野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

温泉の町。

 

こんにちは。

前回は、娘のことで ご心配をいただきありがとうございました。娘も感謝しております。おかげさまで 元気になりました。

 


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先週、兵庫県但馬地方にある 美方郡新温泉町に出掛けました。

新温泉町は、鳥取県との県境にあり、内陸部の温泉町と日本海側の浜坂町が合併してできた町です。

京都京丹後市 から、鳥取砂丘までの 約120kmに及ぶ 新温泉町が含まれる海岸一帯は、国際的にも評価が高く 山陰海岸ジオパークに認定されています。

また、ジオパーク山陰海岸国立公園に指定されている部分とも重なっていて、海へ直線で切り込んで行くような ごつごつとした山の様子も 日本海側らしく、潔い美しい眺めです。

 

連れ合いの友人のお嬢さんが通っていると聞いていた新温泉町の内陸部 湯村温泉にある 温泉小学校では、運動会をしていました。

こちらは 5つの小学校が統合されたアットホームな雰囲気の小学校です。

音楽が流れてくる方へ歩いて行くと、運動場で 組体操をしていました。


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怪我が多いので 組体操を取りやめた学校も多いと聞いていますが、

こちらの小学校では、限られた人数を効果的に使われていて 上に立っている児童が仰向けに倒れ、そのまま また同じ頂上に立つという演技を 何回も見せてくれました。

フォーメーションが 変わる度に、7人ほどの先生方が 各グループの後ろに回ってしゃがんでおられます。

演技が終わると、感謝の挨拶をして 学年ごとに トラックを退場していきました。

退場門はありませんでしたが、先ほどまで補助をされていた先生方が その辺りに 両手の平を立てて待ち受けておられて、全速力で帰って来る子どもたちと

タッチ、タッチ、タッチの嵐!

子どもたちは 輝くような笑顔で駆け抜けて行きました。

私たちは、こちらに住む 連れ合いの友人ご夫妻と 少し話をしてから 失礼しました。この後 お弁当の時間になっていました。とても楽しそう🎵

 

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ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、

湯村温泉は 1980年代には、NHKドラマ「夢千代日記」の舞台となって一躍有名になりました。吉永小百合さんが 広島で胎内被爆をした芸者さんの役をしていらっしゃいました。

温泉を名前に戴くこの町は、中心街に流れる春来川(はるきがわ)沿いに、源泉 荒湯(摂氏98℃) があり、荒湯からだけでも毎分470 Lが湧き出るそうです。

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源泉から 湯気が立っています。


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向こうに並ぶ長四角の枠の中に 卵を入れて茹でるそうです。

地熱が高くて 他のところより暑く感じます。足湯に足を浸している人も多くおられました。

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温泉宿らしい 素朴で艶やかな感じもする町並みでした。

 

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新温泉町のもうひとつの町、浜坂町へ移ります。こちらは、全戸ではないそうですが、家庭にも 温泉が引かれているとのことです。

冬は 松葉ガニで有名です。

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浜坂町 岸田川の河口。よいお天気で 空の色を映す海が とても明るいです。浅瀬にカモメが群れていました。

しばらく西に走って 浜坂港へ行ってみました。 

 

釣を楽しむ人が何人もおられました。

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縮緬のようにさざ波を立てる海面を覗くと、型は小さいですが、サヨリが回って来ていました。(私は 釣りをしないのであまり詳しくないのですが。)  

よく見ると、小さなアジもちらちら見えています。こちらは、サビキ(釣糸の先の仕掛けに 複数の釣り針が 少しずつ離して付けてあります。一度に 何匹も釣れると楽しいです)で 小学生が オキアミを投げながら盛んに揚げていました。

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細い魚は サヨリですね。少し赤っぽく見える小さな魚は アジです。

 

少し移動すると、イカ釣り船が停泊している場所に出ました。

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夜に 船の上に一列に下がった たくさんの楕円形の灯りを点けて漁をする イカ釣り船の仕立ては、お昼に見ても とても颯爽としています。
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船の下には、スズキの子ども(上です) と、グレ(メジナですね) の子どもたち(下の写真です)が波に揺られるように 休んでいました。

 

この後 余部鉄橋へ行きました。日帰りですが、回れるところがいろいろありますね。来週か 再来週に 続きを書かせてくださいね。

 


