野の書ギャラリー

書家村上翔雲の作品を少しずつご紹介させてください。日々の雑感もほんの少し

今日一生を

こんにちは。ご無沙汰しています。お久しぶりですね。

お元気でいらっしゃいますか。

昨日の朝は 吹き荒れる雨の音が明け方まで続いていました。

 

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近くのお寺の梅が 優しい香りを放って咲き始めたのは、義父の初七日の頃でした。よく晴れた日でした。

スマートフォンは、私の撮り方では相変わらずきれいに写せません。

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季節が巡り、暖かな日差しにほっと和みます。

 

 

昨年6月に、義父は療養型の病院へ移りました。

その節には 優しいコメントをたくさんいただきました。ありがとうございました。

 

今年になって 1月の終わり頃 危篤の状態との知らせがありました。

2週間後、義父は亡くなりました。最後の5年は、意思の疎通が難しくなっていた義父。長い間 施設や病院のお世話になりました。穏やかな最期と聞きました。

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昨年病院に移ってからは、家族の見舞いでも病室へ入ることが叶わなくて、

電話で教えてもらうか、モニターで見せてもらうことで様子を知るようになりました。要介護認定を受けている義母には 寂しく辛い思いをさせてしまいました。

ここに書く言い訳を考えるような私ですが、何をどう言ってももう仕方がないことですね。お義母さん ごめんなさい。

などと謝りながら、告別式の翌日には お恥ずかしいことに雑用をする私が何故か寝込んでしまい、

仏さまのお膳も出せず 四十九日まで続く (実際には三十五日辺りまでだそうです) 西国三十三所ご詠歌にも初日から参加できませんでした。 

 

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昨年の6月には、枯れるように亡くなるのを 見守りながら看取るということを、家族の誰もが受け止めきれなくて悩みました。

植物が枯れるように 次第に食事も水も受けつけなくなり、体が枯れるまで生ききる様は 本来の姿なのでしょう。 それを見守る覚悟がありませんでした。

結局 最後の7ヵ月ほどは会えなかったので、見守るどころか 昼夜を分かたず痰の吸引を毎日10回もしてくださるような手厚い看護の病院にお任せの状態でした。

心配したり悩んだりした割に、大した行動もしないまま日が過ぎて、

看取りではなく、こんな風な見送りをした私などが 何かを思って書くなど本当に厚かましいのですが…

 

 

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今日一生 

過去に二度 出させていただいた父の作品です。 

昨年は、高齢で弱っていく義父のこともあり、さらに知り合いが何人か亡くなったこともあって、繰り返し眺めた書でした。

 

🌿

unibabaさんは、美しいブログを書かれる方です。何より 私の考え方を広げてくださる方です。

かなり前に 私のブログで 「今日一生」の作品をご覧くださった時に、カーペンディウム というラテン語の言葉を教えてくださいました。

           「今を生きる」「一日の花を摘め」

今日を精一杯に咲く人生の日々。小さな花々。

この言葉を胸に一日を大切に生きていきたいとおっしゃっておられました。

ブログを拝見していますと、一度限りの今日の日を心を込めて過ごしていらっしゃるご様子が穏やかに伝わって参ります。

 

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f:id:snow36:20210225204836j:imageオオイヌノフグリ  一日花の青い瞳

 

🌿🌿

そして、思遠さんは、思遠さんの スペインの340kmもの道を巡礼される方々のお話のブログを拝見して 書かせていただいた私のコメントに、こんな言葉をくださいました。

 

(下の文章は、               

去年、我が家のご近所で 25年間闘病が続いたご主人を見送られたばかりの方が、私たちがお参りに伺ったことへのお礼に来られて「(ふたりで) 今日を精一杯生きて来ました。」と涙されたことがありました。そのことをコメントの中で書かせていただいた折の思遠さんからのお返事です。)



 

snow36さま、大事な方の訃報は残念ですが奥様のお言葉に感じ入りました。
生きることと同様、死にも意味があると言い切るフランクルは、仏教の「生死」(しょうじ)という二つを分けない考え方と似ていると感じます。
奥様もご主人と一緒に精いっぱい生きられてこられたからこそ、その言葉がとても重いと感じます。
和尚様は「生きて半生、死んで一生」と話されます。その言葉にハッとしたこともございました。ご主人は闘病され立派に一生を全うされたのですから、奥様も時と共に癒され充実されることを祈ります。
人生の小さな花々に出会うのは、大変なことを乗り越えるからこそ、と私は信じています。お互いに学びがございます、私の方こそよろしくお願いします。

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unibabaさん、思遠さん、ありがとうございます。

思遠さんには 許可をいただかず使わせていただきました。申し訳ありません。

 

いただいた言葉に 私の感想などは無用なものですね。

 

昨年義父のことで 皆さまからいただいたあたたかなコメントと、別の機会にいただいたおふたりの言葉を何度も読み返しました。

病院のコロナの対策のため、面会ができなくなって じりじりとした思いはありましたが、一方で 義父のことについて落ち着いて考える時間がありました。 家族で繰り返し話をしました。

