野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

鷺草に涼む。一羽の雛に。

こんにちは。

9月が近づき ツクツクボウシが鳴く頃になりました。

日が沈んだ後の一日の最後の明るみの中、草むらから聞こえてくるのは、コオロギの鳴き声。雨上がりの清涼さからも秋めいた空気を感じます。

先日、義父の施餓鬼供養も無事に終えて ほっとしています。

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お元気でいらっしゃいますか。

前回からかなり開いてしまいましたが、連れ合いのことでは お気遣いのコメントをたくさんいただきましてありがとうございました。

しばらく体調の浮き沈みをしていましたが 次第に元気になってきまして、いただいたコメントに本人もたいへん感謝しております。

 

 

8月に入った頃、小さな盆栽の鷺草が 白い花を咲かせました。f:id:snow36:20210824152620j:image

7月の終わり頃に、蕾をつけた茎がするすると伸びてきました。

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f:id:snow36:20210813141259j:image蕾を見ると嬉しくなります。

低気圧の影響で雨が続くとの予報を聞いて、家の中に入れようと鉢を手に取りましたら、ひんやりとした夜の空気の中で 微かに優しい香りが漂ってきました。近づいてみると、しっかりと個性の立った香りがします。f:id:snow36:20210824152727j:image

何年も我が家にありながら、鷺草が香ることを知りませんでした。

 

この香りを なんと表現しましょうか。

ランの仲間らしい甘さがありながら 花の姿に相応しい洗練された和の優美を感じます。 控えめに香る小さな花が咲いたことを しみじみと嬉しく思います(去年は咲かなかったのです) 。

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仕事で使う倉庫は、家から少し離れた所にあります。

倉庫へ行った時に、道向かいのお宅の方で ばさっと音がして、何かが ぴぴぴと鳴きました。

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遠目なのを拡大したので見えづらくなってすみませんが、幼いです。

きっと近くに親鳥がいるから 近づき過ぎないようにしないとと思いました。
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柔らかそうな黒いつばさ、胸の羽毛もふくふくと愛らしくうずくまっています。クチバシのまわりはまだ黄色いです。

見ているだけで、温かい体温まで感じられそうです。

巣から落ちたのかと 屋根の内側を見上げても巣は見当たりませんでした。

辺りを見回すと、そばの電線に カラスが留まるのに気づきました。3羽いました。そこから動こうとしません。

ツバメが、2羽 飛んで来ました。

そのお宅の奥さんが出て来られて、

「昨日 孫がボール遊びしとったら 巣に当って壊れて 1羽は死んでしもうたのよー。 」と話されました。 「ああ、そうなんですねー。」

「親鳥がまわりを飛びよるんやったら、触らん方がええね。」 「そうですね。」

近づき過ぎないと言いながら、その辺りにいると親鳥も来られないということですね。

カラスが気になりながら倉庫に戻りかけると、

一緒に倉庫に来ていた連れ合いがやって来てツバメの雛に気がつき、まさかの❗️ 手のひらを伸ばしました。

乗ってくるかに見えましたが、雛は はたはたと飛んで藪に逃げて行きました。

すぐに親鳥たちが後を追っていきます。 

 

雛が襲われてしまうかもしれないと思うと、心穏やかでいられなくなっていました。

自分でもいかがなものかと思いますが、つい、幼稚園から小学校の低学年ぐらいの子どもを連想してしまうのです。

目の高さほどを懸命に、でも 頼りなく飛んで行くツバメを はらはらしながら見送っていました。

山あいに住むようになって23年が経ちますが、自然に従うのは難しいこととつくづく思います。

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6月頃でしたか、1羽のツバメがたいへんな勢いでカラスを追い回しているところを見かけました。

鋭い鳴き声で威嚇しながらの直線的な追飛は どこまでも長く続きました。

ツバメの命懸けの怒り。カラスも私もまた 命を食べないと生きていけなくて。

 

🌿🌿

長い雨の止み間、青空の日曜日に 終わりかけの鷺草を撮りました。

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花は また来年ですね。

豪雨や長雨が続いたために被災された方々にお見舞い申し上げます。

コロナや大雨の災害、いろんなことが早く鎮まりますように。

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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「九月 四国巡礼の旅へ 鴉とんでゆく 水をわたらう 山頭火 句」(160×123m/m) 草木塔  種田山頭火


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「行乞途上 草にすわり飯ばかりの飯 山頭火 句」(160×123m/m) 草木塔 種田山頭火


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「朝露しっとり 行きたい方へ行く 山頭火 句」(160×123m/m) 種田山頭火 句  村上翔雲 書