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春頃に咲いていた小さなアネモネが また咲いています。

 

いつも ご覧くださいまして、ありがとうございます。

 


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「ふるさとの水をのみ  水をあび  山頭火 句」(240×320m/m)  種田山頭火

 


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「人に逢はなくなりてより   山のてふてふ  山頭火 句」(240×320m/m)   種田山頭火 句           村上翔雲 書

 

 

 

 

夕暮れから。

こんにちは。

台風15号での 関東の大きな被害をニュースで見ました。千葉県では、停電や断水が続いていると聞いています。どうぞ 一日も早く復旧されますように。

 

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保育所に勤める娘が、昨日の朝に 仕事を休むと電話をしてきました。よく仕事のことで悩んでは 言ってくるので、何かあったのかと思いました。保育所で流行っている風邪にかかり、体調を崩したようです。

吐き気や熱があるようで、心配になり 見に行くことにしました。

「インフルエンザの時にも 来てくれなかったのに?」 その時は まだ学生でした。

確かに遠い所に住んでいるかもしれませんが、あの時も どの時も ほとんど会いに行ったことがありませんでした。

大学生になったら、ふたりで 神戸へ出かけることを 私も 本当に楽しみにしていました。でも、娘が 4回生になるまで 私の事情でお預けでした。

4回になると、実習や課題が多くなって 卒論も忙しく、合間にアルバイトや 就職活動をしていて、結局 お預けのまま 卒業しました。

本当に 悪かったと思っています。

この度は、同じ保育士の方々の前で 公開保育をした直後とのことでしたので、準備や本番の進行などで だいぶ疲れていたのでしょう。

たまごうどんが 食べたいと言うので、簡単な差し入れも持って うどんを作りに行きました。

ぐったりとしていましたが、食欲は ありそうです。

病院では、解熱剤や痛み止めや おなかの薬をもらっていました。自力で治すようです。

今日は、仕事に出掛けたようでした。

 

 

🌿🌿

お話が変わりますが、

先日、早じまいして 夕方から出かけようと言うので、近所にごはんを食べに行くのかと思っていたら、ジャズを聴きに行くと申します。この辺りに そんなお店はないのですが・・・。

車で 1時間半ほど走りました。

地下駐車場に車を置いて、三ノ宮駅から 山側へ向かいます。北野坂をゆっくり歩いて行きます。 往き来する車のヘッドライトが 夕暮れの通りを 彩ります。この時間独特の 華やかで 少し気だるい空気が流れる眺めです。

若い頃には、こちらのお店に まだ入れなくて 前を通り過ぎるだけでした。


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こちらは、神戸の老舗 SONE(ソネ) さんです。初めて伺いました。

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本日の演奏者が 書かれています。

落ち着きのある店内。


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回りのお客さんは ウィスキーのボトルキープをされている方や カクテルを頼んでおられる方が多かったので、

運転する連れ合いは アルコールの入らない飲み物、私は 飲んでもよいと言ってもらって ジントニックをいただきました。(悪いかなと思いましたが、頼んでしまいました。我ながら性格が・・・)

ジントニックは ラベンダーの薫りがします。

 

ピアノと、ベースと、ドラムの インストルメンタルから 始まりました。

「I Should Care」「Up Jumped Spring」よく知らずにジャズを聴きに行ってしまいましたが、スタンダードな曲なのですね。気持ちが華やぐようでした。
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目の前で演奏される音楽を聴きながら、食事はしづらいものと思いますが、ソネセット(お食事もできます)をお願いしてみました。


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チーズの盛り合わせまで 頼んでいます。

皆さん リズムに乗って楽しんでおられました。

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ボーカルの方が加わり、「星に願いを」。 優しい声でした。みんなに愛される曲ですね。他にも、3曲ほど楽しませていただきました。

入れ替えなしで、4ステージを楽しむこともできます。チャージも お料理も 手頃なお値段でした。

 

帰り道に 1946年創業の イスズベーカリーさんに寄って、クロワッサンやクリームパンを買いました。 お店によって多少違うようですが、遅くまで開けておられます。

パンを選んでいる間に お店に流れていたのは、軽快なピアノのジャズ。

楽しい余韻を抱いて帰りました。

 

