野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

心の中に静かに流れ込んでくるもの

こんにちは。

前回の お話は、いくつかのことが重なり 沈み込んでしまった気持ちの時に書いたものでした。ご覧くださった方、スターやブックマークコメントや コメントの内容にまで お気遣いくださった方もいてくださったことに とても感謝をしております。そして 申し訳なく思います。反省しております。

 

木瓜の花が 咲き揃ってきました。赤い花と 白から 薄紅にゆっくりと染まっていく花。f:id:snow36:20190404193056j:image

場が一度に 華やぎます。

 

 

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先週 大阪市立美術館フェルメール展」に行って参りました。

2月に別の展覧会を観に行った時には、寒々としていましたが、先週は 桜がちらほら咲いていました。冷たい風が時折強く吹いています。

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10時頃に チケットはすぐ買えましたが、混雑していました。


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大阪展の展示作品が取り囲む 撮影スペース。

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風俗画の主題には特別な出来事はなく、市井の人の普段の一瞬の表情を切り取られているようでした。描かれる前を想起し、描かれた後の人物の思いが ゆっくり流れ込むように 観る側の想像が広がっていきます。

 

「取り持ち女」は 日本初公開とのことでした。 東京で公開された「ワイングラス」や「牛乳を注ぐ女」に興味がありましたが、どちらも大阪では観ることができなくて、残念に思っていました。

他のオランダの画家の作品の後(素敵な絵がたくさんありました)の フェルメールルームの手前に 解説のビデオを見られる部屋があり、たくさんのお客が見ておられました。

私も 壁際から見ていると、やがて「取り持ち女」の解説が始まりました。

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こちらの「取り持ち女」と、次の「手紙を書く女」は 絵葉書を使わせていただいています。

「取り持ち女」の人物は、いずれも表情があからさまで あまり感じがよいとは思えませんでした。 絵の大きな部分を占める この黒ずんだ3人の印象が強すぎて、他のところが目に入ってきませんでした。

影のかかった3人の人物。まず 向かって右の赤い服の男は、若い女を買おうとする客で、中央の黒い布で頭をくるんでいるのは、客と商品である女を取り持つ女とのことでした。客の男は、代金を若い女の手に落とそうとしています。

絵は上から描き直されているそうです。描き直される前には、代金のコインは 女の手にありましたが、今にも女の手の中に落とそうとするように描き直したことで 絵に動きが出て、それが観る者にスリリングな印象を与えているとのことでした。

ひとり光を受ける女は、生き生きとした肌の色や赤みの強く差した頬、はっきりとした黄色の上着が際立って まわりの者たちより 遥かに若く華やいでいるのが対照的です。手に持つグラスに入っているのは水でしょうか。では、横の青地に白い模様の入れ物は水差しで、酔い醒ましの水なのでしょうか。ワイングラスなら享楽を表しているのですね。想像が 膨らみます。

 

後ろに立つ左の男は、画家その人であるかもしれない。他の3人は お金のやり取りに 気を取られているけれど、この人物だけが こちらを見ている。でも、フェルメールだという確たる証拠は ないそうです。

なるほど、少しでも知ると この絵の持つ物語性や 構図の美しさ、気取りのない明け透けな一瞬を切り取られた人物の表情を よく観てみたくなります。

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「手紙を書く女」は、落ち着いたトーンの柔らかな日差しの中で 微笑みを浮かべて こちらを見る女性が、とても愛らしいです。左の手元に 黄色のリボンのついた真珠の首飾りが 光を受けて柔らかく輝きます。お出かけ前なのでしょうか。

左手から差し込む光や、繰り返し描かれる毛皮でぐるっと太い縁を取った黄色の上着真珠の首飾り。織物。市松模様の床など。

ラピスラズリを擦り混ぜたウルトラマリンブルーの絵の具以外にも、観て気づく 楽しい仕掛けが たくさんありました。

東京開催の頃から ずっと焦がれていた フェルメール展。しばらく思い出して楽しみます。

 

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この後、あべのハルカスへ久しぶりに昇ってみました。

16階から、60階まで  直通で上がります。エレベーターの中では 外は見えないようになっていますが、見上げると星のように輝く光が落ちてくるようでした。


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中は 回廊になっていて、2階下の58階は 吹き抜けの空中庭園になっていました。風が強いです。今は 季節に合わせて 造花の桜や 緋毛氈が飾られていました。
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高さは 300mだそうです。


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今 行ってきた博物館が見えました。


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曇っています。南港咲洲の方向には、背の高い大阪府庁舎と 赤い港大橋が ぼんやりと見えています。お天気が良ければ、その向こうに 明石海峡大橋が見えます。

 

 

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帰って来ると、山奥で休んでいる田んぼの向こうに 低く架かる とても親しみやすそうな虹が見えました。

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ハードルを下げてくれたようです。がんばってみれば、何でもできそうな気がいたします。       寂れたいなかの風景。 もう少し きれいな場所ならよかったでしょうに。でも、本当に 気取りのないお茶目さです。

 

また、長々と書いてしまいました。

最後まで お付き合いくださいまして ありがとうございます。

週末は お天気でしょうか。どうぞ 楽しんで お過ごしくださいね。

 


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「存在を超えた無限なもの」(680×690m/m)   草野心平


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「存在に還える無限なもの」(680×690m/m)   草野心平 詩        村上翔雲 書