野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

秋の日。少し遠出をしてみる (1)

こんにちは。

また日が空いてしまいました。お元気でいらっしゃいましたか。

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夜は、マツムシと鈴虫の音がよく聞こえてきます。ほかにもいくつかの虫の声が静かに重なり合って、昼間とは違う湿った空気に包まれます。寒くなりましたが 最近では曇り空にひとつ輝く火星を見ながらひと時を過ごして一日を終わります。

 

少し立て込んだ日が続いたので、気晴らしをと思い京都へ出かけました。

もうおとなになった子どもたちに声をかけましたら、意外にも一緒に行くと申します。車で1時間程ほどの所に住む息子は 拾って参ります。

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この度は 私のわがままで、京都伊勢丹

美術館「えき」京都 へまず行くことにしてもらいました。

車であれば、駐車場から美術館のある7階のフロアに直接行くことができます。

娘とこちらで落ち合いました。

 

伊勢丹の美術館「えき」では、10月25日まで

「キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」を開催されています。最近関西でも増えている予約は こちらでは必要ありませんでした。

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華やかなチェックの衣装は、作品 ベル=カズー(コレット・ド・ジュヴネル)の衣装を 北海道ドレスメーカー学院の学生さんたちが再現されたものだそうです。

 

ポーランド クラクフ出身のキスリングは、100年ほど前にフランス パリで興ったフランス人以外の画家などによる芸術活動 エコール・ド・パリを代表する画家の一人です。

19歳でパリへ行き、多くの画家との出会いを得て 才能を華やかに開花したそうです。

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先週の土曜日、入館前に丁寧なチェックを受けた朝10時には、お客はほとんどいなくて ゆっくりと鑑賞できました。と気取っていますが、キスリングが観られる!と かなり浮かれてしまっています╰(*´︶`*)╯♡

30分もすると少し混んできましたが、50点ほどのまとまった作品をこれだけ落ち着いて観る機会は なかなかないと思いました。

 

**

始めに キュビスム(キュビズム) に影響された初期の 静物画。

ご存知の方には 今更で恐縮な説明ですが、ある対象物をいろんな角度から見て捉え 一つのキャンバスに描かれた静物画は、たとえば 歪んで角張った形のテーブルに置かれたりんごとなり、観る私たちの心に訴える作品となるのですね。 

パンフレットの小さな写真になりますが、左下の絵です。歪んで見える机が迫ってくるようでした。

見えにくいですが、椅子の背にサインが書かれているのも洒落ていますね。

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この静物画は フランスの外国人部隊に志願して負傷した24歳の頃の作品でしょうか。

 

 

***

女性の肖像画は、優美な物腰で 頭を右に傾け  大きな目は 湖面の深みを覗くようで、放心にも、思いを表情に出すまいとしている強さにも、どうして…と問いかける面差しにさえも感じます。

こちらの若い(19歳とも)女性も そんな表情に見受けました。

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二つの戦争に翻弄された時代ゆえの よるべないキスリングの人生の心象が描かれているのだとしても、肖像画に描かれた顔は強く印象に残ります。 

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この度の展覧会から離れるようで申し訳ありませんが、昨年の夏に兵庫県美術館で「印象派からその先へ・吉野石膏コレクション」を観に行った折に キスリングの作品がひとつ展示されていました。

「背中を向けた裸婦」という作品は 全体が赭黄や黄茶いろといった みかんを思わせるような温かな色合いで、頭を模様の入った薄青い布で包んだ女性が流れるような美しい背中を見せて腰掛けていました。左に向けられた眼差しは ひんやりと穏やかに感じられました。(その時のブログでは シャガールの最晩年の作品の「パレード」に特に熱が入ってしまい、キスリングのことには全く触れていませんでした…)

 

***

花を描いた作品は、花びらひとつひとつが絵具を盛り上げて丹念に描き込まれ、色鮮やかで たいへん華やかです。よく画題にされたというミモザは、こぼれ落ちるように満開の小さな花がつぶつぶと膨らむその質感に見入りました。

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図録のもう一つの表紙から。

 

人物や静物の作品の背景の色は縦に分かれているものが多くて、影のように主題を直線で淡く囲んでいる作品もあり特徴的に思いました。

エコール・ド・パリの仲間、藤田嗣治との交流も深くあったとのことで、コラージュ仕立ての素敵な写真パネルが飾られてありました。

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長々と書いてしまいまして。実はこの後 京丹後市へ行ったのです。後日(せめて1週間あとぐらいには…) 続きを書かせてくださいね。

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🍂🍁

連れ合いの古い友人が 丹波篠山の黒枝豆を送ってくれました。お礼の電話ついでに 久しぶりにお出会いする約束をしていました。

大急ぎで枝から豆を外して、よくもみ洗いしてから茹でました。もっちりとして甘みが広がります。少し焼き枝豆にもしました。

 

焼いたものは、食感も良く野趣も感じて男前な味わいです。なんともシンプルで美味しい。

洗って塩をもみ込んで しばらく馴染ませた豆を フライパンで素焼きか ホイルを敷いた魚焼きグリルで焼きます。片面焼きのグリルなら途中で豆を簡単に返すといいようです。

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今日も最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。