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いつも楽しそうな娘。先日は 香川県から写真を送ってきました。

ひとり暮らしをするようになった時に、自立した人になるように過ごしてほしいと 私も思いました。手伝いや 祖父母の話相手などをよくしてくれたことを ありがたく思っています。

 

いつも ご覧くださいまして、ありがとうございます。

今日は、空気が入れ替わって爽やかな日でした。夜は 部屋の中にいても、潤いのあるエンマコオロギの音や ひんやりと透き通るようなマツムシ、鈴虫の音が途切れることなく聞こえてきます。

 


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「はやすでに わが庭の木早 粛然と秋を迎えるたたずまい見す  砕花の歌」(315×230m/m)  富田砕花 歌

 


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「すべての くるしみのこんげんは むじょうけんに むせいげんに ひとをゆるすという  そのいちねんが きえうせたことだ   重吉の詩」(190×300m/m)  重吉詩稿・貧しきものの歌     八木重吉 詩             村上翔雲 書

ぽんす会 小豆島へ遠征する

こんにちは。

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空が高くなりましたね。ここは ちょうど飛行機の航路の下になるようで、軌跡が現れては ぼんやり広がって消えていく様子が見えます。どんな風が吹いているのでしょう。

 

今日は、釣りのお話をさせてくださいね。私は めったに釣りをしないので 恐縮なのですが。

連れ合いが、ぽんす会 1 のメンバーと 香川県 小豆島の近くで船釣りをしました。( 連れ合いの釣りのクラブの 「ぽんす会」は 1 と 2 と もしかすると、グループ 3 くらいまであるのかもしれません。ちなみに、ご本人たちは 私が こっそり ぽんす会と呼んでいるのを ほとんどご存じないと思われます。)「 ぽんす」とは、釣り好きが昂じた者というほどの意味の こちらの方言です。

この度の 小豆島は 真鯛狙いでした。8月のことです。

他のお客さんたちのグループとで 8人ほどが乗り合わせて、下のような釣果を揚げたそうです。

小豆島というので、風景の写真を楽しみにしていましたが、「魚を釣っていて撮れなかった。」のだそうです。ちょっと忙しかったようでした。

オリーブの島であり、瀬戸内国際芸術祭2019の主要開催地である この島の美しさを ひとり想像します。きっと素敵ですね。

 

こちらが 船の釣果とのことで、一人ではなく、8人分の成績とのことです。
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まるで 出荷待ちのような眺めです。

 

この度は、「一つテンヤ」という仕掛けで、 海老を付けて釣っていたそうです。

海流の強いところで、流れる船に合わせて 何度も 海の底まで釣糸を垂らしては上げます。

釣り方は異なりますが、人気のジギングという釣り方の「しゃくり」のように忙しなかったとのことで、休みなく投げて疲れたとも言っていました。 写真を撮る時間は なかったようです。

 

短気な人( いらち と言うのですが、あまりよくないニュアンスかもしれません…) が 釣りに向いていると聞きますが、さて 我が家の のんきおじさんは 果たして。

釣れたのは いずれも60cmぐらいの真鯛なので 決して悪くありません。載せてくれと申していましたが、前日に 小学生が72cmを揚げたとのことでもあり、ちょっと恥ずかしくもあり 略します。

 

4匹釣れたので、自分で下ろしてくれました。とても助かります。

鯛は、翌日の方が 味は落ち着いておいしくいただけますね。味が落ちないように皮を引かない さくの形で チルドに入れました。

 

お刺身は、釣った日は 身が白くて お味も水っぽく感じましたが (捌いた身は 翌日食べた方がいいのですが、お味見ということで…)、翌日 チルドから出したものを 皮を引いて いただいてみると、しっとりとしていながら 天然らしい弾力を持つ透き通る身には、品のよい甘味もあり、淡白な と一言では片付けられない 真鯛の豊かな美味しさでした。f:id:snow36:20190905172730j:image

 

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焼き魚ながら 瑞々しく、やはり皮の部分にも たいへん旨味がありました。煮付けにしても美味しいでしょうね。

 

いつの間にか やらないはずの釣りを 厚かましく語ったりして、カテゴリまで作ってしまいました。波止からの投げ釣り(これは爽快です)の太刀魚が本格的になるシーズンですね。

 

