野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

こんにちは。

昨日は 冷たい雨が降っていました。

小さな若葉に混じって 湿気を含んだ花の香りが 漂います。

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先日 時々伺う神社に 厄払いに参りました。

厄年ではないのですが、手を合わせて 背筋を伸ばしたくなる時があります。

前後が 穏やかなお天気に恵まれていたのに、その日だけが 朝から寒くて、雨が降っていました。雨と 混雑とで 写真は撮りませんでした。お参りの長い列に小一時間ほど並んで 終わる頃には 小降りになっていました。 

 

神社の長い段を降りてくると、
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県の天然記念物に指定されている 欅の木が見えてきました。


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木の根橋。その名前の由来通り、太い根のひとつが 幅8mほどの小さな川を跨ぐ 自然の橋となっているそうです。

欅は 大きく育ちますね。

この木の樹齢は 約1000年と言われています。幹の太さは 直径6m以上、高さは 21mあるとのことです。それなのに、この欅は しっかりと根が 張っていないらしく、回りに何本かの支えをしてありました。

車や歩行者の利便のため 回りの道をコンクリートアスファルトで固めた際に、太い根をいくらか切ったそうで、病気もあるようでした。 

 

寒かったので 神社の下に迷路のような路地がある商店街の イタリア料理のお店に入りました。

古い商家を改装した 落ち着いたお店で「欅」と一文字書かれた暖簾の向こうの 引き戸を開けると、混ざりあったハーブの香りが 優しく漂います。神社にお参りした帰りに、こちらで時々 お昼をいただくことがあります。

席に着くと間もなく 混みだしたので 中の写真が撮れませんでした。

黒茶の柱の間に白い壁の対比と 黒光りする床が美しく、照明が落とされて温められた店内は とてもくつろげます。

掃きだし窓の向こうには 時折射し込む弱い日差しの中で、落ち着いた風情の庭を眺めることができます。         


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こちらの写真は お店のホームページから お借りしました。

 

お料理は 地元の野菜を使われているとのことで、前菜の盛り合わせ。
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若ゴボウや 里芋、赤カブなど 7、8種の野菜がサラダ仕立てに 軽く味付けされていました。  写真の手前が ぼんやりしてしまいました。

写真にはありませんが、添えられた自家製のフォカッチャには オレガノフェンネルシードが練り込まれているとのことでした。柔らかな生地に シードのぷつぷつとした食感も楽しく、ほの香るハーブも控えめでした。


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メインが 牡蠣と白ネギのパスタ。季節ですね。ネギは岩津ネギだったでしょうか。淡口醤油を感じる味付けで 大きな牡蠣を楽しめました。今風に つばの広い帽子のようなお皿。幅のある縁の白が お料理を引き立てているのですね。

 

なんと言うことのない会話を続けながら、ゆっくりさせていただきました。二人して、記念日を忘れたりもしますが、この時を幸せに感じることが 一番大切なのかもしれません。

こんな風に 年を重ねることも そんなに悪くないと思うのでした。

 

 

先日の補足のようなことですが、前回 飛行機に乗れなくて困っていた娘の旅行先は、関西空港との間に直行便のない メルボルンでした。

その時のお話を少しさせてくださいね。

時間変更の多い航空会社を利用して旅行した娘たちの 確認ミスのための失敗でしたが、早口で話すばかりで 取り合ってくれない現地の搭乗手続きのカウンターで 娘たちが たどたどしく掛け合っていたときに、案内カウンターの係の人や、旅行中の中国の女性が側でずっと助けてくださったそうです。

美しいメルボルンの街が とても好きになったと言っていました。日本に観光に来られている中国の人には よくわからない印象を持つこともあったけれど、優しい人に助けていただいて 当然のことながら 皆が皆そうではないことに気づいたと申していました。中国の女性は、搭乗手続きが終わってからも「大丈夫?気をつけてね。」と易しい英語で話かけてくれたそうでした。

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ヤラバレーのぶどう畑、グレートオーシャンロードからの海の眺め。オウムが 鳩のように至るところで歩いています。快適な気候で 心が解放される楽しさだったそうです。  うらやましいことです。

 

 

🌿

ドナルド・キーンさんの 訃報を知りました。ご冥福を お祈りいたします。

 