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「猿を聞くひと 捨て子に秋の風いかに 芭蕉の句」 (340×240m/m) 「野ざらし紀行松尾芭蕉

 


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「まなこ澄む 男ひとりや いわし雲 兜子の句」(210×300m/m)  赤尾兜子  句   村上翔雲  書

 

黒い岩。奔る滝

こんにちは。

お久しぶりです。お元気でいらっしゃいますか。

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秋分の日の空です。爽やかなよいお天気でした。

 

最近小雨が降り続いたからか、夏の名残りが薄葉紙を折り畳むように片付けられて 新しい秋が静かに始まったと感じます。

今夜は、肥えてきた月が 雨に濡れた屋根を白く浮かび上がらせています。

 

🍂

鉢に植えた 姫フウロソウは、くすんだ色の小さな花を夏の間咲かせ続けていました。花が終わると 人差し指を曲げるようにして頭を下げます。

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最近 やっと元気を取り戻して花色も再びはっきりとしてきました。かわいい花です。

フウロソウとは別に ヒメフウロという種類の花もあるのですね。ゲンノショウコの仲間は、どれも可憐で種類が多いですね。

 

夏の前から来年の準備を始めている石楠花。

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今年は 気の毒なほど か弱い花が僅かに咲いただけでした。来年の春には、香り豊かな優しい花々を見せてくれればと思います。

 

こちらは、少し前までつくつくと青い芽を出していたポリキセナ。気づくと 分球したものか、土の上に ころぶように丸い球根から 小さな芽を立てています。

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🌿

連休のなか日に 人の少なそうなところだったと連れ合いが申しますので、滝を見に行きました。

兵庫県香住町村岡は 猿尾滝。2時間ほどのドライブです。

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細い県道から見える滝は、ブナやモミジなどの木々に囲まれた川の向こうにすぐに見てとることができます。

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形から名付けられた細長い滝は、雄滝と雌滝の2段になって 高さ60mの高さから 流れ落ちています。

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近づいて行くと、下の雌滝がまず目に入ってきます。

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山の形に従った階段を登って行くと 雄滝のそばに出ます。

滝が 緑の自然林を冷えた空気で包み込んでいます。

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滝の流れる岩は、猿尾滝ヒン岩体というそうです。火成岩でしょうか。上の滝の直線だけで出来上がった黒々とした岩肌は力強く見えます。

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近くへ歩いて行くと、細かい水しぶきが舞います。ひんやり肌寒く感じます。

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雄滝を受ける滝壺から 下に細く落ちるのが雌滝とのことでした。

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(ごめんなさい。5つ上と同じ写真を貼っていますね)

 

雌滝の滝壺から続く つるりとした岩盤を水が走ります。夏は子どもたちが滑って遊んでいたそうです。水は、案外と井戸水くらいの温度だと連れ合いが言っていました。

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川に沿った木々の根元に、かわいらしい色が見えます。青いツユクサは 気温が低いと 夕方4時頃でもきれいに咲いていました。

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ツユクサの近くの 距が巻いた赤紫の花は、ツリフネソウでしょうか。3輪ほどが 辺りを明るくしていました。

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入場料は 100円。ポストのような木箱に入れます。この素朴な料金箱は、早春の頃に出かけた節分草の群生地を思い出します。

 

🍇

滝を見て帰って来ると、いつもこの時期には「藤稔のおっちゃん」と勝手に呼んでいる人が (連れ合いと幼なじみなのに 失礼な呼び方ですね) 、「出来がよくないけど…」と藤稔を持って来てくださいました。

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藤稔は、今年も粒が大きくて 豊かな果汁が美味しいブドウでした。生産者の売り場へ商品として出されるのに、私たちにもお裾分けをしてくださいます。

 

 

🍁

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数日前の青い空と、終わりの百日紅の花。

若い頃に 場当たり的な長い旅を何度か一緒にした古い友人は、どんな風に過ごしているだろう。ふと思います。

2年ほど前に、ブログで少しだけ この頃の旅について触れたことがあります。私たちは、朝 ある程度下調べをしたら さっと出かけるのでした。楽しく過ごすために 安全を第一に考えて行動します。

着いたところで まずその日のお宿を探します。

日本ではなかったですし、小さなハプニングの連続でした。でも、素敵な出会いや絶景を楽しむ時間、自分で選び取る自由が楽しかった。

もし娘が同じ事をしたら、心配で心配で叱ってしまうでしょう。勝手なものです。

 

私と同じ名前のその友人からの最後の手紙には、寒い国の住所が書かれていました。美術関係の仕事をしているとのことでした。

すっかりあちらの人になったのか、手書きの住所の番地が読み取れませんでした。ラインもまだなくて、携帯電話に小さなアンテナがついていた頃のことでした。

 

 

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昨日の夕暮れ刻も キリギリスとコオロギが鳴いていました。時折 小さな雨粒が当たります。

今日は寒く感じて 長袖を選んでいました。どうぞお元気にお過ごしくださいね。また、お目にかかります。

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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「非思量」(68×34.5cm) 仏語 


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「雨の日は雨を聴く  山頭火 句」(69×69.5cm)

   種田山頭火  句     村上翔雲 書

 明石市立文化博物館 所蔵 (作品 40・51)

 

 