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夕方6時頃にウォーキングに出ると、戻って来るまでに 辺りは暗くなり、三日月が見えるようになりました。細く崩れた飛行機雲が何本も 北西へ向かって残っています。

 

酒米山田錦以外の稲が 実り始めて、湿度の重たさから開放された風を感じます。クマゼミや蜩は終わり、ミンミンゼミとツクツクボウシが鳴いています。

まだ水が引かれている田んぼの隅に、オモダカが咲いていました。矢じりのようなと表現される葉の形を おもしろく思います。f:id:snow36:20190905172611j:image

オモダカの球根を食用に品種改良したものが、クワイと聞きました。
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台風が来るそうですね。豪雨で被災された地域が 重ねて被害を受けることがありませんように。

いつも ご覧くださいまして ありがとうございます。



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「どこかに月がある 山の線はっきり  山頭火 句」(240×320m/m)  種田山頭火 句   再掲

 


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「つゆ草に鬼の泪を見せにけり  峰夫の句」(250×360m/m) 石井峰夫句集  Ⅴ寒鯉     石井峰夫  句     村上翔雲  書

秋の始まる。

こんにちは。

九州北部の集中豪雨の被害を受けられた方にお見舞い申し上げます。まだ 気を許せないのでしょうか。あちらこちらで強く降っています。どうぞ 被害が広がりませんように。


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こちらは 強く降る時間も 少しありましたが、晴れ間もありました。

雨の止み間に 支流の川縁へ行ってみました。普段は、車で橋を渡る時に眺めることが多い お気に入りの場所です。
川の両岸には 桜の木が並び、冬の朝には 幻想的な霧が山を覆います。

今は とんぼが乱れ飛んでいます。トノサマガエルが ふたっと飛び歩いています。

夏の終わり、秋の始まり。


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久しぶりに、絵を観に参りました。

ギュスターヴ・モローが 観たかったのです。

あべのハルカスで  9/23まで開催されています。


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パンフレットと、一部 絵葉書を使わせていただいています。

 

ヘロデ王の前で 踊るサロメ。浮き上がる聖ヨハネの首を取ろうとする若い王女の横顔。息を飲むような絵でした。 かなり 強力です。美術館へ行くことを止めようかと思いましたが、

いつも楽しみにさせていただいているブロガーさんの記事を拝見して 行くことにしました。

 

少し お話させてくださいね。こちらのブロガーさんは、

 

「よろこん」さん  

http://www.id:YoroCon.com/

よろこんさんは 関東の方で、和洋を問わない美術の解説を詳しく書かれていらっしゃいます。

展覧会は 東京から 各地へ巡回することが多いので、まず よろこんさんのブログを拝見してから こちらの関西の展覧会を観に行くことにしています。

よろこんさんの 今年の4月の記事には、このギュスターヴ・モローの東京展のお話と、

5月の記事には、実際に訪れられた フランスの美しい「ギュスターヴ・モロー美術館」の 紹介の記事を たいへんわかりやすく書かれていらっしゃいますので、どうぞ よろこんさんのブログの「月別アーカイブ」からご覧になってくださいね。

さらに 余談ですが、旅行のお話や 東京の街並みの美しい記事が とても魅力的で、

時々書かれておられる「男の一人飲み」という気さくでお茶目(失礼なことを。すみません)な記事に至っては、待ち遠しく思うほど楽しみにしています。

 

サロメに戻ります。(ごめんなさいね。絵が怖かったですね。でも、謝っていながら 説明するために、あと2回出てくるのです。)

ヨハネの首が浮かぶ「出現」

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この主題のために、繰り返し描かれた素描も 作品もたくさん展示してありました。ムーア人のターバンを巻いた頭部、目を閉じたサロメのインド美術のような衣装。

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裸体の素描もありましたが、そのポーズのまま 女性は 流れるような襞を重ねる衣装を身に着けた 横顔の美しいサロメの作品になり、男性は 聖ヨハネの首を切って服を血に染めた刑吏の姿になります。


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油絵の上に描かれた ロマネスク美術の白い線描が繊細で美しいですね。

 

ギュスターヴ・モローは、エコール・デ・ボザール(フランス国立美術学校) で教鞭を執るようになり、ジョルジュ・ルオーアンリ・マティスが 教え子として有名とのことです。

