野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

アイナメ。カレンダーの絵に思う

こんにちは。

梅雨間近の湿気の重さを感じる夜に クチナシの香りが漂うようになりました。

あかくなった麦が刈られ、山裾の川沿いには ゲンジボタルの光が ふわり飛び、消えます。

 

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食事に連れて行ってもらいました。5月が忙しそうだったからだそうです。そんな風に見えていたのでしょうか。少し反省します。でも、気を使ってもらっているようで嬉しく思います。

お店は 時々 伺うところです。以前 釣ってきた魚をお刺身にしてもらったことがあります。我が家にすると ちょっと 贅沢なお店なので あまり行けないのですが。

カウンター席に座ると、魚を捌く様子が見えます。

アイナメのお造りをお願いすると、先に注文の入った他のお客さんの オコゼの姿造りを作っておられました。

旬の オコゼは なかなかのサイズで、みるみるうちに出来上がっていくさまを眺めます。このグロテスクな姿の魚が どんなに繊細な味わいを持ち、涼しげに透き通る白身がどんなに優雅で美味しいことか。

 

「ああ、失敗した。オコゼを頼んだらよかった…。」板前さんの手際を眺める連れ合いがひとりごちます。身もさることながら、胃袋や肝などの和え物などを思い出している様子です。

 

そうですね。私もオコゼ礼賛に異論はありません。でも、アイナメも 間違いなく美味しいですね。


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アイナメのお造りは、ほんのり朱の差した美しい白身で 口に運ぶと はねかえってくるようなしっかりとした食感です。癖がなく、旬ならではの旨味も十分で、始めに 強い弾力を感じる身は 時間が経つに連れて 柔らかく変化していくのも 同じお皿ながら面白いと思います 。


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アイナメの半身は、右の焼霜造りに。焼霜のところを撮り忘れました。焼いた皮目には 鯛にも負けない品のある脂が乗っていて香ばしく あっさりとした白身が引き立ち とてもおいしいです。

 

手長だこの炊いたものなどをお願いして、更に 酒盗クリームチーズを和えたものを出してもらい、それを肴に ビールをいただき、熱燗をいくつかいただき…。

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お品書きに「島らっきょう 800円 」とあります。

島らっきょうは お好きでしょうか。最近は、手に入り易くなったように思います。天ぷらも美味しいですね。  私は 辛みが少し苦手なので 塩揉みしたのを水洗いして(この辺りで栄養が抜けてしまいますね)、鰹ぶしとお醤油でいただくことが多いです。

玉ねぎスライスとはまた違ったおいしさですが、こちらのお店ではどんなお料理になるのでしょう。興味はありますが、今日はやめておきましょう。

かわりに、美人サラダ(海藻が入っているから?)と 先程のアイナメのアラを使った赤だしをいただきました。

普段、赤だしはいただきませんが、とても美味しかったです。 これから しばらく節約して過ごします。

 

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フェルメールの 6月のカレンダー(山と渓谷社)は、「天秤を持つ女」。

カレンダーの絵は、見るほどに語りかけてきます。

向かって 左の窓には鬱金色のカーテン。

隙間からの光は、ひとりで佇む女性や 厚い天板の机の上に くしゃりと纏められた青い布へ 柔らかく注ぎます。

最後の審判を描いた褐色の絵画の額を背景にして 白い布を頭にかけた この女性は、白い毛皮でトリミングされた青い上着を着ています。お腹が膨らんでいるように見えます。

右手に天秤を持ち、左手は 机にそっと置かれています。

穏やかに微笑む面差しから胸元までが 優しく白くて、大理石の聖母像のようにも見えるのでした。

見下ろす天秤にすべてが集約されているのですね。

これは、人の魂を量る寓意なのだそうです。

また近いうちに 新しい感動に出会いに行って参ります。

 

 

いつも ご覧くださいまして、ありがとうございます。

どうぞ 皆さまに 素敵な一日でありますように。

 


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「行く道のかすかなる鶯の音   西脇順三郎 詩」(790×1090m/m) 旅人かえらず 

                             西脇順三郎

 


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  「門を叩け さらば開かれん  ルカ伝」(110×150m/m) 聖句     葉書より少し大きなサイズです。                              村上翔雲 書