野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

千年の桂

こんにちは。

お元気でいらっしゃいますか。

前回も連れ合いに 温かなメッセージをいただきまして、ありがとうございました。ふたりで感謝しております。

 

・・・

先日、また手が滑って下書きを投稿してしまいました。

慌てて戻しましたが、すぐ前の記事が新しい記事として出てしまったようです。

前の記事にもう一度来てくださった皆さまに 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ごめんなさいね。

 

 

f:id:snow36:20220625120512j:image
農道を歩いていますと、麦刈りが終わって稲が植えられた田んぼに 山が映る季節になりました。写真は、数日前のものです。

日々 稲は成長して、今は 一面若緑の原っぱのようになっています。

f:id:snow36:20220625211459j:image田植え前の土の上をタニシが這った跡は道路地図のようです。

梅雨に入って 少々の雨でも囀りを忘れないのは、竹藪のウグイスと曇り空に舞い上がるヒバリ。いつもながら 大きな声です。

 

兵庫県美方郡香美町にある たじま高原植物園 和池の大カツラ~平成の名水百選「かつらの千年水」~|香美町 へ出かけました。都合で最近書くどの話題も古くなって申し訳ありませんが、こちらも5月の末のことです。どうぞよろしくおつきあいください。

山の中に住む者が、山深くと言うのもおかしなものですが、北へ向かって走っていますと 氷ノ山(ヒョウノセン) の向こうは更に趣きが変わります。

梅雨入り前の時期でした。青空の下、自動車道路から眺める みどりに潤う山裾に、刈り取りを向かえる麦畑と そろそろ田植えの始まった田んぼの風景が、繰り返し現れてはゆっくりと流れて行きます。

 

途中 ハチ北の道の駅で 休憩をしました。

こちらには人気のスキー場があり、冬は深い積雪がニュースで伝えられる兎和野(うわの)高原も近くにあります。

兎和野高原は、子どもたちが小さい頃に毎年キャンプに出かけた思い出の多い場所です。

f:id:snow36:20220625123154j:image

道の駅には、バイクの方が何人か一服しています。

スズキの「隼」が止まっていました。車やバイクのことはわからない私から見ても、黒光りしたとてもきれいなオートバイでした。

連れ合いが 時々目をやっています。得意先や 一緒に働いてくださっている人への責任があると思い、私と義母はバイクに乗ることを賛成できませんでした。

やがて持ち主の女性が来られると、隼は音楽のように美しいエンジン音を残して走って行きました。

写真を撮らせてもらいたかったと申します。

誰にでも気軽に話しかける人なのですが、女性だったからですね。 気が利きませんでした。私が声を掛ければよかった。

 

私たちも出発して、一本道を辿ります。

たじま高原植物園は、兵庫県の天然記念物「和池の大カツラ」を保護するために造られた施設とのことでした。

f:id:snow36:20220625123250j:imageキンラン


f:id:snow36:20220625123309j:image咲き始めのクリンソウ

 

植物園を流れる川で湿地ができています。池の傍には 大きな葉がびっしりと生えています。f:id:snow36:20220625123408j:image奥の丸い葉には、オタカラコウと札が出ていました。山深い水辺で黄色の花を見たことがあります。

f:id:snow36:20220625123501j:image

手前のわさわさと茂る葉には、隙間から名残りの丸い花序が見えています。白い苞はもう落ちてありませんが ミズバショウなのかもしれないと気づきました。f:id:snow36:20220625123600j:image

 

山の中の植物園は、自然の植生を保ちつつ整備された遊歩道が続いていて歩きやすいです。世代を問わず楽しめます。f:id:snow36:20220625123904j:image

 

f:id:snow36:20220625124533j:image乗り手がかわいいハナイカダ。花はひとつずつなので、この木は雌株でしょうか (肝心のお花がぼやけまして🙏)

 

🌿🌿🌿

樹齢千年と言われるカツラの木は、幹やまわりからの株立ちがそれぞれ大きく、縦に裂けた木肌がごつごつとしています。根元は、勢いよく流れる川を跨いで立っていました。

f:id:snow36:20220625231743j:image

植物園は、豊かな湧水に恵まれた瀞川平(とろかわたいら)にあります。

カツラの木は、山深い清流を好むとのことで、一里四方の水を集めるとも言われるそうですね。この木に向かって自然と川が流れてくるのか、川を求めて木が根を下ろすのか、興味深く思います。