 

教え子の フォーブス(野獣派)の ジョルジュ・ルオーを思わせる 絵の具を荒々しく乗せた作品もありました。

 

ミュージアムショップで、モローとルオーの絵を 同じ主題で並べられた本がありました。輪郭を太く強く描くルオーは、私の父が特に好きで展覧会に連れて行ってもらったり、画集を見せてもらったので 好きか嫌いかを越えるほど 親しみを感じます。この本を買えばよかったかなと 少し後悔しています。

 

展覧会は、サロメに続いて 次々と繰り出される「自由な」女性たちが描かれた作品が並びます。

例えば、サムソンが眠っている間に その弱点の髪を剃るデリラの物語。 デリラは、ペリシテの領主たちに 夫であるサムソンを売り渡してしまいます。

帳の向こうから 弱く差し込む光が、室内を 暗がりに見え隠れする沼のように表現しています。

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お金のために 夫を籠絡しようとするデリラの 褐色の肌と 昏く光る目が浮かび上がります。

 

 

美しい声で 惑わせるセイレーンは、海を眺めながら 足の代わりに体から生えている蛇の尾で 吟遊詩人オルフェウスに巻きついています。

男性を翻弄するのか、辿るその人生に 振り回されるのか。

 

渦巻く感情の重たいこと。少し疲れました。なんという業の強さであることかと思うと、男性であるギュスターヴ・モローの描く世界が 空恐ろしくもなりました。

 

それでも、パートナーである アレクサンドリーヌ・デュルーへの深い愛。

よろこんさんが、ギュスターヴ・モローの描く女性は アレクサンドリーヌに似ているとおっしゃっておられましたが、私どもも 同じ印象を受けました。どの女性も とても優しくて美しいのです。

そして、母 ポーリーヌを慕う気持ち。ポーリーヌへ送る習慣があったメモのような手紙が 作品を詳細に説明しているので、後の モローの作品研究に たいへん役立ったとのことでした。

それぞれの毒を放ちながら、女性たちの面差しの柔らかさ。優しさ。絵の中で 毒と花、別の方向を指していることが 抗い難い魅力を感じた美術展でした。

 

 

キリギリスがそろそろ終わって、カマドコオロギやマツムシの集く草むらも 今夜は  雨の中に静まっています。


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蒔いた覚えのない花が 咲き始めています。植物は、弱いようでも 強いですね。

最後まで ご覧下さいまして、ありがとうございます。

 



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「あのささやき蜜の巣の暗さ 女の世のなげかわしき  順三郎 詩」(200×300m/m) 旅人かえらず(8) 西脇順三郎

 


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「人に為られんと思うことは人にも亦(また)その如くせよ  マタイ伝」(300×210m/m)  聖句            村上翔雲 書

 

 

 

 

 

 

施餓鬼

こんにちは。

お元気でいらっしゃいますか。

サギソウが 咲き始めました。

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この時期に 毎朝ひとつずつ咲き、しばらくの間 かわいらしい顔を揃えてくれます。

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お天気が定まらない夕方に歩いていましたら、指先ほどの小さな茶色の蛙が 何匹も同じ方向へ 飛んで行きました。うっかり踏んでしまわないように 足元を見ながら歩きます。

風に煽られると、青い稲が南に向かって 大きく小さく さざ波を立ててゆきます。

つくつくぼうしが 鳴いています。ミンミンゼミの音が 強く聞こえてきます。

小さな山からは、蜩 (ひぐらし) の音が降るように響いてきます。蜩の山から 少し行くと、ちいちいゼミが。ちいちいゼミ、小さいセミですね。本当に ちいちいと鳴いています。

何か知ったように申していますが、こちらに来てから25年、鳴き声の違いが わかってきただけで、ほとんどアブラゼミクマゼミしか見たことがないのです。

 

 

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用事で出かけたついでに、お蕎麦屋さんに寄りました。

かつおだしの香りも美味しい ひんやりとしためんつゆ。今日のお蕎麦は 富山県 南砺産とのことで、硬めに湯がいた 蕎麦殻 丸抜きのつるりとした食感が心地よいのど越し。香り高いざる蕎麦がお薦めなのに すだちそばを選んだりして申し訳ありませんが、美味しくて 夏には必ずいただいてしまいます。
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連れ合いが 鯖寿司と盛り蕎麦の お昼のお薦めをいただいていました。


