こんにちは。
寒い日が続きますね。お元気でいらっしゃいますか。
かたくりの花が 満開になっていると聞いて 出掛けてみました。
久しぶりに行くので、目的地の お寺の名前を入れて出発です。
あちらこちらの堤の桜が 満開になっていました。花びらだけで ふんわり被われた木々が 絢爛とどこまでも続く景色の中を走って行きます。菜の花の明るさが 目に楽しく、こぶしが 愛嬌のある花を広げています。いなかの風景も良いものです。
1時間ほど行くと、目的の場所に着きました。
20年以上前から、地元の方が 自生する かたくりを大切に育てておられます。
左奥のほの明るい薄紫色のところが目立ちますが、手前から群生地です。
息子が幼かった頃、一緒に 用水路越しの斜面に ひっそりと咲くこの花を見に行くことが楽しみでした。その頃は まだ ささやかな自生地で 柵やネットで保護されてはいませんでした。
かたくりの花は 売っているものもありますが、かなり場所を選ぶ植物のようで 傾斜の強い滑りやすい土の上にも関わらず、 雑草は取り除かれていました。遊歩道には 滑り止めの心遣いがされていました。
こちらの説明の札によると、
かたくりは、ユリ科の多年草で、花期は 4月初旬。鱗茎から良質のデンプンが取れます。 特性として、芽を出してから 開花、結実、地上部が枯れるまでの一連の期間が 2ヶ月ほど。それ以外は、地中で休養しているそうです。北の植物とのことで、兵庫県で群生している所は 珍しいとのことでした。
古くは 堅香子(かたかご)と呼ばれ、大伴家持の歌に「もののふの八十少女(やそおとめ)らが 汲みまがふ 寺井のうえの堅香子の花」(万葉集 巻19 4143) と詠まれています。
「たくさんの少女たちが (楽しそうにさざめきながら)入り乱れて水を汲んでいる お寺の井戸の側に咲く かたくりの花の愛らしさよ」
動きのある少女たちから受ける賑やかな印象と 井戸の側の かたくりの愛らしい花姿が 映像のように浮かんでくる 美しい歌です。
朝、生活用の水を汲みに来る少女たちの 楽しげな様子を かたくりの花の可憐さに見立てているのか、それとも 少女たちの動と ひっそりと咲く かたくりの静を 対比させているのか。
遥か昔に 講義で、万葉集の中で かたくりの花のことを歌ったものは この一首のみだと聞いたことを思い出します。かたくり粉の原料は 元々じゃがいもではないと知りました。どんな花が咲くのだろうと思ったことを覚えています。
寄り道が過ぎました。
花は、10℃を越えると 1枚ずつ開き始め 17℃になると完全に開き ユリのように 反り返るとのことです。
目立たない植物ですが、長い時の流れの中で 連綿と繋がり続ける命について思うのです。
花畑でありながら 饒舌さはなく、樹木の影に 薄紫の静謐が広がります。小さな花は 俯いて どの花も斜面の下へ向かって咲いていました。
うぐいすの まだ不慣れな囀りが 柔らかく聞こえてきます。
なるべく自然のあるがままを 保存されているようで、自生する他の山野草の説明の札もありました。
コセリバオウレン(小芹葉黄連)
カテンソウ(花点草)
ネコノメソウ
かたくりが 木の根に。野趣を感じて見とれてしまいました。
ニリンソウが、水路脇に長く繁って 小さな花が咲いていました。ちょっと、見えにくいですが かわいいですね。
🌸
我が家の側の桜。咲き始めが遅かったからか、2日続きの荒天にも耐えて咲いています。
山芍薬のつぼみが 色づき始めました。その清澄な佇まいに 毎朝 幸せをもらいます。
当地では 土曜、日曜と 春祭りが予定されています。日曜日のお天気が崩れると聞いていますが…。
せっかくの美しい季節、週末のお出かけが楽しめたらいいですね。
今日も ご覧くださいまして、ありがとうございます。
Spring ephemeral
「春の日や 暮れても見ゆる東山 一茶句」(330×120m/m) (文化句帖) 小林一茶 句