野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

秋の日。少し遠出をしてみる (1)

こんにちは。

また日が空いてしまいました。お元気でいらっしゃいましたか。

f:id:snow36:20201017081524j:image

夜は、マツムシと鈴虫の音がよく聞こえてきます。ほかにもいくつかの虫の声が静かに重なり合って、昼間とは違う湿った空気に包まれます。寒くなりましたが 最近では曇り空にひとつ輝く火星を見ながらひと時を過ごして一日を終わります。

 

少し立て込んだ日が続いたので、気晴らしをと思い京都へ出かけました。

もうおとなになった子どもたちに声をかけましたら、意外にも一緒に行くと申します。車で1時間程ほどの所に住む息子は 拾って参ります。

f:id:snow36:20201016203901j:image

 

 

この度は 私のわがままで、京都伊勢丹

美術館「えき」京都 へまず行くことにしてもらいました。

車であれば、駐車場から美術館のある7階のフロアに直接行くことができます。

娘とこちらで落ち合いました。

 

伊勢丹の美術館「えき」では、10月25日まで

「キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」を開催されています。最近関西でも増えている予約は こちらでは必要ありませんでした。

f:id:snow36:20201015210341j:image

f:id:snow36:20201015210226j:image

華やかなチェックの衣装は、作品 ベル=カズー(コレット・ド・ジュヴネル)の衣装を 北海道ドレスメーカー学院の学生さんたちが再現されたものだそうです。

 

ポーランド クラクフ出身のキスリングは、100年ほど前にフランス パリで興ったフランス人以外の画家などによる芸術活動 エコール・ド・パリを代表する画家の一人です。

19歳でパリへ行き、多くの画家との出会いを得て 才能を華やかに開花したそうです。

f:id:snow36:20201017085702j:image

先週の土曜日、入館前に丁寧なチェックを受けた朝10時には、お客はほとんどいなくて ゆっくりと鑑賞できました。と気取っていますが、キスリングが観られる!と かなり浮かれてしまっています╰(*´︶`*)╯♡

30分もすると少し混んできましたが、50点ほどのまとまった作品をこれだけ落ち着いて観る機会は なかなかないと思いました。

 

**

始めに キュビスム(キュビズム) に影響された初期の 静物画。

ご存知の方には 今更で恐縮な説明ですが、ある対象物をいろんな角度から見て捉え 一つのキャンバスに描かれた静物画は、たとえば 歪んで角張った形のテーブルに置かれたりんごとなり、観る私たちの心に訴える作品となるのですね。 

パンフレットの小さな写真になりますが、左下の絵です。歪んで見える机が迫ってくるようでした。

見えにくいですが、椅子の背にサインが書かれているのも洒落ていますね。

f:id:snow36:20201017085911j:image

この静物画は フランスの外国人部隊に志願して負傷した24歳の頃の作品でしょうか。

 

 

***

女性の肖像画は、優美な物腰で 頭を右に傾け  大きな目は 湖面の深みを覗くようで、放心にも、思いを表情に出すまいとしている強さにも、どうして…と問いかける面差しにさえも感じます。

こちらの若い(19歳とも)女性も そんな表情に見受けました。

f:id:snow36:20201017120826j:image (思い切って買ってしまった図録の表紙です。最近の図録は、おもて表紙や 裏表紙と区別のないものが多くて とてもきれいですね)

二つの戦争に翻弄された時代ゆえの よるべないキスリングの人生の心象が描かれているのだとしても、肖像画に描かれた顔は強く印象に残ります。 

f:id:snow36:20201017120710j:image

 

この度の展覧会から離れるようで申し訳ありませんが、昨年の夏に兵庫県美術館で「印象派からその先へ・吉野石膏コレクション」を観に行った折に キスリングの作品がひとつ展示されていました。

「背中を向けた裸婦」という作品は 全体が赭黄や黄茶いろといった みかんを思わせるような温かな色合いで、頭を模様の入った薄青い布で包んだ女性が流れるような美しい背中を見せて腰掛けていました。左に向けられた眼差しは ひんやりと穏やかに感じられました。(その時のブログでは シャガールの最晩年の作品の「パレード」に特に熱が入ってしまい、キスリングのことには全く触れていませんでした…)

 

***

花を描いた作品は、花びらひとつひとつが絵具を盛り上げて丹念に描き込まれ、色鮮やかで たいへん華やかです。よく画題にされたというミモザは、こぼれ落ちるように満開の小さな花がつぶつぶと膨らむその質感に見入りました。

f:id:snow36:20201017095752j:image

図録のもう一つの表紙から。

 

人物や静物の作品の背景の色は縦に分かれているものが多くて、影のように主題を直線で淡く囲んでいる作品もあり特徴的に思いました。

エコール・ド・パリの仲間、藤田嗣治との交流も深くあったとのことで、コラージュ仕立ての素敵な写真パネルが飾られてありました。

f:id:snow36:20201017100758j:image

 

長々と書いてしまいまして。実はこの後 京丹後市へ行ったのです。後日(せめて1週間あとぐらいには…) 続きを書かせてくださいね。

f:id:snow36:20201017120335j:image

 

 

🍂🍁

連れ合いの古い友人が 丹波篠山の黒枝豆を送ってくれました。お礼の電話ついでに 久しぶりにお出会いする約束をしていました。

大急ぎで枝から豆を外して、よくもみ洗いしてから茹でました。もっちりとして甘みが広がります。少し焼き枝豆にもしました。

 

焼いたものは、食感も良く野趣も感じて男前な味わいです。なんともシンプルで美味しい。

洗って塩をもみ込んで しばらく馴染ませた豆を フライパンで素焼きか ホイルを敷いた魚焼きグリルで焼きます。片面焼きのグリルなら途中で豆を簡単に返すといいようです。

f:id:snow36:20201017094149j:image

今日も最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。

f:id:snow36:20201017110249j:image

 

f:id:snow36:20201017164112j:image

「猿を聞くひと 捨て子に秋の風いかに 芭蕉の句」 (340×240m/m) 「野ざらし紀行松尾芭蕉

 


f:id:snow36:20201017164115j:image

「まなこ澄む 男ひとりや いわし雲 兜子の句」(210×300m/m)  赤尾兜子  句   村上翔雲  書