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ごま豆腐や、何か瓜の炊いたもの。鯖寿司の上ですが、冬瓜に似ているけれど、胡瓜の筒切りのようです。蕎麦湯を持って来られた若い女将さんに 尋ねてみると、「大きな胡瓜なんです。美味しいですよ。」と にっこり。

いただいてみると、冬瓜より少し硬めですが、 青臭くはありませんでした。かつおのお出汁の香りをふわりまとって いいお味です。

鯖寿司は、秋祭りを思い出します。まだ先と思う間に 季節がやって来ますね。

 

 

🌿🌿🌿

日曜日に、施餓鬼(せがき)法要をいたしました。

今年 初盆の家族が お寺に参り、お坊さま方の読経をいただいて、卒塔婆を受け取り お墓の卒塔婆立てに 新たに並べます。

 

お寺の惣門のそばには、大きな百日紅が くっきりとした桃色の花を咲かせていました。薄青い空には、細かいうろこ雲が広がっています。

連れ合いと 黙って空を見上げました。

暑くて 晴れた日でした。

いろいろな行事を重ねることで、少しずつ 気持ちの整理をつけていくのですね。

喪主である義弟を支えて たくさんの手続きのために走り回っていた連れ合いに、お疲れさま。


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夕べは 日付が替わる頃まで、空の高いところで 雷が低く鳴り続けていました。昼間は 蒸しますが、静かに季節は進んでいるのですね。



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「足早の秋を感じて感多し 過ぎゆきし夏のあれやこれやも  砕花の歌」(315×230m/m)               富田砕花  歌

 


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「米蒔くも罪ぞよ 鶏は蹴合ふぞよ  一茶の句を翔かく」(150×200m/m)  七番日記 (季節 春)      小林一茶 句               村上翔雲 書

 

いつもご覧くださいまして ありがとうございます。

夏の疲れの出る頃ですね。どうぞ お体大切になさってくださいね。

 

 

ルリヤナギ 夏のなごり

こんにちは。

暑い季節に咲く花に ルリヤナギがあります。


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白を加えた薄萌黄の細長い葉も とても美しいのですが、葉にばかり焦点が合ってしまいました。

少し乱れた様子も儚げに咲いています。

この度は、ご近所のお庭を撮らせていただいています。こちらのお宅の方が 少しずつ分けてくださったので、ご近所のどちらのお宅の庭でも ルリヤナギが咲いています。


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我が家の庭にも  以前株分けをしていただいており、忘れずに枝を伸ばして 花を咲かせてくれました。f:id:snow36:20190812185954j:image

 

こちらのお庭の ルリヤナギのそばに植えられているカシワバアジサイが 6月の白い色から ゆっくりと衣替えをしています。

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6月のカシワバアジサイは こんな感じですね。
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きれいなものを見たくなると、こちらに来てしまいます。このお庭は そんな場所です。f:id:snow36:20190812190042j:image

 


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ランタナも咲いていました。和菓子のように かわいらしくて、夏のさなかにも強い花ですね。

 

私には珍しく、朝5時前の風景です。山の向こうに 終夜操業の工場の丸い煙が 小さく見えます。

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今週の月曜日は 静かに明けていきました。普段の慌ただしさのない お盆休みなので、少し散歩をする時間も 車を洗う時間もありました。


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しばらく歩くと 白い百日紅が、朝日に染まって佇んでいるところに出会います。気づかずにいた花の香りが 南風に乗り 微かに優しく漂ってきました。f:id:snow36:20190812190746j:image

この後 家族でお墓参りに行きました。義母が 小さな声で 般若心経を唱えました。クマゼミが鳴いています。

 

 

今日は、石井峰夫(いしい みねお)さんの句を ご紹介させてください。

以前 どうして石井峰夫さんが この句を作られたのか、どんな方なのかと、お尋ねいただいておりました。

先日 ようやく実家に行きましたので、少し調べてみました。遅くなり失礼いたしました。

妹が 資料にと 石井峰夫さんの唯一の句集を用意してくれていました。お尋ねの答えになってはいないかもしれませんが、ご覧いただけましたら幸いです。


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石井峰夫さんは、よく父の家にいらっしゃった方で 妹も覚えていました。「お酒を飲まれると すぐ赤くなられる方」(本当にすみません!)など 作品に関係のないことまで覚えておりました。師匠の 永田耕衣(ながた こうい)さんを阪神淡路大震災の時に ご自宅に一時引き取られたことも申しておりました。