今日は 展覧会に出した 作品をご覧下さい。
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「桐の疎林   

かんがえてみると

きょうのいちばんよかったことは 

もさもさっとした 

けやきの

ひょろながい梢をみていたことだった」

(320×610m/m)  重吉詩稿  桐の疎林より

八木重吉

 


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  「荒地に種子蒔く」(870×440m/m) ルオー・ミゼレーレ           村上翔雲  書

 

 

ご覧下さいまして、ありがとうございます。

 

 

そして、父の作品を残すために ご尽力くださっている名筆研究会の先生方に、心から感謝を申し上げます。言葉には尽くせません。ありがとうございます。

 

渡り蟹を茹でてみます。

こんにちは。

昨夜の北海道の地震は、この度も 大きく揺れたそうですね。厚真町には 仮設住宅にお住まいの方もおられますし、寒い雪の中、この地震のために 避難所で過ごされる方もおられるそうですね。どうぞ ひどい被害が出ませんように。


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少し前にも カニのお話を書きましたのに またカニで恐縮ですが、

食べていない妹が ブログを心配してくれています。

妹「この話  さらっと書かないと、黒snowになるかもよ。読んでくれる人が嫌な気分になるんと違う? 」

私「そうね。書き方がよくなかったら、お父さんの顔に 泥を塗ってしまうことにもなるかな。そうなったら、黒どころか 泥まみれやね…。」 

黒で 泥にならないように、なるべく抑えて書いてみますね。お見苦しい表現があるかもしれません。

 

連れ合いが 我が家から遠い明石の「魚の棚 商店街」へ行って、かねてから どうしても食べたかったと言う 渡り蟹(ガザミ)を買って来ました。

ここのところ 不漁とのことで 渡り蟹は 店先には並んでいませんでした。

店の奥の水槽に料亭用として 置いてあったものを 見せてもらい売ってもらったと言っていました。連れ合いは、良くも悪くも かなり自由な者なのです。

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買ってきた 渡り蟹は、美味しそう、と言うより とても強力な印象ですね。この辺りから、もう既にご不快かもしれません。本当に 申し訳ありません。

 

以前 松葉ガニのお話を書いてみましたが、カニは 沸かしたお湯で 2〜30分茹で続けます。松葉ガニの時は お店の人が 私たちから見えないところで手際よくされましたので、あっさりと流しましたが、

生きているカニを 自分で茹でるのは 久しぶりで 少し落ち着かない気持ちになりました。

茹でる間に 足が取れることがあるので、直前に締めるということですが、渡り蟹は足が短くて 食べられるところが少ないので その工程は省略して(と言うより、カニが暴れるのと 私の思い切りが悪いのとで できそうになかったので) お鍋に入れて しばらく蓋を押さえていました。

書いてみれば 料理とは言えないほど 簡単なことですが…。

 

・・・

連れ合いは 時々釣りをしますが、魚を釣ったら、釣りをされる方が一般にするように 活け締めにします。

持ち帰って来ると、自分で調理します。

連れ合いが 釣った魚を捌くことは、私が 切り身やお刺身用のさくになったものを買って来る時より、生きているものと向き合っているという思いが より強く感じることと思います。

私は想像するだけですが、カニを茹でることも それに近いのでしょうか。

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しばらくして 部屋中に茹でガニの匂いが立ち始めました。 茹で上がった渡り蟹は 身が しっかりと詰まっています。お味は、身も濃厚ですが、柿色のような明るい色をした内子がたくさん入っているところが 渡り蟹の最大の魅力ですね。嫌いな方は あまりおられないのではないでしょうか。茹でただけのことですが、たいへん美味しくいただきました。

産卵を控えて海の底にいる寒い季節が 一番良いとのことです。上海蟹をいただいたことがありますが、同じ種類ですね。

 

✈️

ちょっと お詫びがあります。前回のお話で 旅行中の娘の動向に少し触れた時に、

「飛行機を 乗り逃した」   と書くべきところ、

「飛行機を 乗り過ごした」  と書いておりました。

ご覧くださった方は、 変に思われたことでしょう。本当に ごめんなさいね。

山猫さん、楽しいコメントでお知らせくださいまして ありがとうございます。これからも どうぞよろしくお願いいたします。

確かに 電車などではないから、うっかり乗り過ごして 途中下飛行機ということは ありませんね。 娘たちは 出発時間の変更を見落として 予定の飛行機に乗れなかったのでした。

