野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

桜。花を愛するひと

こんにちは。

風と雨の後は 暑さを感じる陽気になりました。


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桜のきれいなところへ行ってみようかと思いましたが、家の回りにも咲いているところがあります。

特別なものはありませんが、桜は見頃で 空気には春の濃密さが感じられます。

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時々草引きをさせていただくご近所の絞りの椿は、葉陰の姿にも存在感が感じられます。

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カロライナジャスミンでしょうか。つぼみがたくさんついています。お花を育てることが上手な方でした。

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しばらく歩くと 道沿いの藪には、ミツバツツジの僅かに藤色寄りの明るい花が見られます。

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ツツジの足元に薄紫の花が見え隠れしています。タチツボスミレですね。
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兵庫県立美術館ゴッホ展を観に行こうと 前売り券を買っていましたが、感染症を心配している間に 休館が続いて終了してしまいました。こんな時ですから仕方のないことですね。どうぞ これ以上ひどい状態になりませんように。心から願います。

 

数年前に、ゴッホの自画像を観ました。それまで事情もあって 長らく美術館へ行く機会がありませんでした。久しぶりに美術館へ行ったことが嬉しくて懐かしくて、実家の片付けをした時に父の仕事部屋にあった ゴッホの画集と、小川国夫さんの「ゴッホ」を借りて帰りました。

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「Vivant 11  Vincent van Gogh」   1995年6月20日 第1刷発行   株式会社講談社

ゴッホ  」小川国夫    1975年6月25日 初版第1刷発行    株式会社平凡社

 

たくさんの先生方が専門に研究をなさっておられるので、何も学んだことがない上に 20年も美術館へ行っていなかった私が 好き勝手な感想を申すのも畏れ多いことと毎回思いますし、皆さんがご存知のことを知ったように書くこともまた申し訳ないのですが…。

 

小川国夫さんは、「ゴッホは単に他の職業を断念して画家になったということにすぎない。」「才能は大きすぎたために苛酷であった」とも書いていらっしゃいました。

生活を支えてくれる 4つ下の弟のテオとのおびただしい数の書簡の中から 画集に取り上げられたものを少しだけ拝見しましたが、自分の窮状ばかりを訴えるものや、自然を美しく描写したもの、病気の辛さや家族を思いやる気持ちを綴る切ない手紙もありました。

兄弟の まるで業のような関係の強さが伝わります。いくつもの仕事に就いて真面目に勤めるも どれも続けられなかった若い頃のこと。

兄の感情の起伏の激しさには 一番の理解者であるテオも悩みました。

友達が少ない上に(ゴーガンは、テオから生活費が浮くからと説得されて ゴッホと一緒にアルルへ行きました) 、好きになって執着した女性たちからは断られるので より精神を病み、病みながら充実した作品を完成させていきますが、亡くなるまでの10年ほどの画業で生前に売れた作品はひとつだけなど、嵐のような人生です。

ただ素朴に 受け入れてくれる人との温かい家庭を求めながら、ひたむきに表現を追及し描き続ける純粋な人だった。と捉えるのであれば、世間から位置付けられた理解の及ばない天才とは異なる一面を見るように思います。

 

ゴッホの死後、一年も経たずに 兄の才能を信じ続けた弟のテオも 33歳で亡くなりますが、夫がゴッホや母の生活費を出し続けたために たいへんな苦労を強いられてきたテオの妻ヨハンナ(愛称 ヨー、かわいいですね) が、二人のおびただしい書簡を整理して出版したことが、ゴッホの再評価に繋がるきっかけのひとつにもなったと聞きました。

 

美術館では 絵だけを観たい。私は ただそれだけでしたが、再び美術館へ行けるようになって その絵の下に深く広がる時代や画家の人生、人となりを知りたく思うようになりました。

 

パリ時代では 浮世絵を学んで、印象派に触れ アルル時代には 色彩の美しい自然や花々などへの愛溢れる絵を描き、サン=レミ時代には 空へ黒々と渦巻く「糸杉」や 凄まじいばかりの「星月夜」を。

小川国夫さんの本のハードケースに張り巡らされた絵は、吹き荒れる風の声が聞こえてくるような麦畑をカラスの群れが低く飛び、今にも暗く重い嵐の予感がする「荒れもようの空に烏の群れ飛ぶ麦畑」1890年7月オヴェール時代、最後の作品といわれています。

 

 

手元にあるゴッホ展のチケットは 払い戻しをさせていただくのか、でも観られなかった「糸杉」の絵が印刷されたそれを思い出に取っておきたくも思うのです。

 

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4月になって年度が変わり、保育士の娘も31日まで担当した2歳児クラスから 1歳児クラスへ変わることになりました。

採用1年目だった至らない娘は、パートの先生方や 他の年齢の担任の先生方にずいぶん助けていただいたと言っていました。

コロナウイルス対策で アルコール消毒や 子どもたちが近づき過ぎないように目配りなど、かなりピリピリとしていたのかもしれません。子どもたちと 丁寧に係わる時間が少なくなってかわいそうと ずっと言っていました。

「せんせい きょうずっといる?」

「せんせい きょうは ○○(お隣のクラスの名前) さんにいくの?」他の先生方がインフルエンザなどでお休みになり、最後の2週間ほどを 2クラスを行き来するひよこ先生の行動が わからないなりに がまんしてくれる子どもたちに心が痛んだそうです。

保護者の方も ただがんばるばかりで経験の少ない担任に どんなに心もとなく思われたことでしょう。最後には 3歳児クラスになっても あなたに担任してもらえればと 涙が出るような嬉しい言葉をかけてくださる方もいらっしゃったようです。

 

娘とは、2ヵ月以上会っていませんが、度々かけてくる電話で様子を知ります。f:id:snow36:20200403160229j:image

 

今日も 最後までおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

お体を大事になさってくださいね。

 


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「菫は心の影か土の淋しき  順三郎の詩」(125×165m/m) 旅人かえらず 26  西脇順三郎



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「牡丹のかく迄咲いて散らぬとは  三樹彦の句」伊丹三樹彦 句        村上翔雲 書