川辺の小さな美術館から

こんにちは。

大きな台風が過ぎまして、昔は影響を受けにくかった当地もほっとしております。

被害に遭われたところの方々が一日も早く日常を取り戻されますようにお祈りいたします。

 

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メドーセージは、花を散らしては咲いてを繰り返し、長く楽しませてくれます。葉の香りも爽やかに 元気で生き生きとした植物です。

 

🌿

先週 久しぶりに外食に出かけました。時々お世話になるお店に電話をしました。

他にお客はふた組だけの静かな夜です。お店には、80年代の洋楽が流れています。ニューヨーク・シティ・セレナーデ。映画は ライザ・ミネリが好きでした。

 

お品書きから 穴子のお刺身とオコゼの薄造りをお願いしました。

穴子は、しっかりとした食感で 噛むほどに身の旨味がじんわりと広がってきます。品のよい甘みを壊さないように、わさびと醤油はほんの少しでいただきました。繊細なお味を大切に味わいたく思いました。

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左上は穴子の肝で 右下のは胃袋だそうです。

肝は色が強いですが、あっさりとしています。お酒のいいおともですね。

 

厳ついオコゼ、こちらは淡白な身に合わせてポン酢です。自家製のポン酢も少しつけるだけに。

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オコゼも胃袋、肝、皮などを手早く造っていただきました。板前さんからどの部分かを教えてもらうのですが忘れてしまいます。もう一度教えていただいて、書き留めました。

右からふたつ目の皮と身の間のきわの部分の梅肉和えが柔らかくて美味しいです。皮と身の間に実(ジツ)がある…。果物でもそうですね。おもしろく思います。

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飲み物の写真を撮るのを忘れていました。

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以前の写真です。

美味しいお魚をいただきたい時に伺う 私たちには、ちょっと贅沢な気分にさせていただけるお店です。

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大きなかまどがあって、蒸し料理も美味しいです☺️

 

 

🍂

最後に美術館へ行ったのは 去年の12月の終わりでした。4月頃のブログには、県立美術館のゴッホ展に前売り券を買っていながら行けないというコロナへの恨み節が混ざったことを書いてしまいました。

高齢の義母もいますので、神戸や大阪へ出かけて行くのも躊躇われます。神戸に住む妹が 郊外からは来ない方が良いと申します。

車で小1時間と近い(車で1時間なら近いうちなのです…) 丹波市立植野記念美術館はどうだろうかと ひと思案して、

この度は、「山本二三展」へ行って参りました。

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エントランスホールは吹き抜けで、作品の垂れ幕が下がっていました。こちらは撮影してもよいそうで、向かって左が「もののけ姫」で 右は「くじらぐも」の背景画です。

 

山本二三(にぞう)さんは、錚々たるアニメーション作品を制作されておられる有名な美術監督と この展覧会で知りました。

背景画で アニメーションの印象が決まるのは想像できますが、特に関心を持ったことはありませんでした。

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会場にずらりと並ぶ背景画は、意外でしたが A4より少し大きなサイズで それぞれ小さな額に入っていました。

絵の端に美術監督の細かな指示が鉛筆で簡潔に書かれているものもあります。

展示されていた作品は、天空の城ラピュタ未来少年コナン、Coo 遠い海から来たクー、タイコンデロンガのいる海、ミヨリの森RPGの背景、小学校6年生の社会の教科書の細密な挿絵や 陸前高田市の 希望の木。 ほんの一部です。

 

じゃりん子チエのお店には、露地の隅のごみや下町のお店の賑わいを感じる乱雑さは描かれていませんでした。それでも大道具の部分と言いますか、がわは隅々まで描き込まれていて 曖昧な箇所はありません。

背景画は、古びた趣の室内も人の気配がないだけで時間が止まったような静寂を感じます。  

ここに計算し尽くしたいろんなものや人物を乗せて 物語の命を吹き込んでいくのですね。アニメーション制作の世界は初めて知る事ばかりでした。

 

一番印象に残ったのは、「火垂るの墓」の作品群でした。作品も30枚と 一番多く展示されていました。

「節子と人形」というタイトルのイメージボード(16.6×25.0cm)は、夕焼けのようにくすんだ薄い赤茶色の絵でした。草もない荒れた道なのでしょうか、清太が妹の節子を抱っこして歩いています。節子はおかっぱが自然に伸びっぱなしになったような髪で眠っているようでした。

メモを取ってはいけないと思って うろ覚えで帰って来てしまい申し訳ありませんが、

「8月に入って、頭がグラグラ揺れるだけで もうお気に入りの人形を抱く力もない。」という内容の文章が ボードの左下に小さく鉛筆で書かれていました。

 

「捨てられた思い出」というイメージボードは、草叢の上に サクマ式ドロップスの缶から 節子の遺骨がこぼれ出ていくつもの蛍の淡い丸い光が取り巻いている絵が描かれていました。

私は 子どもの頃に西宮市に住んでいたことがあり、夙川(しゅくがわ)、満池谷(まんちだに)と、舞台となった地名を懐かしく思います。小さい頃には「まんちだに」は、どこか不思議な音に聞こえました。

満池谷の貯水池のほとりを描いた美しい水彩の背景画がありました。

こんもりと緑深い丘の生茂る草の中に、黒く茶色くふちを取って四角に刳られた暗い穴がふたつ見えました。「火垂るの家」(25.9×36.2cm) 。そこが兄妹がたどり着いた「清太と節子の家」とのことでした。