 

 

🌿

無事に帰国した娘が お土産をくれました。

その中に Τ2のフレンチアールグレイがありました。 お茶は丁寧に淹れると、時間がゆっくりと流れてゆきます。清新でありながら、甘く深い桃のような果実の香りが 包み込んできます。茶葉が正統派の とても良いものなのかもしれません。私の知るアールグレイとは異なりますが、いただいたあとに爽やかな余韻を残す上質なフルーツティーだと感じました。

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最後まで お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

 


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「長閑し(のどけし)や雨後の畠の朝煙  一茶句」(335×245m/m)  西国紀行    小林一茶

 


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  「人間が生きるというは 尊厳の極致  それでもなお舌足らず  砕花の歌」(300×200m/m)  富田砕花  詩              村上翔雲 書

 

雪の残る。

こんにちは。

毎日寒いですね。

連休の最終日、お昼になってから 思いつきで お蕎麦を食べに出かけることになりました。 車で1時間余りかかるところでした。

蕎麦屋さんは 売り切れたら その日は終わりということになりますが、それでも行ってみようということになりました。

帰って来ていた息子も一緒でした。

娘はというと 引っ越しをしたばかりですが、その日は旅行に出かけていました。乗り過ごしたので 帰国が1日伸びる と伝えてきました。私の想像をはるかに越える娘の話が続くと楽しいのですが ブログの趣が変わってきますので、顛末は また機会がありましたら書かせてくださいね。

 

近年は 雪が積もる日も少なくなりましたが、目的地の篠山市に向かう途中は、ところどころで雪景色が見られました。


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車を停めて川沿いの公園に入ってみます。

うっすらと雪を纏った岩。淀みの青い溪。

赤い橋梁を 眺めていると、遠くからカタンカタンと音が聞こえてきます。こちらはJR福知山線が通っています。音が大きくなって来ました。
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289系 特急こうのとり(新大阪駅行きでしょうか)が 走って行きました。



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岩を打つ川の音が響きます。

瀬の美しいところでしたが、他に誰もいませんでした。

 


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蕎麦屋さんに着きました。茅葺き屋根の下は 二つ組み合わせられたような 広い部屋になっていました。 お昼はそろそろ終わりのようでしたが、お蕎麦は残っていました。
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二八蕎麦。のど越しがよく、辛味大根のおろしが添えられています。菊菜や蓮根、スナップえんどうなどの季節の天ぷら。会話も弾みます。

 

部屋に置かれていた 静かに炎が揺れるペレットストーブが暖かでした。

ストーブの 包み込まれるような 橙色の火を眺めるのは楽しくて和みますね。

 

帰りの車の中で ボヘミアン・ラプソディーサウンドトラックが流れていました。息子が、輸入盤だからか、最後の 「The show must go on」が パソコンに読み込まれないと 言いました。 人生経験の浅い息子にも響く曲のようでした。

この曲を聴くと、なぜか関係のない父のことを思い出すのです。誰もが知る有名人というわけではなかったかもしれませんが、父は最後まで 書家として作品を書き続けたのでした。

父が亡くなってから 私は初めて父の作品の整理に加わるようになりました。 今なら、命が尽きるまで書き続けたいという じりじりとした父の焦燥感が 少し理解できる気がいたします。

 


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秋に 数輪咲いた我が家の木瓜の花。咲いたり、咲かない年もあります。今年の春は 少し期待できそうに思います。

 

いつも ご覧くださいまして、ありがとうございます。

厳しい寒さが続きます。どうぞ お体大切になさってくださいね。

 


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「どこにか ほんとうに美しいものはないのか  それが敵であってもかまわない  重吉 詩」額装

 

