こんにちは。
熱海の土砂災害、鳥取 島根など各地の被害をニュースで拝見しました。熱海では亡くなられた方もまだ行方不明の方もおられるとのことで、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
どうぞ 一日も早く日常に戻られますように。
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先月始めのことです。用事の合間に回ったところで、野の花の群生を見かけました。近づいてみると ヒメフウロでした。
こちらは、標高820m 奈良県吉野郡天川村洞川です。よろしければ、天川村のサイトです。ご覧くださいね。
http://www.vill.tenkawa.nara.jp/
私の住む場所とは異なる高山の植生の道をひたすら車で進んだ先の山の上に拓けていたところは、清流に沿って細長く伸びて賑わう どこか懐かしい町でした。
急いでいたこともあり、世界遺産 大峯山などの写真が撮れませんでした。歩きながら撮るのは ささやかな野の花。
たくさん咲いていても、閑けさだけが広がっていくようです。誰も立ち止らない湿った蔭りが 花で仄明るむ場所に変わります。
中心の見た感じが違いますが、 咲いたばかりの花で5本の葯が花びらに赤く点々と広がっている花と、咲いてからの時間の経過で 真ん中が赤くなった花があるからですね。すみません。見た目だけの適当な説明で…
フウロソウの仲間は小さな花で 2、3日ほどで花は終わり次々と咲くので 種を包んだ赤い実も見受けられます。
ちょっと寄り道ですが、ヒメフウロと ヒメフウロソウは、同じ花かと間違えそうな名前ですが、異なる花なのですね。
こちらは我が家のヒメフウロソウです。愛らしく咲く姿に嬉しくなります🌿
気づくと、ヒメフウロは山上川へ降りる小径や擁壁のあちらこちらで咲いていました。
においから、塩焼草とも呼ばれるそうですが、気になるにおいには、気づきませんでした。
少しだけ咲いていたこちらは 見たことがあるような ないような… 何という植物なのかわかりませんでした。外側の先の尖った5枚は萼でしょうか。
中の丸い花の中心に近づくにつれ淡い色から赤紫色になっていくところなどは 絵のような趣きにも感じられます。
後でこれは ナワシロイチゴの花と知りました。小さな赤い実が生るのでしたね。愛らしい姿が目に浮かびます。 教えてくださった方に。いつもありがとうございます。感謝しています🌿
蕾は丸くなって中を守っているかのようです。優しい色合いの小さなお花でした。
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写真の右奥に、少し隠れながら縦看板が見えています。
ここ天川村洞川(どろがわ)は、和漢胃腸薬 陀羅尼助(だらにすけ)の里で、商店街には 何軒も「だらにすけ」を扱うお店があります。
こちらの薬としての歴史は、7世紀まで遡って修験道の開祖 役行者(えんのぎょうじゃ)まで辿れるとのことですが、だらにすけは300年の歴史があるのだそうです。
役行者(役小角)、知ったように書いていますが、父が話していたとぐらいしか覚えていなくて、ほとんど存じ上げないのです。 困っておりましたら、この方が まさに今日 こちらの記事を書いていらっしゃいました。
【役行者】せっかんされた葛城の鬼神・一言主神【祇園祭 役行者山】 - ものづくりとことだまの国
開物発事さん
古代の日本の不思議を 私たちの前にダイナミックに面白くあぶり出してくださいます。この度もとても楽しく拝見させていただきました。いつもありがとうございます。
役行者(役小角)、鬼を自在に使うという伝説もあるそうで 本当に不思議な方だったようです。
どうぞご覧になってくださいね。
さて だらにすけですが、以前は 各お店の処方で 小さな丸剤のだらにすけを作られていて、大峯山で修行する修験者の方々などが買って行かれたそうです。
今は、薬事法ができて 一つの工場でまとめて作られていますが、お店では それぞれ古くからの顧客に加えて インターネットなどでも販売しているとのことでした。
だらにすけの成分は、オウバクエキス、ガジュツ末、ゲンノショウコ末の3種と聞きました。
オウバクは、ミカン科のキハダの樹皮。ガジュツは、ショウガ科のムラサキウコン。
ゲンノショウコは、フウロソウ科。この地で元気に咲いているヒメフウロとなんとなく繋がりを感じます。
ゲンノショウコ。フウロソウの仲間にはいろんな種類があり、いろんな場所で見かけるゲンノショウコは 素朴さが好きで鉢植えにしています。これは実家に咲いていたものを持って帰って来た我が家の花です。
だらにすけのお話を長く書いてしまいましたが、これは 体調を崩した連れ合いが、どんなところか存じないまま長らく だらにすけを買わせていただいているお店に伺ってお聞きした話なのです。
昔の佇まいを残されたリノベーションも美しいお店は、若いご夫婦が切り盛りされていました。
近くまで来たのでと突然伺った私たちに ご親切にいろんなお話を聞かせてくださいました。
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昔から修験者が修行に訪れる大峯山から流れる山上川には、ニジマスの群れがあちらこちらに。
網や板などで囲われることなく放されているようでした。
さらに車で奥へ進んでみると、養殖のイワナを食べられるお店がありました。先客は 家族連れが2組ほど。初めていただく岩魚(イワナ)は、サケ目サケ科のお魚。
外のベンチに座り、皮がぱりとして 中はしっとりとした身のイワナの炭火焼きをいただきながら 小さく聞こえてくる葉擦れや川の水音に出来るだけ耳を澄ませます。つい食べてばかりになりそうで… おとな気ないですね。
香りもよく野趣に富み とても美味しいのですが、私では同じサケ科の岩魚と天魚(アマゴ)の違いをお話できるほどではなくて…
ちょっと変なアングルになりました。
お刺身は甘くねっとりとした食感で、続いてじんわりと旨味が広がります。魚の味を楽しみたくて、お醤油はほんの少し。
色もきれいなニジマスの糀漬けを、持ち帰りにしてもらって 遅い晩酌のおともにいただきました。食べてから写真に撮っていないことに気づきました。
楽しいひと時を過ごしました。また改めて 散策してみたいところでした。
今日も お昼過ぎまで強い雨が降り、雷鳴が低く轟いていました。雨の止んだ夕方には 間近の山を靄がゆっくりと流れてゆきました。
こちらでも支流に勢いづいた濁流が流れ込んでいるのを見ると 心穏やかではなくなりますが、明日からは 徐々に晴れ間も出ると聞いています。
どうぞお気をつけてお過ごしくださいね。
今日もご覧くださいましてありがとうございます。
「岩間の岩魚 みずからを封じおわって沈みこむ 斑紋浮きあがる朱の幻覚 安水稔和の詩」安水稔和 詩
「空海のはるかにここに鰡(ぼら)のへそ 省二の句」岡井省二 句
「浮鯛や 同行二人となりゐたり 省二の句」岡井省二 句 上すべて 村上翔雲 書