 

当時の14歳の少年、自らも亡くなった清太は誰にも助けを求めないで 妹を餓死させた無責任な兄なのでしょうか。

状況が違いますので比べられないことかもしれませんが、11年前に14歳だった息子や息子の友人たちは、どちらかと言えば単純で素直でした。部活や友人同志で他愛なく遊ぶことが好きで、学校生活を楽しんで過ごしていたように思います。

私どもの子どもは、いなかの子どもで おとなばかりの環境で甘やかして育ててしまいましたので何とも言えませんが、もっとしっかり育てていれば 4歳の妹がいたとして あの状況で 一人きりで守ることができたのかどうか。…それでも酷なことと思います。

火垂るの墓」の次には、「はとよ ひろしまの空を」という作品の、精緻な「原爆ドーム」の背景画と、「原爆の後」の背景画が続きました。瓦礫の地面にひどく傷ついた人々が累々と倒れていました。透明のセルを小さな形に切って描かれた人々は 瓦礫の背景画に貼られていましたが、極く単純化されていても悲惨な状態でした。

 

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最後のフロアに 5分ほどのビデオが流れていて、拝見しました。

山本二三さんは、中学卒業後、集団就職長崎県五島列島を離れ、岐阜県の夜間高校へ進み 建築を学ばれたそうです。昼間は石材会社で働いて夜間高校から専門学校へ。そこで水彩画を学ばれたとのことでした。水彩画を描く時には、紙に穴が空くほど描けと指導されたことが後に役だっているとおっしゃっておられました。ゆっくりとお話される穏やかなお顔。

 

屋久島へ出かけられて取材された「もののけ姫」のしんと深くて木霊の気配が漂う シシ神の森の 苔に覆われた木々や それに絡みつく花々、

室内から受ける無機質さとは異なる 生命の力のようなものが 小さな背景画から迫って来るようでした。

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時をかける少女」の主人公の家の道路沿いの外壁いっぱいに咲く古めかしくも華やかな植栽の庭など、背景画やイメージボードは 吸い込まれるように美しい水彩画でした。

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(以上は、展覧会撮影用のボードとパンフレットの写真です)

 

🍂🍁

海水温度が高くなっていると聞きましたが 季節は巡り、桜の葉が栗色になってかさかさと落ちてきました。ここ数日で朝夕の空気が軽く感じられます。

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しばらく 桜の落ち葉を毎朝掃き集める日が続きます。

美術館のお話の時は、つい長くなってしまいます。ごめんなさいね。ご覧くださいましてありがとうございます。

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「存在を超えた無限なもの」(68×69cm)


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「存在に還える無限なもの」(68×69cm)

草野心平 詩抄  村上翔雲 書  

明石市立文化博物館所蔵(作品33 34)

百日紅と小さなお堂

こんにちは。

前回は、たくさんの方にご覧いただきコメントをいただきまして ありがとうございました。ブックマーク、スターもたくさんいただきました。悩みながら書いただけに、本当に有り難いことと思いました。皆さまに心から感謝いたします。

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☀️

日中は ミンミンゼミが、辛抱強い鳴き声で鳴いています。

薬師堂の斜面に桜の木が植えてあり、野鳥や虫が住んでいます。ミンミンゼミにアブラゼミの声とツクツクボウシが重なるように聞こえてきます。クマゼミは 今年は聞こえてこないようです。

今の季節は、時間によっては マムシ(こちらでは、はめ と呼ぶ人もおられます) と鉢合わせをするので、すぐに草まみれになる無人の薬師堂の敷地へは入ることはできません。

マムシなど長いものについては、時々ご近所からいろんなお話をお聞きします。我が家でも一昨日、ヤマカガシの子どもが 礼儀正しく玄関から訪問しようとしていたなど (なぜそれを 連れ合いは今日まで教えてくれなかったのか…) 話題に事欠きませんが、知りたい方はいらっしゃらないでしょうから やめておきましょうね。

 

🌿

お盆が過ぎたある日の 少し涼しくなった朝 (6時半くらいのものですが) 、久しぶりにカメラを持って 近所を歩いてみました。

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露草が群生しているところです。昼間は花の姿も見えない緑の草叢ですね。

広がって繁茂するため、すぐに刈られてしまう野の花。つぼみを包んだぷっくりとした若緑の苞葉がかわいらしいです。

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露草の花びらは、明るい青に朝の光が溶け込んだようにパールがかかっています。

花開いた露草は、見るほどに涼しげでした。

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こちらは ユウゲショウでしょうか。露草と一緒に咲いています。夕方に咲くとは限らないそうですね…。

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去年 朝日の中で美しく咲いていた百日紅。今年も出会えました。

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この木は どんなに暑い日も静かな面差しで咲いています。手の届くところの花を仰ぎ見ていると 夏の疲れを忘れさせてくれる優しくてたおやかな風が仄香ります。

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🌿🌿

この近所に見てみたいところがあり、翌日 改めて見に行ってみました。

崩れかけの茅葺き屋根の上に 濃桃色の百日紅が盛んに咲いています。

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子どもたちが小さい頃は、土壁もあり 建物らしかったのですが、今は柱だけを残してひっそりと建っている茅葺き屋根の小さなお堂です。

