・・。どう工夫して撮りましても、まるで押収されたものを並べた写真のようです。お見苦しい写真になりまして。

 

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魚と違い、骨や鱗のないイカを捌くのは 小さめの出刃で手早くできますね。と、生意気を申していますが、私は写真を撮るだけです。

 

ご近所にも少しずつもらっていただきました。華のない写真になりましたが、イカ1枚分のお刺身です。

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甘みのある身が美味しくて、柔らかいところなら歯の悪い義母にも勧めることができ、帰って来ていた息子も加わって楽しい時間になりました。

 

魚焼きグリルで さっと焼いたゲソとエンペラは食感もよく、ご近所からも味わい深いと人気のようでした。

f:id:snow36:20210627094008j:image残りのイカは、冷凍して後日いただきます。

 

 

 

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お話変わりまして

ブログでいつもお世話になっていますハーバリストの克弥さんに久しぶりに ハーブティーの注文をさせていただきました。

ハーブ講師デビューと友人からのサプライズ - うさぎ薬草 another garden

克弥さんのブレンドは、身体の巡りに合わせてハーブの効果が細やかに行き届いていくようで 選び抜かれたハーブの香りとお味に心がほぐれます。 

いつもきれいで前向きで、人生のハードルをいくつも飛び越えながら輝いていらっしゃるご様子は アスリートのようだなと思います。 

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右は、私のために作ってくださったハーブティー。好みや体調に合わせたフルオーダーのブレンドです。 パッケージが愛らしい✨

 

今日は、上の写真の左の《元気に美しく歳を重ねたい》Beautiful Aging をいただいた感想です。

f:id:snow36:20210627091321j:imageルイボス、ローズヒップ、ローズレッド、ヒース とてもきれいです。


f:id:snow36:20210627091324j:imageお皿で蓋をして5分。美しいお色に和みます。ほんのり薬草のような香りがします。渋みや酸味などはなく、飲みやすくほっとするお味でした。 

ひとつずつゆっくり味わいたいと思って、フルオーダーティーや サービスしてくださったものは まだ開封していないのです。近いうちにいただきますね。楽しみです。

 

下の写真は、以前 送っていただいたフルオーダーティーです。2年前のブログに載せたものです。

上の二つ並んだパックの写真では、右のハーブティーでレシピは同じです。

緑茶、ジャーマンカモミールオレンジピール、レモンマートル、ハマナス、ネトル、ローズマリー、エルダーフラワー、リンデン

f:id:snow36:20210627091226j:image2年前にこちらを初めて送っていただいた時に、ハマナスの赤い蕾がかわいらしくて嬉しかったことを思い出します。

f:id:snow36:20210628102101j:image緑茶が加わることで 親しみやすいお味になるのが印象的でした。 9種類ものハーブがきれいに合わさって飲み飽きない美味しいティーです。 

克弥さん、いつもありがとうございます。大切にいただきますね。

 

 

 

 

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娘から、以前 3歳児クラスで作っていた あまつぶとかさの折り紙製作の続きができたと写真が送られてきました。

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あれから 足元に アジサイが咲きました。

花びら(正確には萼のところですね) は、それぞれのお子さんが折った折り紙をハサミで切って作ったそうです。

同じ折り方をして切るのですが、あまつぶくんやかさと同じく個性が出ていて、製作の時間の楽しい様子が伺えます。

 

皆さま いつも娘にあたたかなコメントをくださいましてありがとうございます。娘もいつも応援してくださっていることをとても喜んでいます。感謝していますと申しております🍀

 

暑くなってきましたね。数日前の空の景色です。

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時々ヤマガラの声が聞こえてきます。夕焼け色をした背中とお腹が目立つこのかわいい小鳥は 時々庭にも遊びに来てくれます。

どうぞ お身体を大切にお過ごしくださいね🌿

 

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「雲 もくもくと雲のようにふるえていたい 重吉の詩」(190×300m/m)  八木重吉


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「ねがい どこを断ち切っても うつくしくあればいいなあ 重吉の詩」(190×300m/m)    八木重吉 詩 再掲   村上翔雲 書