野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

大理石の墓標

こんにちは。

日曜日に 大阪市立美術館へ行って来ました。

ルーブル美術館展」1月14日まで とのことです。

 

大阪市立美術館は、天王寺にあります。

 

美術館は、美しい建物です。f:id:snow36:20190108133010j:image

振り返ると、通天閣が臨めます。f:id:snow36:20190108133030j:image

(晴れたり、曇ったりと 忙しい日でした。でも、ちょっと時間差がありました。通天閣ごめんなさいね)

 

この度は、肖像画や 人の彫像に 特化した展覧会でした。

f:id:snow36:20190108132203j:image

 

日曜日の お昼過ぎで、来週末には会期が終わるために かなりの混みようでした。


f:id:snow36:20190109192529j:image

古代のエジプトの美しい女性の木のマスクから 展示が始まります。

メソポタミアギリシャなどから出土した石像などが 順を追って展示されています。

 王と王妃の間に、王子でしょうか。小さい人が座っています。大人と同じバランスの像でした。 王子なので小さく表現されているそうでした。

石の彫像が いくつも立っています。拙い感想になりますが、

印象に残った大理石の作品について 書かせてくださいね。。

 

子どものヘラクレスが いかにも強そうな表情で、その横に やはり子どものエロスが いたずら好きな顔で 並んでいました。

 

狩りの女神、ディアナが 小柄な猟犬を従えて 背中の矢筒から 矢を取り出そうとする姿。

主人である女神を仰ぐ犬の しなやかな体つき、筋肉の動きや 肋骨の一本一本の起伏まで表現してあります。

ディアナの 滑らかで弾力のある若い二の腕。  意志の強い 美しい顔。

 

時代が下って、中世の 彫像は、

戴冠式ナポレオン1世の衣装の 波打つ襞、

柔らかな毛皮の表現。布の刺繍の細かいこと。

ヒールが高くて、飾り付きのかわいい靴。

頭を包む月桂樹。小さくて 特徴のある顔。

大理石の白が、いろんな素材や華やかな色を物語ります。

 

額が広いヴォルテールが 椅子に掛けた像や、

マリー・アントワネットの 胸像もありました。こちらは セーブル焼きです。やや驕慢な感じになっていましたが、時代が進むのに従って 像は生き生きとした表情を与えられているようでした。

素材として 大理石の他には、セーブル焼きなどの窯のものや、テラコッタもあり、石として アラバスターも ひとつ見受けられました。

 

これは 書くか どうか 迷ったのですが、

彫像は、人の姿を留めるためのものであるのであれば、

人の姿の墓標も フロアを作って「近代の葬礼肖像」として展示されていました。

そのフロアを入ってすぐに、身分の高い女性の像がありました。

この像の顔は、柔らかく微笑んでいましたが、生きていた頃の様子ではなく 亡くなった人の 目を閉じたお顔でした。

鑑賞している人々が 皆 説明のプレートを見ています。

顔も からだも 痩せていました。亡くなった後の しばらく日が経った姿でした。

私の不味い表現故の ご不快をお詫びします。

それでも、大理石が白くて、怖さは感じませんでした。むしろ、清らかで美しい そんな墓標なのでした。

日本にも このような状態を描いた絵があったかと思います。     

 

 

彫像が とても多かったのですが、

絵画は、15世紀のフランスの画家が描いたとされる テンペラの「パンジーの婦人」という素朴な絵がとても印象に残りました。宗教画のような女性の静かな面差し、沈んだ銅色の背景と 額の縁には 小さなパンジーが いくつも描かれていました。  絵葉書にも見当たらなかった 慎ましい小さな絵でした。   心の中に そっと収めておきます。

 

ベラスケスの「スペイン王マリアナ・デ・アウストリアの肖像」

f:id:snow36:20190110164254j:image

その場が輝くような華やかさでした。

 


f:id:snow36:20190110165120j:image
エリザベート・ル・ブラン「スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」34歳の若さの未亡人とのことで かわいらしい微笑みにうっとりでした。   (絵葉書を使わせていただきました。)


f:id:snow36:20190110164805j:image

8枚の肖像の真ん中から 顔を出して記念撮影する趣向で、とても賑わっていました。


f:id:snow36:20190110172105j:image

2月に こちらの大阪市立美術館で、東京とは 内容が一部異なる フェルメール展が予定されていますので、この度は 絵の中の光の使われ方に たいへん興味を持って観ました。

 

美術館へ行くと 年末年始の慌ただしく過ごした疲れが 飛んで行くようでした。  どんなに混雑していても、心が羽を伸ばしているのがわかります。

例え、何の知識も無い私でも、受け入れてもらえる幸せに浸れました。本当に 感謝。




f:id:snow36:20190109234952j:image

   (ダイコンソウ。年末から咲いています。寒くなって そろそろ終わりですね。)

 

また、長くなってしまいました。

お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

 


f:id:snow36:20190110170405j:image

  「一粒の麦 地に落ちて死なずば 唯一つにて在らん。もし死なば 多くの果を結ぶべし」ヨハネ伝 (150×200m/m)       村上翔雲 書