「秋の瞳     うつくしいもの」

わたしみずからのなかでもいい

わたしの外(そと)の  せかいでもいい

どこにか 「ほんとうに  美しいもの」は  ないのか

それが  敵であっても  かまわない

及びがたくても  よい

ただ  在るということが  分りさえすれば

ああ  ひさしくも  これを追うに  つかれたこころ

           八木重吉  1898.2.9〜1927.10.26  詩人

株式会社白凰社 八木重吉詩集 1967年12月10日 初版第1刷   1995年3月10日 新装版第17刷に準拠しています。

娘 引っ越しをする

こんにちは。

こちらは 暖かく曇りです。昨日の昼間は ファンヒーターを消していました。

北側 陰りのある庭のクリスマスローズが一輪 物憂げに咲き始めました。

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先日 我が家の辺りに雪のちらつく朝、ずっと南の娘の下宿のあるところは すっきりと晴れていました。

 

娘の引っ越しを手伝いに行きました。

要るもの、要らないもの。4年暮らせば、驚くほどの荷物の量でした。物がないと 寂しくて…と言われると、何も言えなくなります。

 

連れ合いと娘は 大家さんに挨拶をして、引っ越し屋さんの到着に間に合うように 新居へ向かいました。

私は eo光さんが 回線を切るのと(本当に ハサミで切っておられました)、ガス屋さんがガスを止めるのに立ち会ってから、大家さんに お礼を申し上げて 娘の借りていた部屋を出ました。

 

大学の近くの 住宅街。遊びに出かけるのには ちょっと 不便だったようですが、それもまた楽しいこと。いつも うららかに晴れている印象の 清潔で のどかなところでした。

娘の話によく出てきた 黒いさすらい猫が ゆっくり歩いています。 暖かい昼下がり。


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駅へ向かって下っていくバスに乗って もう眺めることのない風景を 眺めます。

 

バス道沿いの 離宮公園前の街路樹は 少し変わっていて 人より大きめの 松が 枝振りよく 並んでいます。

狭いバス道の 街並みの向こうには、海が 日差しを受けてきらきらと光っていました。

バスは 水族館のところから ゆっくり西に曲がって、海沿いの国道を走って行きました。


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ちょっと 変な写真になってしまいましたが、

普通電車 京都行き。

愛称 JR神戸線。私も 実家にいた若い頃 通学や通勤に利用していました。懐かしく思います。

駅の向こうには、穏やかな瀬戸内海が広がっています。

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親しみを感じる海を眺めているうちに ふと、娘は我が家から巣立っていくのだということを しみじみと思いました。

もう 住民票も移しましたし、健康保険も 3月末までの仮の保険証に替えてもらいました。

 

小さな頃から やってみたいことすべてを自分で決めていた娘。田舎なので 家を出るのは必然かもしれないと 私たち親は話していました。

それでも 中高生の頃に、聞いてもらいたかったことが いっぱいあったと 最近になって言っておりました。ちょうど 私の父や 義父母の具合が良くなかった時分でした。

中学生の娘の話を 聞いてやれないほど、私は忙しかったのでしょうか。申し訳なく思い 遅ればせながら娘に謝りました。けれど、多分 子どもは みんな そんな時には 気持ちのどこかで折り合いをつけている。そう思います。

4月に 社会人としてスタートラインに立つ娘は まだ幼さも残りますが、連絡をこまめにしてくれて その日あったことを話します。

甘えているようで、私たちの心配をしてくれているようにも感じます。心配される側になったのか、と思うと感慨深いものがあります。

娘が言うように、自分を認めて 大切にして 毎日を過ごしてほしい。幸せを心から願っています。🌿

 

 

 

🚃・・・

そして、荷物だらけの娘の新居に着くと 感傷をしまって、黙々と 片付けに加わりました。

娘よ。相変わらず、しんみり終われないね。まず、要らないものは 捨てようよ…。

 

 


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  「この道しかない 春の雪ふる」(210×295m/m) 種田山頭火

 


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  「捨てきれない荷物のおもさ まへうしろ」(190×75m/m) 種田山頭火 句    村上翔雲 書

 

🌿

少し前に ブログを拝見させていただいている高橋克弥さん  id:herballife  のお店

「うさぎ薬草」さんhttps://www.usagiharb.com/ハーブティーをちょっとだけ買わせていただきました。

ハイビスカス、ローズヒップオレンジピールレモンバーム、シベリアンジンセン、ネトルが ブレンドされたお茶でした。

青みがかった 美しい色合いは ハイビスカスのものでしょうか。ふくよかで 優しい香りがします。

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自分のために 丁寧にお茶を淹れるのは 楽しいものです。酸味もまろやかに、柔らかで  おいしくいただけました。気持ちがほぐれます。