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こちらには牛の神さまを祀っていると義母から聞きました。昔は馬喰(ばくろう・ここでは 養牛ですね)さんが何軒もおられたそうです。

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釘を使わないで建てられているとのことです。今は建て直すお金がなくて崩れるままになっています。

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屋根の裏です。

 

欄間のようにも見えます。
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草の中に立っていると、ただ ツクツクボウシの声が聞こえてきます。

 

🌙

夜 偶々外に出てみると、玄関灯の下辺りの外壁にぶつかって滑り落ちるものがいます。

植木鉢の間で 仰向けになってバタバタしていました。大きなトンボだなと見ていると、すぐに立て直して玄関の中に入って来ました。連れ合いが自分の手に捕まらせて写真を撮ったものを送ってくれました。

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この辺りでは、あまり見かけない虫です。ギンヤンマでしょうか。写真を撮った後 庭のもみじに止まらせました。

 

***

義父が 療養型の病院にお世話になって3ヵ月が過ぎました。入った頃は、自分で栄養が摂れないので あと1ヵ月ほどかもしれませんと言われていました。それでも おかげさまで 自分で少しずつ食べるようになり、そのまま過ごすことができています。

長らく会えていないこともあり心配は尽きませんが、落ち着いている様子を 担当の看護師さんから教えていただき ほっとするとともに感謝しています。

 

夜の薬師さんからは、ヒッヒッと聞こえる多分カネタタキの仲間や、エンマコオロギ、高い音のマツムシ、小さく鈴虫の声が聞こえてきます。

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こちらでも久しぶりに雨が降りました。雨上がりは蒸しますね。お体 大事になさってくださいね。

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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今年は サギソウがまだこんな感じです。咲いてくれればいいのですが…

 

 

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「何の木の花とはしらず匂うかな 芭蕉の句」(340×240m/m) 笈の小文 松尾芭蕉

 

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「かなかなのひとつ啼き澄み塔ありぬ 三樹彦の句」伊丹三樹彦 句    村上翔雲 書

くずれぬへいわを

こんにちは。

暑い日が続きますが、お元気でいらっしゃいますか。

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この時期、「カラスの山」から、「ヒグラシの山」になってしまう手前の丸い山の裾に広がる田んぼが美しく育つさまを眺めながら歩いています。

例年なら あちらこちらの田んぼで山田錦の幟が立ちますが、日本酒の売り上げの不振のための減産とのことで寂しく感じます。背の高い酒米 山田錦の姿を今年は見かけません。

夕方遅くに 少し気温が下がると、ここから さざめくような蜩の声が聞こえてきます。

 

***

この度は、父の作品のことで かなり個人的なことを書き留めております。長くなり申し訳ありませんが、よろしければ どうぞおつきあいくださいね。

 

7月の終わりに、明石市立文化博物館に父の作品 51点を収蔵していただくことになりました。

広島県出身で 後に越した山口県岩国市に実家のある父は、兵庫県神戸市へ移ったあと 明石市に終の住処を得て、亡くなるまでの33年ほどを過ごしました。

明石ゆかりの書家として、収蔵してくださった明石市立文化博物館の皆さま、ありがとうございました。当日は 作品の写真を撮る許可もいただき、長い時間をかけて丁寧におつきあいくださいました。

 

父が亡くなってから 9年が経ちましたが、

その間 お忙しい中にも関わらず、ずっと父の作品の保存のためにご尽力いただきました名筆研究会の 井元祥山先生をはじめとする先生方のご熱意と、妹の父の作品への強い強いきもちに従うようにして 私も微力ながら作品の記録などを手伝わせていただいてきました。

 

先生方は 所蔵していただく作品として、柿本人麻呂 (明石には「人丸(ひとまる)さん」と親しまれている柿本神社があります) の歌や、松尾芭蕉種田山頭火永田耕衣、石井峰夫、西脇順三郎などの句や詩による、父の代表作を選んでくださいました。

名筆研究会の先生方には、この間 数えきれないほどの作業や 博物館の方とのお話し合いを前に立ってしていただいたことや、その都度ご足労をいただいておりますことを心から感謝いたします。

 

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そして、私の拙いブログをご覧くださる皆さまからは いつも励ましをいただきまして「野の書ギャラリー」を続けてくることができました。

こんなささやかなブログをご覧いただくことは とても有り難いことなのだと しみじみ感じております。

いつもありがとうございます。

 

***

この度、この件で 普段は記事の後にお名前を拝見するだけだった神戸新聞社 明石総局記者の吉本さんに博物館で取材していただき、家族から見た父についても少しお尋ねいただきました。

後で、版が違うから我が家では手に入らないかもしれないと 掲載された新聞記事を送ってくださる方もいらっしゃいまして 感謝して拝見させていただきました。      妹が 私のスマートフォンでも様子をこっそり撮ってくれていましたが、取材してくださる吉本さんに対して なぜか頭を押さえながら四苦八苦の態でお答えしている様子に見えてしまう私 (ちゃんとお答えせねばと とろい頭で必死に考えていたのは確かです…)がどうにもお見苦しいので、その写真は控えます。妹はなぜその瞬間を撮ったのか…