 

石井峰夫    俳人

1930年(昭和5年) 広島県 尾道市生まれ。

1944年(昭和19年) 戦争中に 商業高校から、工業高校になっていた 現 尾道商業高校で、俳句の指導を受ける。私の父とは 同窓です。 

1950年(昭和25年) 様々な俳句活動を続けながら、学業を終えて 神戸税関に入管。

1956年(昭和31年) 俳人 永田耕衣 主宰の「琴座(りらざ)」の同人となる。

阪神間を活躍の場として、俳句を発表し続け 他分野の 大勢の文化人と交流。

 

石井峰夫さんが亡くなるまで、師でいらっしゃった永田耕衣さんは、最晩年まで 積極的な創作活動をされていました。永田耕衣さんの俳句は、また改めてご紹介させてください。

 

石井峰夫さんが亡くなられた[1996年(平成8年)]  後に、父も発起人の一人に加えていただいて、石井さんの句集を出版したそうです。(「現代俳句の展開50   石井峰夫句集」  の略歴を参考にさせていただきました。)

 

以前 拙ブログに 掲載させていただいた

「ほうたるの泣く火と思う彼方かな」f:id:snow36:20190807110950j:image

は、遺された句集「石井峰夫句集」の「Ⅷ  天体」(平成5年〜8年作品) に収められています。

こちらの「天体」は、阪神淡路大震災(平成7年)があった頃で 震災を詠んだ句も多くあります。「ほうたるの…」は、震災前の作品かもしれません。句の詠まれた背景は わかりませんでした。

素人の感想で申し訳ありませんが、寄辺のない繊細な心の底に 深く流れる抒情を感じます。


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「月色の少女を娶る杉のように」(Ⅱ皺)  (125×50m/m)

「石井峰夫句集」の500部に 父も500点の書を書かせていただいておりました。この句は、石井峰夫さんの代表作とのことです。月明かりに照る杉の葉を思わせる銅色の繊維を 灰青の地にランダムに散らしてある紙に書かれてあります。

 

 

季節は異なりますが、震災のことを詠まれた句を一つ載せさせてくださいね。

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「寒の地震 本来無一物とのみ  峰夫の句」(Ⅷ天体)  (300×195m/m)     以上すべて 村上翔雲 書

 

 

今回は、少し硬い調子のお話になりました。

普段は 自分の好きなことを書いておりますが、たまには、父の仕事に関係するお話もと思っております。(元々 そういうブログなのでした…。)

 


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12日 月曜日の夕方 6時の眺めです。この時期の眺めは、豊かに広がる恵みを感じます。いつまでも 続けばと思います。

 

台風10号は、雨の量が極端と聞いております。どうぞ 被害が広がりませんように。

 

最後まで ご覧くださいましてありがとうございました。

炎天に花咲く Ⅱ

こんにちは。

お元気でいらっしゃいますか。
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我が家の蓮の葉が 大きくなってきました。今年はまだ咲かないなと ご近所の方に言われました。



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こちらは 小さな蕾を持つサギソウです。 茎を伸ばしてきました。今年も楽しめそうです。f:id:snow36:20190808171004j:image

 

 

🌿

先週 実家で草引きをしてきました。

蔦やドクダミが腕を伸ばして 柵から飛び出したり、エアコンの室外機に入り込んでいます。時間をかけて取り除きました。


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お隣との柵に伸びてきている 気の毒な名前をつけられたこの花は、別名を「サオトメバナ」ということを 以前 教えていただきました。作業中にごそごそと撮ったので きれいに撮れていませんが、小さくて可憐です。でも、この花も やはりカズラ。緑の実もたくさんついていて、取り除くしかありませんでした。

黙々と 草を引きました。

 

 