克弥さん ありがとうございます。

 

🐝

ご覧いただきまして、ありがとうございます。

皆さま インフルエンザや風邪などに どうぞ お気をつけくださいね。

 

ヒバリは鳴いていませんが確かにいます

こんにちは。

先週は 暖かい日が続いていましたが、先週末には こちらも雪が少し積もりました。f:id:snow36:20190131173406j:image

今日は 朝から冷たい雨が降っていますが、晴れていれば

ヒヨドリが 仄かに花を思わせる白灰色に染まり出した桜の枝に集まって 高い声で鳴いています。

数年前に メジとロジ(捻りがなくてごめんなさいね…。父がそう呼んでいたのでした)が我が家の庭に来るようになったので

みかんを半分に切って置いていたら、突然 メジロは追い払われて ヒヨドリが 食べ散らすようになりました。   

でも、ヒヨドリには罪はないから 仕方がないですね。

 

仕事の合間に 歩いてみると(この日は暖かに晴れていました)、

畦道に、タンポポホトケノザが咲いていました。この時期は茎も短くて、健気に空を仰いでいます。


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しばらく歩くと、田んぼに小さな鳥を見かけました。

一羽だけ 畦の斜面にいます。茶色の体に柄がありました。スズメにしたら柄も違うし 少し大きいかもしれない…と見ていると、連れ合いが ヒバリだと申しました。子どもの頃にはよく見たとも。「最近は あまり見ないな。よく見ないで歩いているからだろう。」

遅い春頃から 高い声で囀ずりながら、空を飛ぶのをよく見ますが、用心深いためか、近くで見ることがありませんでした。

案外 のんきに斜面を上っています。

冬枯れの田んぼに紛れるように ひっそりと暮らしているのでしょうか。地面に巣を作るものは 雪の夜は どうしているのか…。

私などでは とても写真に撮ることはできないし、近すぎるので そっとしておくのがよいと思いましたので、しばらく眺めさせてもらいました。

思ったより 胴が長くて おなかがぽってりとした鳥でした。

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ウィキペディアから お借りしました。

 

 


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昨年末に、義母の父を 祀るために お寺を探して お願いしていました。

若くして 家族を遺し戦死した 連れ合いの祖父。  亡くなったのは 義母が子どもの頃のことですから、もう 知る人も ほとんどおられません。

お墓は ありましたが、だれもお参りできない山奥に 置いておかれたようになっていました。

お世話になるお寺には 若い和尚さん。

先日 一緒に 足元が悪い山道を上って、性根抜きをしてくださいました。

てっぺんが四角錘のお墓に 手を合わせて祈ります。

暑い島で戦って 忘れられていく人々。

月日は 飛び去る速さで 過ぎ去っていく。

和尚さんと 連れ合いと 三人で祈りました。

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「郷愁  このひごろ あまりには ひとを 憎まず     すきとおりゆく 郷愁    ひえびえと ながる     重吉の詩」(190×300m/m) 秋の瞳   八木重吉 詩          村上翔雲 書

 

ご覧いただきまして、ありがとうございます。

 

🚚

この週末に 娘の引っ越しを手伝いますので、そちらに手を取られて 残念に思いますが、しばらく皆さまのブログを拝見できなくなるかもしれません。

あらかじめ お詫びいたします。ごめんなさいね。

戻って来ましたら、また よろしくお願いいたします。

東大寺のお水取りは まだまだ先ですね。どうぞ お体大切になさってくださいね。

微かに雪をいただく山で松葉を買ったこと

こんにちは。f:id:snow36:20190112133654j:image

内陸部を車で走っていると、少し冬らしくなってきたことを感じました。

 

❄️

大阪市立美術館へ 行ったのは 年明けのことなので 古いお話で恐縮ですが、

その時に 美術館と同じ天王寺公園の敷地にある 慶沢園(けいたくえん)へ寄ってみました。池の回りを 美しい樹木が巡らせてある 日本庭園です。


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慶沢園は、大正時代に 住友家から大阪市へ寄贈された茶臼山本邸の庭園とのことです。

冬枯れの 寂の時期でしょうか。

歩く人もまばらでした。

時折 日が翳ると コートを着ていても、乾いた寒さが足元から上がって来ます。

 