 

父の作品をものする姿勢は、家族から見てどういうものであったかと、他の方からも時折お尋ねいただくことがあります。

 

生前の父をご存知で、ご覧になられるとご不快に思われる方がいらっしゃるかもしれません。それでも、私は 家族として この機会にこのようなことも飾らず書き残しておきたく思います。

 

優れた芸術家は、大勢、本当に大勢いらっしゃいます。

ご存知の通り美術館や博物館の収蔵スペースは限られていて、その上 紙の作品は湿度管理や害虫対策など 保存するためにはかなりの手間とお金がかかります。

始めの方に少し書きましたが、父が亡くなった後、遺された作品をどうするのか、私には取り立てて考えはありませんでした。

 

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父は情が深くて家族を大切にしてくれる人でしたが、感情の吹き出しようには とてつもない苛烈さがあり、

作品を突き詰めるためには、また自分の意志のためには、へつらいや妥協はもちろんのこと、日常さえも撥ね付けて飛ぶ矢のようなものであったと、家族として感じております。

どこのご家庭でも程度の差はあっても このようなことはよくあることと思います。

何の才能もない私は、普段の父を悪く言うつもりはなく、今はなるべく多くの作品を保存していくために書家としての父の人生を辿り続けているだけに過ぎない者ですが、そんな私から見ても

父は ただひたすらに道を求める人生だったと思います。

よく印象に残っていますのは、晩年になって何度も入院した時に 看護師さんやスタッフの方々で希望されることがあると、喜んで自筆の書道や硬筆の手本をコピーしたものを差し上げていました。

皆さんも繰り返し練習してくださっていたようでした。感謝の言葉も度々いただき、父は「いろんな人に書を楽しんでもらうことが仕事だから」と嬉しそうに申しておりました。

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初めて 父について書いたような気持ちがいたします。このブログの成り立ちの性質とは言え、個人的過ぎる堅いお話になりまして ご覧くださる方には本当に失礼いたしました。

 

 

🌿🌿🌿

今年は、終戦から75年ですね。

自分の子どもたちが大きくなるに連れて、

我が家の墓地にある 天辺が四角錐になったお墓を掃除する時に、そこに眠っている 義父の長兄の「種ちゃん」(またもや勝手に 私だけがそう呼んでいます) に話しかけるようになりました。

お盆の前、杉林を抜けたところにあるこちらの墓地の蝉時雨はツクツクボウシです。少し湿りのある濃い緑の匂い。照り返しが眩しいです。

種ちゃんの時間は、数えの23歳で止まっています。ソロモン諸島の激戦地ブーゲンビル島で戦死したと墓石に刻まれています。

連れ合いも私も確認していませんが、多分お骨はありません。

 

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戦争や紛争は、いまも世界中で止む間もなく続いているけれど、年齢などに関係なく 誰にとっても人生はかけがえのないもの。

親でもある私は、これから広がる未来があって 毎日が新しくて 悩みも楽しいことも全身で生きる年頃の人には、どうしても幸せでいて欲しい。誰もこんな目に遭って欲しくない。

心からそう思います。

 

 

今日は、所蔵されておられる明石市から許可をいただきました寄贈の作品から、早速披露させてください。(所有者は変わっても、著作権は別で 死後70年は私ども遺族に所属するのだそうですが、こんな日が来るなんて夢のようです。)

 

この詩を書で表現した 拳を固め飛礫の前に向かい立つような作品を 私などが出させていただいて良いのか。なかなか思い切れなくて、ブログにあげるまで長くかかってしまいました。

 

 

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「ちちをかえせ 

 ははをかえせ 

 としよりをかえせ 

 こどもをかえせ 

 わたしをかえせ 

 わたしにつながる

 


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 にんげんをかえせ 

 にんげんの

    にんげんのよのあるかぎり 

 くずれぬへいわを 

 へいわをかえせ」

 

(69×135cm)  

原爆詩集 序   峠三吉 詩  村上翔雲 書     

       明石市立文化博物館所蔵 (作品11-1.2)           

 

 

今日も ご覧いただきましてありがとうございます。

               野の書ギャラリー

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小さな歌

こんにちは。

こちらも先週 梅雨が明けました。お元気でいらっしゃいますか。

 

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ご近所からミョウガをもらいました。

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我が家でも植えてみましたが、繁った葉っぱに雨がえるが留まっているばかりで まだ出てきていません。

いただいたミョウガを量ってみると150g 以上ありましたので甘酢漬けにしてみました。(多分 去年どなたかのブログで拝見したと思いますが…すみません。どなただったのか控えるのを忘れていました) 

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さっと湯がいて甘酢に漬ければ、翌日には明るい赤紫に。

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またぶれてしまいました。更に数日経ったもの。

こちらを縦に細切りにすると、食感もよくなり いい箸休めになりました。

 

 

 

☂️

雨が強く降った午後、濡れたベランダに小さい蝉が落ちていました。

珍しくて そっと拾い上げてみます。

4cmもないニイニイゼミ

蝉を触るのは苦手ですが、重みも温度もないこの蝉の翅は、私が思うよりずっと薄くてやわらかでした。

地味な色めの翅には精緻な模様。ニイニイゼミの鳴き声は、後から追いかけるように羽化して鳴き始めるアブラゼミからすると、やや硬質な音のようにも感じますが 控えめでそれほど耳につかない気がします。