古刹を訪ねた時のような しんとした森の鎮まりの中で 水音だけが聞こえてきます。

 

f:id:snow36:20220625124714j:image後ろへ回って見てみました。傍からすくすくと生えている清新なひこばえが美しいです。

眺めていると、マザーツリーと一緒に 一生懸命に背筋を伸ばして空を仰ぐ小さな子どもたちのようにも見えてきます。f:id:snow36:20220625124757j:image

カツラの傍に設けられた竹の筒から勢い良く落ちる水を手に受けて飲んでみました。冷たくて柔らかなお水は無菌で、飲料だけでなく農作にも使われているとのことでした。

 

山の午前10時は、まだ来園する人もそれほど多くありませんでした。

木の辺り一帯の空気は、ぴんと張って透き通り、身体の中まで洗われるように感じます。

カツラの葉は、秋になると お菓子のような美味しい匂いがするのですね。秋のカツラのお話を書いていらっしゃる方がおられて知りました。

 

f:id:snow36:20220625124949j:image朴の木(ホオノキ)。こちらも姿のよい大きな木でした。

f:id:snow36:20220625125050j:image

f:id:snow36:20220625125112j:image緑陰を作る葉がきれいで何度も見上げてしまいます。

 

川の中でそよぐ緑は、梅花藻(バイカモ)の葉。もうじき可憐な白い花が咲きますね。

f:id:snow36:20220625125236j:image

f:id:snow36:20220625132417j:imageこの写真はご参考になるでしょうか、以前 別の場所で写した梅花藻の花です。

 

私たちの住むところでは、子どもたちは 高校を卒業すると、進学や就職のために家を出ることが多いです。

しばらく前に、そんな風に一人暮らしをしている娘が おつきあいをしている人に会ってほしいと言いました。

ところが、それから数日後に、彼のお父さまが倒れたと知らせてきました。

彼は、ご両親のこれからを 自分が支えていこうと思う、巻き込んではいけないから別れようと言っていると申します。

彼や娘の動揺のほどが伝わってきます。どうか落ち着いて。

お父さまご自身とご家族の不安やご心配は どんなに大きなものだろうと思いました。

その後、娘は、やはりご家族が重い病気とわかってから結婚した友達から話を聞かせてもらったり、ふたりで何度も話し合ったりしたそうです。

一緒に歩いていこうと改めて決めたようで、後日 ふたりと三宮で会うことになりました。

f:id:snow36:20220625132548j:image

人生がどんな風になっていくのかは、誰にもわからないこと。我が家にしても、体調を崩しがちな義母もいますし、連れ合いは これから病気の治療が始まります。

ふたりの気持ちを大切にしようと思いました。私たちには、子どもたちが考えて決めたことを応援することしかできないのかもしれません。

 

この度のことで感じたのは、まだ私たちが会ったことのない彼が 心のきれいな真面目な人らしいということでした。

釣り好きで、時々娘も一緒に連れて行ってくれるそうです。普段から釣れた魚を自分で料理して 娘にごちそうしてくれるところにも好感が持てます。

 

You play with the cards you're dealt. Whatever that means.

配られたカードで勝負をするんだよ。それがどんな意味でもね 

いつかブログに書いた記憶がある スヌーピーの言葉。あの時も 娘に向かって言ったように思います。

相変わらずの段取りの悪さから 時間に追われてバタバタとしている私もこの言葉を忘れずに…

森の大カツラのある景色は、夢のようでありながら 現実に在る世界。四季の巡りが遥か昔から連綿と繰り返されるさまを思うと心が安らぎます。

秋にもう一度行ってみようと、和池の大カツラの木を思い浮かべて思うことでした。

f:id:snow36:20220625132616j:image

娘が初めて受け持った2歳児クラスのお子さんたちは、来年の春卒園の5歳児クラスになりました。再び受け持たせていただいています。みんなで作る梅雨の風景も年長さんらしい作品ですね。

今日もご覧くださいましてありがとうございました。

度々地震が起きたり、6月から蒸し暑い日が続いたりして、落ち着かない日が続きますね。大きな被害が出ませんように。

どうぞお身体大切にお過ごしくださいね。

 

f:id:snow36:20220625191333j:image

「待惚て立てば桔梗の花のかず 兜子の句」(210×300m/m) 玄玄 獅子舞 入院 赤尾兜子

 

f:id:snow36:20220625191458j:image

「幼い日 

おさない日は 

水がもの言う日 

木がそだてば

そだつひびきが

きこゆる日  重吉 詩」

(75×100m/m) 秋の瞳 八木重吉 詩    村上翔雲 書