冷たそうな浅い池に 真鯉が泳いでいました。


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この時は 晴れたり曇ったりしていて、日が射し始めると 静かな水面に逆さまの景色がくっきりと写っていました。右手に 茶室「長生庵」が池に掛かるように 建っていました。


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後ろから見た美術館が 写っています。美術館は どちらから見ても とても美しい建物でした。


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あべのハルカスが 大きく見えています。大阪の街中には、日本庭園は少ないそうです。

茶室「長生庵」は 印象として、茶室というよりは 広いあずまやのようでした。


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大きな窓からは、広い庭が望めました。真下の池には 水草の枯れたものがゆらゆらとして 少し濁っていました。


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この日は 6日でしたので、七草が 飾られていました。


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茶室の側の 蹲に ツワブキ。崩れかけた筧から水が落ちていました。

季節柄なのか、庭園の中は この蹲のように 少し寂れた感じでした。

それが 冬らしくて良いのかもしれません。

 

 

ここから 何の繋がりもなく、田舎のお話なのですが、

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北近畿豊岡自動車道沿いの道の駅から 眺めた山の様子です。少しだけ、雪を被っています。ここでは    岩津ねぎを買いました。大仁田ねぎに似ていて 焼いたり、鍋料理に入れたり火を入れると 甘くて特別な美味しさ。 この季節のお約束ものです。

 

更に走って下道に降り しばらくすると、 まだ日本海からは遠い場所ですが、日本海の幸である 松葉ガニ(ズワイガニ)のお店があります。

この季節に 一度は寄らせていただいています。

お店の方と話しながら、水槽の中のカニを選びます。こちらで 鍋料理をいただくこともできますが、

連れ合いは いつも その場で 茹でてもらい、お世話になっている方に持って行きます。   ついでに、私たち家族の分も買って茹でてもらいます。  

今年は 日本海が荒れる日が少なくて、新聞でも読みましたが 予定の量を昨年末にほぼ捕れてしまったとのことで、却って 少々高値になっているとのお話でした。

カニを美味しく茹で上げるためには、沸かし続けている お湯の中で  2、30分が必要なのだそうです。

人手が少なくなったのと、一日中お湯の温度を保ち続ける燃料費のために、 最近は 産地の海沿いの店でも その場で茹でる設備を備えていないことも多くなり、あらかじめ 一度にまとめて茹でてあるカニが並んでいることが多いのです。

 

薪ストーブの前で頬を火照らせ、コーヒーをいただきながら 茹で上がるのを待ちます。茹だったカニのいい匂いが 暖まった店の中に広がっていきます。

贅沢な時間。

 

 茹でたてを 急いで持って帰って 食べる愉しみは、我が家の この時期の外せない行事なのです。

 

店内には、他の海産物も置いてありました。大きな長い穴子がありました。凍っている、と思って見ていると ご主人が 解凍したものを炙って試食させてくれました。

味付けをしていない焼いただけの穴子

白身の魚の 肉厚の身は柔らかくて、大きいだけに少しグロテスクに見える皮は ぱりっと香ばしく 焼き上がり とても美味しかったので、こちらも買わせていただくことにしました。  


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家に帰って来て 早速ふたを取り、手に取ってみたりして 改めてカニを眺めます。

タグには、船の名前と 「浜坂産 松葉がに」と記されていました。

松葉ガニは 太い足の身がしっかり詰まっていて 旨味が強く、品の良い味わいがあります。甲羅の中のみそも濃くて たくさん入っていて食べ応えがあります。 

義母の分を 手早く捌きます。(何をしても どんくさい者なのですが、美味しくいただきたい一心でキッチンバサミでバキバキといきます。なるべく食べやすいように気をつけて)

1時間半ほど経っていましたが、まだ温かくて 豊かな海の滋味を 心ゆくまで味わいました。

お皿の大きさは 直径25cmぐらいです。
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梅のつぼみが 綻んで来ました。ひなたは ふんわり暖かいですね。

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ご覧いただきまして、ありがとうございます。




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  「帰居 しみじみ しづかな 机の塵」(240×320m/m) 種田山頭火 句          


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 「松はみな枝垂れて南無觀世音」(240×320m/m) 種田山頭火 句       村上翔雲 書