小さな歌を奏でた蝉。捨ててしまうのも躊躇われて木槿のそばに埋めました。

 

 

🍀

新聞の切り抜きを時々しておりまして、1カ月に一度載る木皿泉さんの「木皿食堂」という随筆を楽しみにしています。木皿泉さんは、脚本家で小説家です。ご夫婦おふたりでのユニットのお名前ですね。

「すいか」、「野ブタ。をプロデュース」や「Q10」など意外性があって心に残るドラマを書いておられます。

 

今年の始めの 「木皿食堂」では「見えないのにある 」ということについて書いていらっしゃいました。

ご主人の方の木皿泉さんは、子どもの頃に友達から「そうかぁ。お前は 24時間障がい者なんやなぁ。」と言われたそうです。その友達は 自分が知らない時間でも、木皿さんが ずっと障がいと一緒に生きている日常にふと気づいたとのことでした。

 

あるのに見えないものとは こうした気づきであったり、「もうこの世にはないのに、心から思わずこぼれるように落ちてくる」かけがえのない思い出のようなもののことで、

「見えないのにあるもの」を誰もが持っていることを思い浮かべられるのであれば、

「今夜、寝る場所のない人がいる。どうにもならないことを、少しのお金で請け負って格闘している人がいる。」ということなどを想像する力を 私たちは持っているのだとのお話でした。

 

 

かなり以前に BSで放送された木皿泉さんのドラマ「昨夜(ゆうべ)のカレー、明日のパン」の中で、

登場人物である まだ若い一樹の病状とこれからのことについて主治医から説明を受け、夜遅く帰るギフ(義父ですね)と一樹の嫁のテツコの道すがら、そこだけ暖かな灯りをともして仕事をしていたパン屋さんがあることに気づく一節がありました。

すべてが終わってしまう打ちひしがれた辛い気持ちと、パンの焼ける香り。

ギフとテツコは 温かい猫を抱くようにして焼き上がったばかりのパンをかわりばんこに抱えて帰ります。人は悲しみの中にいながら、幸せな気持ちにもなれる。繋がらないようで、心の中で一緒に存在する感情。

 

木皿泉さんのドラマや小説のそこここに置かれた小さなモチーフは、まるで新鮮な初夏の空気が吹き込む小さな風穴のようで、

どんなことがあっても また明日を迎える平凡な日々の暮らしをこそ大切にしなくてはと改めて思うのです。

 

 

***

去年の今頃は 連れ合いの伯母の四十九日が明けるまで、日が暮れると毎日ご詠歌を上げていました。

夕間暮れから小一時間、ひんやりとしたおりんの音と 前栽からヒグラシの声が静かに響いてきたことを思い出します。

 

 

夏のお花。

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7月の中頃に、国道沿いのひまわり公園が満開になっていたのに気づきました。

用事のついでの短い時間に寄らせてもらいました。

 

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この頃は強い雨の続いた後でした。無造作に咲いた花姿も美しく健気に感じます。

香りはあまりしない植物ですが、空気が清々しく気持ちのよいところでした。

こちらは 7月の終わりにひまわりの花の摘み取りをさせてもらえます。秋になると一面のコスモス畑に模様替えされます。

 

 

月明かりが冴えざえと 屋根や咲き始めた百日紅を浮き上がらせています。辺りが照り映えて、山の稜線がくっきりと見えています。 

お話したいこともありますが、まだ少し早いように思います。またの機会にいたしましょう。

次回は、お盆明けにお目にかかります。

 

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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「天窓よりうすら日あかき洗膾(あらひ)かな」(210×300m/m) 玄玄・海鳴り 赤尾兜子(あかお とうし) 句

 


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「呪はれたる第六日の所産

まことわれら すでに孤獨に慣れて喜怒哀楽 すべて そのうちより感ずることをうべければなり 砕花詩抄」(300×200m/m) 富田砕花 詩  村上翔雲 書

 

ぽんす会 ようやく再開する

こんにちは。

庭の咲き進んだ花と まだ元気な花が並ぶ紫陽花が 穏やかな佇まいを見せています。ここ数日お天気のよい日が続いていました。今日も蒸し暑かったですね。

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石に着生している風蘭です。張り巡らされる厳つい根は恐ろし気にも感じられ、土から栄養を摂ることもなくただ水だけで 緑の細長い葉を四方へ伸ばしています。

梅雨時に小さく真白の花を咲かせます。着生植物の風蘭の魅力は全身で生きる様を見せることかと思います。植物の気丈を思います。

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🎣

少し前のことになりましたが、6月の晴れた日に「ぽんす会」と私が勝手に呼んでいる連れ合いたち釣り仲間のうちの3人が10カ月ぶりに船釣りに出かけました。

この度は、ケンサキイカ狙いでした。

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ぽんす会が乗せてもらったイカ釣り船です。

 

✳︎ 初めてご覧くださるかたに。「ぽんす」とは こちらの方言で、釣り好きが昂じた者というほどの意味です。義父が「あいつは ぽんすやからのぅ。」と言うのを聞いて面白く思いすぐに覚えました。

 

