こんにちは。
前回の お話は、いくつかのことが重なり 沈み込んでしまった気持ちの時に書いたものでした。ご覧くださった方、スターやブックマークコメントや コメントの内容にまで お気遣いくださった方もいてくださったことに とても感謝をしております。そして 申し訳なく思います。反省しております。
木瓜の花が 咲き揃ってきました。赤い花と 白から 薄紅にゆっくりと染まっていく花。
場が一度に 華やぎます。
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2月に別の展覧会を観に行った時には、寒々としていましたが、先週は 桜がちらほら咲いていました。冷たい風が時折強く吹いています。
10時頃に チケットはすぐ買えましたが、混雑していました。
大阪展の展示作品が取り囲む 撮影スペース。
風俗画の主題には特別な出来事はなく、市井の人の普段の一瞬の表情を切り取られているようでした。描かれる前を想起し、描かれた後の人物の思いが ゆっくり流れ込むように 観る側の想像が広がっていきます。
「取り持ち女」は 日本初公開とのことでした。 東京で公開された「ワイングラス」や「牛乳を注ぐ女」に興味がありましたが、どちらも大阪では観ることができなくて、残念に思っていました。
他のオランダの画家の作品の後(素敵な絵がたくさんありました)の フェルメールルームの手前に 解説のビデオを見られる部屋があり、たくさんのお客が見ておられました。
私も 壁際から見ていると、やがて「取り持ち女」の解説が始まりました。
こちらの「取り持ち女」と、次の「手紙を書く女」は 絵葉書を使わせていただいています。
「取り持ち女」の人物は、いずれも表情があからさまで あまり感じがよいとは思えませんでした。 絵の大きな部分を占める この黒ずんだ3人の印象が強すぎて、他のところが目に入ってきませんでした。
影のかかった3人の人物。まず 向かって右の赤い服の男は、若い女を買おうとする客で、中央の黒い布で頭をくるんでいるのは、客と商品である女を取り持つ女とのことでした。客の男は、代金を若い女の手に落とそうとしています。
絵は上から描き直されているそうです。描き直される前には、代金のコインは 女の手にありましたが、今にも女の手の中に落とそうとするように描き直したことで 絵に動きが出て、それが観る者にスリリングな印象を与えているとのことでした。
ひとり光を受ける女は、生き生きとした肌の色や赤みの強く差した頬、はっきりとした黄色の上着が際立って まわりの者たちより 遥かに若く華やいでいるのが対照的です。手に持つグラスに入っているのは水でしょうか。では、横の青地に白い模様の入れ物は水差しで、酔い醒ましの水なのでしょうか。ワイングラスなら享楽を表しているのですね。想像が 膨らみます。
後ろに立つ左の男は、画家その人であるかもしれない。他の3人は お金のやり取りに 気を取られているけれど、この人物だけが こちらを見ている。でも、フェルメールだという確たる証拠は ないそうです。
なるほど、少しでも知ると この絵の持つ物語性や 構図の美しさ、気取りのない明け透けな一瞬を切り取られた人物の表情を よく観てみたくなります。
「手紙を書く女」は、落ち着いたトーンの柔らかな日差しの中で 微笑みを浮かべて こちらを見る女性が、とても愛らしいです。左の手元に 黄色のリボンのついた真珠の首飾りが 光を受けて柔らかく輝きます。お出かけ前なのでしょうか。
左手から差し込む光や、繰り返し描かれる毛皮でぐるっと太い縁を取った黄色の上着。真珠の首飾り。織物。市松模様の床など。
ラピスラズリを擦り混ぜたウルトラマリンブルーの絵の具以外にも、観て気づく 楽しい仕掛けが たくさんありました。
東京開催の頃から ずっと焦がれていた フェルメール展。しばらく思い出して楽しみます。
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この後、あべのハルカスへ久しぶりに昇ってみました。
16階から、60階まで 直通で上がります。エレベーターの中では 外は見えないようになっていますが、見上げると星のように輝く光が落ちてくるようでした。
中は 回廊になっていて、2階下の58階は 吹き抜けの空中庭園になっていました。風が強いです。今は 季節に合わせて 造花の桜や 緋毛氈が飾られていました。
高さは 300mだそうです。
今 行ってきた博物館が見えました。
曇っています。南港咲洲の方向には、背の高い大阪府庁舎と 赤い港大橋が ぼんやりと見えています。お天気が良ければ、その向こうに 明石海峡大橋が見えます。
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帰って来ると、山奥で休んでいる田んぼの向こうに 低く架かる とても親しみやすそうな虹が見えました。
ハードルを下げてくれたようです。がんばってみれば、何でもできそうな気がいたします。 寂れたいなかの風景。 もう少し きれいな場所ならよかったでしょうに。でも、本当に 気取りのないお茶目さです。
また、長々と書いてしまいました。
最後まで お付き合いくださいまして ありがとうございます。
週末は お天気でしょうか。どうぞ 楽しんで お過ごしくださいね。
「存在を超えた無限なもの」(680×690m/m) 草野心平 詩
「存在に還える無限なもの」(680×690m/m) 草野心平 詩 村上翔雲 書