 

堂徳山の灯り

こんにちは。

一昨日、用事で 神戸に行きました。

用事を済ませると、辺りが暗くなっていました。

車で 新神戸トンネルの方向へ行くために、元町方向から フラワーロードへ左折すると、ビルの間から 山が見えます。

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こちらの写真は 神戸市のホームページから お借りしました。

 

先日、happy-ok3さんの1月11日付のブログ(happy-ok3.com.)を拝見して 堂徳山の 「KOBE」の電飾の下に「1.17」の数字が 17日まで点灯されていることを教えていただきました。

自分の目で見る電飾の文字は、想像よりも大きく くっきりとしていました。

happy-ok3さんは、日本中の被災地域の現在の状況を 毎日きめ細かく報告されています。誠実で 温かなお話からは、 災害には 終わりはないけれど、思い遣りを持って人と人が助け合う大切さを忘れてはいけないという メッセージが響いてきます。

 

私は 被災はしていないのです。そんな私が どんなお話をしてよいのか 恐縮なのですが…。

 

阪神淡路大震災の時には、私は 息子を神戸のこども病院で診てもらうために 実家におりました。

地震の後、実家は 水道が使えましたし、電気も間もなくつくようになったので、父や妹と一緒にタンスや冷蔵庫を起こして、食器やガラスなどが散乱した部屋を片付けました。

大きな地震にもかかわらず、その日に新聞が配達された事に驚きながら 読みました。

公衆電話に並んで ようやく連れ合いに連絡を取りました。

 

ブルーシートの目立つ屋根。崩れたブロック塀。  道沿いの階段の上から 噴き出している水。

地震後間もなく 停電で信号が止まっており、急いで走る車ばかりで殺伐とした道路には 大きな穴が開いていました。

そうは言っても、被害の少ない地域でした。

数日後 連れ合いが迎えに来て、余震が続く実家を離れて 田舎の自宅に戻りました。

父母と妹を残して逃げるようで、申し訳なく思いましたが、こども病院も被害を受けていましたし、家族も なるべく早く子どもを病院へ連れて行った方が良いからと言ってくれました。

 

実家から自宅に戻る途中、混みあった道路を のろのろ進む車の中では ラジオが 休みなく被災地の 大勢の人々の伝言を伝え続けていました。「△△町の ○○さんは、今△△中学校に避難しています。」知らない方ですが、助かって避難されておられると聞くと ほっとしました。

みんなが 被災地を案じ続けている、そんな気持ちになる状況でした。

この後、毎日 辛くて厳しい情報が 新聞やテレビの報道で伝えられました。  

 

田舎の自宅では、普通の日常が続いていました。

電話が通じるようになり、友人や 親戚 と安否を確認しあいました。

何年も前に 中国語を教えてくださっていた 中国の方々は 被害の多かった地域の神戸大学に通われていたので、大変心配になりました。 後になって、大阪など近隣の市へ避難されたと聞きました。

 

被災地の交通は 止まっていましたので、

例えば 大阪に勤め先のある神戸の人々は まず大阪とは反対の西に向かって加古川駅へ行き、

そこから 単線の加古川線で、終点の谷川駅まで 約50kmの距離を1時間以上揺られてたどり着き、

福知山線に乗り換えて 大阪へ向かうという方法で 片道3時間以上をかけて 兵庫県を小さく ぐるっと回って通勤されていました。   

とても不自由をされたことでしょう。JRも連結を増やして増便したり(加古川線は、普段は1両編成で走っているそうです) 乗り換えをしないように便宜を図ったりと 工夫をされていたそうです。

それ以外の手段もなく 多分 今でもかなり確かな方法なのではと思います。

 

happy-ok3さんのブログを拝見して、被災された方の 長く続いているご苦労を思います。災害は どこでも起こることだからこそ、他人事にしてはいけない。  

わかっているつもりになっていては、いけない。

何かあった時に、自分は どう動けるのか、耐えられるのか。

 

 

田舎に戻って、京都の病院で診ていただいた小さな息子は 24歳になりました。干支が2巡したのですね。


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ご覧いただきまして、ありがとうございます。

 


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 「一日の労苦は一日にて足れり」マタイ伝 (300×210m/m) 聖句           村上翔雲 書