日本海兵庫県豊岡市竹野町 竹野浜沖です。

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向こうは夕日が美しい猫崎半島とのことです。大きな山と小さな山。うずくまる猫のように見えるところからの地名と聞きましたが、角度によっては、キューピーさんが仰向けに寝ているようにも見えるのですね。

 

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この日は、潮風も爽やかな気持ちのよい日和だったそうです。

 

連れ合いは、小さなイカをいくつかと、

天秤フカセ (釣り糸の途中に重りとオキアミという小さなエビを入れる餌カゴと天秤というパイプを繋いでいます。釣り糸の先には少しずつ離して針を2〜3個ほど付けます。

どちらかと言うと、しばらく放っておけるので のんびり海を楽しみながら魚が針にかかるのを待ちます。)   という釣り方で50cmの真鯛を揚げました。

並べ方がちょっとお見苦しいですが…ささやかな釣果です。

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ご一緒した方には、我慢強く完全フカセで 74cmの真鯛と、65cmのヒラマサを揚げた人もいたようです。(完全フカセは、重りや餌のカゴを付けないで 針にオキアミを引っ掛けて釣る釣り方で 船から潮の流れに任せてふわふわと釣り糸を漂わせるそうです。

この漂う感じが フカセという釣り方の名前の由来で、より魚との駆け引きを楽しめる釣り方だそうです)

釣り方や仕掛けを知っているかのように書きましたが、連れ合いからの受け売りです (全部 伝聞調になりまして。すみません)。 山奥に住んでいるのに 釣りに関する仕事をしていますが、釣りに行く時は ほとんどお楽しみばかりのようです。私のわかりにくい説明でごめんなさいね。

 

 

帰って来てから、真鯛とケンサキを捌いてくれました。

去年の9月に ぽんす会が小豆島で鯛を釣った時に、

さくにした鯛の皮目の方から熱湯を掛けて氷で締めると美味しいですよと湯引きを教えてくださった方がいらっしゃって

今度こそと思っていましたが、皮付きでさく取りしたのを置いておいて下さいと伝える前に お刺身に造られてしまっていました。

お刺身はとても美味しかったですが、ちょっと残念…

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ケンサキイカは、当日の食感がしっかりしていました。冷凍したものを翌日もいただきましたが、身の透明感が更に出て 旨味と甘味が濃く感じられました。食べ比べも楽しいものですね。少し寝かせると味わいが深まるように思いました。

ゲソやミミは 何も味付けしないで魚焼きグリルで軽く焼くだけですが、この場合は 単純な調理がかえっていいかもしれませんね。

たくさんあるので、少しずつ解凍していただいています。

 

この時には外出の自粛が明けたと思って、嬉々として釣りに出かけていましたが、今はまた外出は控えております。しばらくぽんす会はお休みですね。

 

 

🌿🌿

ぽんす会が釣りに行く数日前に、マダコを釣りに行かれた方から 入れ食いだったよと 30〜50cm位のサイズのタコを10匹ほどいただきました。

タコは調理をする前に冷凍すると下処理をしやすいと教えていただいて、生のまま冷凍しました。

凍ったタコを二つ取り出して 下処理を済ませ(不慣れなうちは 思い切りが悪くて手早くできませんでした…)、粗塩をたっぷりかけて揉み洗いをしました。

湯がいて 茹でダコと、柔らか煮にしました。不器用な私が作っても美味しくいただけました と思いたいです。元々美味しいタコだったから美味しいのですね。感謝していただきますね。

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タコは足先が汚れているから切るようにと言われて タコの足先を切って料理しましたが、お店で売られている茹でダコは足先は特に切っていないですね。食べて具合が悪くなるようでもないですし…  

 

 

🌿🌿🌿

付け足しのようになりますが、タコの柔らか煮や鯛のお刺身を盛った器は どちらも兵庫県丹波篠山市今田町立杭焼(たちくいやき) のものです。

若い頃にはよくわからなかった独特の素朴さが魅力の立杭焼に関しては、またの機会に書かせてくださいね。

 


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しばらく空の重たい日が続きましたが、ここ数日は こんな景色に。

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昨日今日と、夕方から曇り出して 梅雨明けはまだとのことですが、この写真のような新しい季節を知らせる雲を見ていると、気持ちが浮き立つように思います。

薬師堂から聞こえてくるのは、アブラゼミに変わって。

 

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肝心のお花がぶれてしまいましたが、近くの藪の中で。ヤブカンゾウでしょうか。

 

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白く燃え立つように見えるガマの穂が 茶色に変わろうとしています。

 

前回は、思いがけずたくさんの方にご覧いただきました。スターやコメント、ブックマークをくださった方もいらっしゃり、本当にありがとうございました。

その時に わざわざ過去の記事にまで目を通してくださった方々や、ブロガーバトンのこととは別にずっと過去の記事をご覧いただいてくださる方にも感謝申し上げます。ありがとうございます。

 

気持ちの落ち着かないことも多い毎日ですが、どうぞお体大切にお過ごしくださいね。

 

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「意志の後退は實質の失はれた部分だ」(445×350mm)  ボードレール

 


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「土の幻影 去るにしのびず橋のらんかんによる 順三郎 詩」(75×115mm) 西脇順三郎 詩  村上翔雲 書

 

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