こんにちは。ご無沙汰しています。
お元気でいらっしゃいますか。
ミヤマカタバミの(と思っている)白い花の後に出て来たのは、咲かない蕾 閉鎖花のようです。しゅっと伸びた茎の先の赤い蕾が茶色の種になると、くったりと倒れるを繰り返しています。
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前回は、連れ合いのことで たくさんの方からあたたかなお気遣いをいただきありがとうございました。
初期のがんで進行は緩やかということでした。転移も無さそうとのことです。
本人は分かってすっきりしたようです。義母からすれば なかなかそうもいかなくてかわいそうですが、周りの私たち家族は 心配をしつつも慌てず騒がずに ですね。
おかげさまで 最近は連れ合いの自律神経の不調も少しずつ治まり、仕事などもいつもの状態に戻ってきました。
これから治療が始まりますので、連れ合いの疲れが溜まらないよう気をつけて過ごすようにしますね。
ご心配をおかけしまして
ありがとうございました。
今日は、兵庫陶芸美術館(丹波篠山市今田町)へオールドノリタケ× 若林コレクションを観に出かけたお話です。長くなって申し訳ありませんが、よろしくおつきあいください。
最近は 午前中から蒸し暑さを感じる日もありますが、
5月の中頃 雨上がりの県道には、木々の枝が互いに差し掛かって 黄緑や花萌黄、鶸色などの清涼な色合いの葉で彩られた自然の長いアーチが続いていました。
空が見え隠れする明るい緑陰の道。出かけて良いのか迷いながらのドライブは、私なりに気持ちの切り替えができて爽やかなものになりました🌿
目的地の 丹波篠山の今田町(こんだちょう)は、立杭焼の里です。
名筆研究会を父が主宰していた頃に、立杭焼の窯元さんのところへ 書家の先生方と私も勉強会にご一緒させていただいたことも、随分昔の懐かしい思い出です。
兵庫陶芸美術館 日当たりや気温差を避ける蔵のような雰囲気の素朴な外観。
特別展は、3階から1階へと 美術館の建物のほぼ全てを使って250点もの作品が展示されています。
平日の午後の美術館は空いていました。
会場で実際に観る陶磁器の美しさに、度々足が止まってしまいました。
オールドノリタケ×若林コレクション -アールヌーヴォーからアールデコに咲いたデザイン- - 兵庫陶芸美術館 The Museum of Ceramic Art, Hyogo ブログを更新するまでもたもたしまして、特別展の期間が終わってしまいました🙏 もし出て来ないようでしたら、ホームページの中のリンク「これまでの特別展」からご覧いただけると思います。
私の写した写真ですみませんが、すべて撮影可とのことでしたので、兵庫陶芸美術館のホームページの写真とともに心に残った作品と、作品のためのデザイン画などを撮らせていただきました。 名前だけしか知らずにいたオールドノリタケの陶磁器の覚え書きなども書いています。
オールドノリタケは、明治時代から 昭和初期にかけて、アメリカやヨーロッパへの輸出向けに作られた陶磁器の製品とのことでした。
この事業を進められた 森村組のことも全く知らずに、会場に張られた解説を拝見しました。帰ってから少し調べてみました。
世界ではまだよく知られていなかった 当時の日本のためにと、ノリタケカンパニーリミテド(我が家も仕事の研磨工具でお世話になっています☺️) の前身である森村組は、西洋の陶磁器の生産をすることを選んだそうです。
日本では まだ馴染みのなかった洋食器を作るために、平たい形の真っ白なディナー皿を苦労の末に作り上げたり、初めて作るカップの把手の付け方の工夫や、経験のない西洋の絵付けなど、
それまでの和陶磁器の製作とは異なるさまざまの問題を乗り越えて、繊細で美しい製品を作り上げられたことを知りました。
ひとつひとつ丁寧に作られた芸術性の高い製品は、伝統あるヨーロッパの陶磁器に比べて当時は求めやすい価格でファンが多かったそうです。ここからは、「作品」と書かせていただきますね。
ウェッジウッドのジャスパーウェアを模したという作品群は、泥漿を筆やへら、イッチンという細長い筒から絞り出す道具を使って、絵を盛り上げるように描いていたそうです。
華やかな表側と同じく、裏側も美しい意匠を施された作品が多いです。陶磁器は後ろに回って観る楽しみもありますね。
こちらは、ミルクを入れるクリーマーという入れ物が付いていないですし、ティーカップではなさそうですので、ホットチョコレートを飲むためのチョコレートセットだったかと思います(相変わらず頼りないことで…)。表側。