もう どなたもおられない お隣の庭を仰ぐと、青空に 白い百日紅の花が咲いています。f:id:snow36:20190804073706j:image

長いひと枝が 実家の庭にしなだれかかっていました。ごめんなさい。切らせてくださいね。

去年から 白い百日紅を育ててみたいと思っていました。挿し木にさせていただければと思います。ちゃんとつけば いいのですが。

この日も 逃げ出したくなるような暑い日でした。でも、手をかけてやらなければ、荒れた空き地になってしまいますね。

 

🍉

その数日あとに 娘からランチに誘われました。飛行機に乗る前に 時間があるのだそうです。実家の草引きが暑かったから しばらく家に籠って用事をしていたかったのですが、6月の約束が都合で果たせなかったので・・ ・行ってきました。

 

阪神三宮駅のそばから伸びている地下街に昔からある 広東料理のお店 黄老(オウロウ)さんで のんびりと話をしました。神戸は有名な中華料理のお店が多いですね。元町 大丸の上の 群愛飯店(グンアイハンテン)さんも美味しいですが、こちらも お客さんの雰囲気も神戸らしく 落ち着きのある素敵なお店です。

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さんちかのHPよりお借りしています。

 

(ランチセットのお料理を だいぶん食べてしまってから 写真を撮っていないことに気づきました)

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チリソースが美味しい海老チリや とうもろこしのスープは 食べたので写っていません。炒めた卵のいい匂いに包まれた炒飯、蒸籠の点心は やさしいお味でした。杏仁豆腐はシンプルなのが嬉しい。お茶は 香りのよい茉莉花茶が出されます。でも、これでは 何も伝わりませんね。つい、仕事や近況といった娘の話に聞き入ってしまったのでした。

 

✈️

このあと、娘は友人と沖縄へ行くと言っていました。遥か沖合いで 台風が大きくなりつつある時でした。

旅行に行くのに 持っていないと申す娘のちゃっかりぶりに仕方がないなと思いながら、ラフィアで編んだ青い帽子と 薄手のカーディガンを買ってやり、ポートライナーへのエスカレーターまで見送りました。神戸空港へ行くのだそうです。

 

沖縄から、何かしら 写真を送ってきました。


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こちらは、沖縄「喫茶ニワトリ」さんの かき氷です。とろりとした豊かな質感のドラゴンフルーツソースが かけられているとのことで、右に添えてあるのは、パッションフルーツのソースだそうです。

 


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一日目は 何とかお天気はもってくれたようで、ちょっと遠めですが 海は穏やかだったそうです。


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餃子のお店と、


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ソーキそばの美味しいお店。右奥の どんぶりに入った葉は、ヨモギだそうです。娘が おそばの汁に 少し浸けて食べてみたら、あまり美味しいと思わなかったと言っていました。

ただ、友人は しばらく浸けてから食べてみたら 美味しかったと言っていたようです。

お店の方に 食べ方を尋ねてみたら よかったですね。


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天然酵母のパン屋さん。食べるところは 外しません。

このふたりが一緒だと、洒落たこととは縁遠く 毎回とんでもないことが起こります。なかよしっていいですね。ふたりの話を書いてみたいのですが、書くと きっと またブログがあらぬ方向へと迷走しだします。

娘は、ラフィアの帽子を レンタカーに置いて帰って来てしまったそうです。・・・多分そんなことになるのでは と思っていたのでした。あわてて後で問い合わせてみたそうですが、結局見つからなかったようです。

 

娘と会って帰って来た夕方遅くに 強い雨が降りました。

洗濯物を取り込んでいると、ご近所の 濃い桃色の花を咲かせたサルスベリの長い枝が、激しく揺れていました。昼はアブラゼミクマゼミの賑やかな桜の木も 雨に打たれて枝先を揺らせるだけでした。土や緑が濡れる匂いがします。


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「炎天に花咲く さるすべり  はだかの幹 まがり傾く心 紅の髪差 行く路のくらがりに迷う旅の笠の中  順三郎の詩」旅人かえらず(52)  (200×300m/m)   西脇順三郎 詩    再掲

 


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「寝返りをするぞ  そこのけ きりぎりす   一茶の句を翔雲かく」(150×75m/m)   小林一茶  句           村上翔雲 書

 

 

いつも ご覧いただきまして ありがとうございます。

一番 厳しい季節ですね。台風が 続けて来るのでしょうか。被害が 大きくなりませんように。どうぞ お体大切になさってくださいね。