野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

青い星空の下に

こんにちは。ご無沙汰しています。

お元気でいらっしゃいますか。

暖かくなって、山もふんわりと衣替え。

薬師堂の草むらの紫のムスカリは、以前 うっかり落としてしまった球根から増えました。

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以前に書きかけたものですので 話題も写真も古いです。書き直していないところもありますが、よろしくおつきあいください。

f:id:snow36:20230405154410j:imageネモフィラ ペニーブラック 初めも佳き姿。

🌙

きりの良いところで仕事をおいて、洗濯物を干していると、深夜の国道を サイドマーカーを光らせながらトラックが走って行くのが見えます。

月の美しい夜には、柔らかい光を受ける瓦と低く続く山並み。

月の無い夜には、静かな星が輝いて。

お仕事中の人もおられることですが、晴れた夜のささやかな楽しみです。お休みしていた外干しも花粉がおさまってきましたので再開です

 

風が描く羽根模様。早朝の霧が消えた後の冬の朝には、こんな空がよく見られた気がします。
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最近 手に取るのは、義母と同い年の理論物理学者 佐治晴夫さんの本。

戦争中の子どもの頃に 宇宙に興味を持ち進路を決められたお話や、哲学へと繋がる身近な数字のお話など、読み返すほどに親しみを感じる文章のファンになっていました。

 

音楽や 色を重ねられた絵画、星の瞬きや小川の流れ、人の手によって調整され滑らかに動きだすロボットの足の動きなど、すべてのものに ゆらぎがあるとの 佐治晴夫さんのお話には、理系とはほど遠い私も心惹かれます。

昼間の空にも、見えないだけで 星は変わらず輝いて。有名な詩にあるように。

本を読んで 改めて青い空を見上げてみますと、新鮮な風が吹き抜けていくような爽やかな気分になります。

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佐治晴夫さんのご著書「この星で生きる理由」(アノニマ・スタジオ刊) の表紙は星空。深縹色の見返しをめくると、ボイジャー1号が遥か65億km離れたところから 振り返って撮った写真の中の一枚、カール・セーガンさんが Pale Blue Dot と呼んだ 小さな小さな地球の写真がありました。

 

「私達が知る、たった一つのふるさと」-天文学者カール・セーガンとボイジャー1号が写した、ペイル・ブルー・ドット– - SPACE Media  

ご存じの方も多い写真と思います。忘れたままだったこの写真のことを、もう少し知りたいと思って調べてみました。

こちら SPACE Mediaのサイトへ伺うと、その写真に続いて添えられていたカール・セーガンさんのメッセージがありました。 

見かけもよく似た 同じ星の住人同士……

ずっと以前の、訴えかけるように綴られた言葉の連なりが、今の状況そのもので、小さな地球が どれほど大切でかけがえのないものなのかを改めて強く感じました。

よろしければ どうぞご覧になってくださいね。

 

f:id:snow36:20230405154456j:image芍薬

 

🌕

実家から 借りて帰ったままの本 パウル・クレーの画集 (みすず書房 刊 現代美術7 解説 片山敏彦) の中の「セネシオ (さわぎく)」。また拙い書き散らしになりますが…

 

ガーゼを張ったキャンバスに描かれた大きな丸い顔は、明るい色で分けられています。

桃色の頬に 淡いサーモンピンクの鼻筋。その下には、濃い葡萄色のマス目が小さくふたつ 市松模様のように描かれています。

鼻梁を越えて繋がった ふたつの大きな目は赤い瞳。右と左で目の高さも違い 見ている方向も異なっているので、

両目を見ようとすると、くらりと目線がかわされてしまいます。

灰色がかった緑色が弧を描く眉は、左だけに。右に寄りがちの左の瞳。

しばらく観ていると、眉のある左側は、黄色の髪の男性の直線的な横顔にしか見えなくなってきます。

華やかな色合いのキュビズムの表現、穏やかで涼しげな眼差し。絵からは 静かな湖面を眺めるかのような落ち着いた印象を受けます。

 

パウル・クレーはヴァイリオンの名手で、音楽か美術か 進む道に迷うほどの才能に恵まれていたそうです。

20年ほどの間に、さまざまな技法で多くの作品を発表し、アーツアンドクラフツの影響を受けて設立されたバウハウスで絵を教えます。

後年は 難病に罹ったために思い通りに動かなくなった手で、天使の絵を線画で描き続けたとのことでした。愛らしさのある絵に温かみを感じます。

耳の描かれていない輪郭の中から 見つめる赤い瞳。100年前に描かれたセネシオ。

過去も未来もなく、在るのは今だけ。

佐治晴夫さんの本のお話にあった 道元禅師の言葉。

途切れなく続く今を思います。

オレンジ色の背景に彩られた クレーのセネシオは、日本の野の花のサワギク(ノボロギク) ではなくて メキシカンフレームバインという花なのですね。

読むほどに さまざまなイメージが湧いてくる片山敏彦さんのご解説も素晴らしい、古い画集から。

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村上翔雲師の書 - 喫茶 輪

詩人の今村欣史さんが、

Momさん(ママちゃんさん その節はありがとうございました🌷)Newday’s diary

がつくってくださった 父の作品の動画を紹介してくださいました。

今村さん 随分遅くなってしまいました。申し訳ありません。

ご紹介いただきとても嬉しいです。

Momさんからも感謝の言葉をいただいています。

ありがとうございました💐

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f:id:snow36:20230410180806j:image咲かなかった石楠花が久しぶりに咲いています。半月以上早く。

去年から おかげさまで仕事の都合で(自営業なので仕事があって何よりです)、もうしばらくお休みします。

秋ごろから通院が増えた義母は、あんたの時間がほとんどないね。ごめんねと何度も言ってくれて。お母さん そんなことないですよ〜。ぼちぼちとやっています

ちょっと遠くの病院への行き帰りには、長閑な風景もあり楽しみができました。私たちの良い気分転換になっています。

時々で コメントも書けなくて 大変申し訳ないのですが、休んでいる間も皆さまのブログへ伺わせてください。ほっとするにこにこタイムです☺️

いつもおつきあいくださいましてありがとうございます。

どうぞお身体大切にお過ごしくださいね🌿

f:id:snow36:20230405161325j:image稚児車(チングルマ

 

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「過去はすでに存在しない 

 未来はまだやってきていない 

 あるのはただ現在だけである  トルストイの言葉」

 

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「乾坤」(天と地の意) 

2作品とも 明石市立文化博物館所蔵 村上翔雲 書