後ろに回って。
この度の展覧会で何度も出てきた「盛り上げ」という技法。「盛り上げ」で立体的に描かれたレースがふわりと巻かれたデザインの花瓶。
布を貼ってから焼いて絵付けをする布目仕上げの「色絵金彩布目」とのことです。キャンバスの上に描かれた絵のような質感のぽってりとした桃に暖かみを感じる作品でした。
藤の花。舞台衣装を纏ったサラ・ベルナールが佇んでいるかのようなアール・ヌーヴォー様式の花瓶。
どの角度からも隙のない華が感じられます。
アール・デコ様式の花瓶のデザイン画
艶やかなラスター彩の花瓶。壁に掛けてお花を飾るのですね。
こちらも アール・デコ様式の灰皿のデザイン画です。
どれもとてもきれいで楽しい絵ばかり。作画される時の気分まで伝わってくるようです。
陶磁器と同じくデザイン画も貴重な作品ですね。
上の灰皿のデザイン画が四角い小箱に。
香水瓶
若林コレクションの多くは、ファンシーウェアという飾って鑑賞する花瓶などの美術品とのことでした。
張ってあった解説を拝見しますと、アール・デコ様式の香水瓶や灰皿など、普段に使うものもデザイン性の高さから人気があったとのことで、買い求めた人は、使うほどに特別な愛着が湧いたことと思います。何より時代の新鮮な風を感じます。
テーブルウェア。中央の丸い輪が並んでいるのは、トーストスタンドなのだそうです。
その左のピエロの描かれた陶器のグラスに見えるものは、上から見ると平たい口をした入れ物で、畳まれたナプキンを挿すナプキン入れです。右端の奥の 蓋にイチゴのツマミがついたものは、ジャムポットとのことです。
「色絵金彩アクアビーディング 菊文皿」
大きな和菊が描かれた金色の地のお皿一面に 盛り上がった水色の点が付けられています。水しぶきにも感じられて、明るく軽やかなとてもきれいな作品でした。
若林経子さんの貴重なコレクションを ゆっくりと拝見させていただけるなんて… 写真まで自由に撮らせていただいて、夢のように贅沢な時間でした。
美術館から続く小径沿いには、作陶家さんたちのランタンが 意志を持つように立っています。
だれもいなくて 鶯と時々雲雀の囀りが高いところから賑やかに降ってきます。新しい緑の匂いがします。
空色のお花は、ホタルカズラでしょうか。
こちらは 見たことがあるようでわからなくて。先日拝見したブログから、コバノタツナミかもしれないと…。葉も花も小さくて控えめな感じがします。
点々と咲く花に ついつい時間を忘れています。
岸田衿子さんの 「だれもいそがない村」という詩をふと思い出して あの丸木橋を渡ると♪ と小さく口ずさんでしまいます。
詩は のどかで温かくて、森山良子さんの歌声は伸びやかでチャーミング。
…… 北の大臣 南の酋長 一日おきにけんかするってほんとですか ♪ 岸田衿子 「だれもいそがない村」より
岸田衿子さんは、かなり多忙な日々を過ごされた方だったそうです。 「くるまはぐるまくるわばくるえ」一見言葉遊びのように ふんわりとしたひらがなの並びながら、読めば鮮烈な印象を残す詩もあれば、風景が浮かんでくるような楽しい絵本の文もたくさん書いておられますね。
美術館の敷地にあるレストラン。お店のあちらこちらに小さな立杭焼の作品が飾られて、向かいの山や窯元を見渡すテラス席がある素敵なお店でした。
立杭焼のモダンな食器がおしゃれです。
コーヒーカップの口元への当たりが丁度良いです。縁の曲線にも工夫があって、厚みを薄くしたデザインでした。
掌に温かくゆったりとした気分になりました。
どんな日があっても、心の中には 急がなくてもいい特別な場所を持っておきたい。そう思います。
2回に分ければよいものを、都合でまた長くなってしまいました。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
これからまたしばらく失礼してしまうかもしれませんが、
どうぞお元気でお過ごしくださいね🌿
以前美しいブログで拝見したゼラニウム ペラルゴニウム シドイデス。忘れられなくて我が家にもふた株を。いつも素敵な植物を教えてくださってありがとうございます
花がふってくると思う
花がふってくるとおもう
このてのひらにうけとろうとおもう 八木重吉の詩
「花がふってくると思う」300m/m×200m/m 貧しき信徒
かなしいのでもいい
よろこばしいのでもいい
こころはうごいておれよ
なまなましく
かんがえておれよ 八木重吉 詩
「聖書」詩抄 200m/m×300m/m み名を呼ぶ より 重吉詩稿 八木重吉 詩 村上翔雲 書