80歳を過ぎても 機械油であちらこちらが黒くなった作業着を着て、曲がった指で加工の仕事を続けた義父。たとえ私たち他の家族が休みの日に遊びに出かけても、お休みは ずっとお正月の一日だけでした。

かなりのマイペースでした。続けて休んだのは 病気で仕事ができなくなって辞めた時でした。

それしかできることはなかったのかもしれません。

 

こちらでは 亡くなった人は、病院から自宅に一旦帰ってから 和尚さまに枕経をしていただき、家から出棺をして斎場へ向かうのですが、

コロナの影響だけではなく、仕事を辞めて10年近く経っていて、義父はどなたとも疎遠になっていたこともあり家族葬にしたところ

出棺の時には 家の周りに集落の方が大勢お別れのために待っていてくださいました。

近くに住むわずかの親戚と家族だけの斎場には、係りの方も 届けてくれたお花屋さんも驚かれるほどのお花が 親しくしていただいた方々から届けられていました。

 

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花の香りに満ちた空気の中で 硬いお式の場がほどけていくようでした。

枯れるまで生きる。

動ける間は、仕事ばかりして過ごした年月。

ささやかな人生の小さな花々。

私の知らなかった義父の人生を思って過ごした時間でした。

 

 

 

今は 私にできることをして参りましょう。

 

🌿🌿🌿

おとうさん、

今頃は 友達とお酒を飲みながら 「梅は白いのがええのう。」なんて のんびりおしゃべりでしょうか。どうぞゆっくり休んでくださいね。

おとうさん、ありがとう。心配しながら何もできなかった頼りない私なのに いつも頼りにしてくれましたね。おかあさんのことは 私たちに任せてくださいね。大切にしますから。

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日が長くなった2月の半ば。お通夜を終えてお帰りになる和尚さまをお見送りする薄縹の空には、銀色の三日月が細く浮かんでいました。

 

 

長らくお休みしている間、説明のないまま全くブログから離れていた時にも いつもどなたかがお立ち寄りくださり、コメントまでくださる方もいらっしゃったことを心から感謝いたします。

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いなかのことですので、普段に戻るまでしばらくかかりそうです。お葬式の後は自宅に設えた祭壇に向かい 毎日のご詠歌や 七日ごとの逮夜など。私たち家族は 時間をかけて義父を見送り義父と岐れ、気持ちを整えてまた日常に戻ってくるのですね。

 

暖かさに揺り起こされるように、クリスマスローズが咲き始めました。風はまだ冷たいながら こちらにも晴れやかな季節が来るのも もう間もなくです。

1ヵ月先になるかもしれませんが、またお目にかかります。

今日も拙いブログにおつきあいくださいまして ありがとうございました。

 

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「愛」色紙 額装  書はいずれも 村上翔雲

 

深みどりの風吹く。

こんにちは。

また急に冷え込んできましたね。

たいへん遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

雪が降り 少し積もっては解けるを2、3度繰り返して、辺りは枯れ枝ばかりで寂しくなりました。

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折れた花が伏せてばかりのところに なんとか雪に負けずに立ち上がって咲いている水仙を見つけました。近づくとほんのり爽やかな香りがします。

 

🍂

金曜日 用事の後に少し時間があったので 大きな公園へ回ってみました。

神戸の六甲山高山植物園や神戸市立森林植物園には行く機会がなくて残念ですが、こちらの県立森林公園も広々として落ち着けるところです。

 

森の遊歩道に入ると、椎の仲間のスダジイや樫の種類のアラカシが 冬でも葉が暗く茂る姿で立ち並んでいて 深みどりの空気に全身が洗われていくような感覚になります。木の匂い。葉の香り。暖かい日差しに新しい風が吹いてきて 鳥の鋭い鳴き声が聞こえてきます。

歩いていると、やがて枝ばかりの景色になりますが、すぐに気づくのは 蕾のうちから あちらこちらを向いて踊っているような親しみのある花を予感させる柔らかいコブシ。

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灰白色の木なのでよく目立っていました。

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空へ手を差し伸べているようなハナミズキの蕾。

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逆光でうら寂しく見えてしまいますが、春先の白い花を想像すると わくわくいたします。木には、それぞれ名前が書かれた札が下げられているのでわかりやすいです。

 

こちらは、欅の木。温まった幹に手を当ててみます。

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f:id:snow36:20210115185019j:image稲のような粒々が下がった雄花(でいいでしょうか) が楽しいこちらの木は、姿がよくて背の高いメタセコイアの木です。 

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いつの間にか30分も経っていることに気がついて、慌てて帰りました。

 

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ニナシモネさんのブログから 「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ 作 をご紹介いただいて読んでみました。

ザリガニの鳴くところ - この曲が心地よい!

www.kokochiyoi-blog.com

ニナシモネさん いつもありがとうございます。

舞台となる湿地では、動植物が豊かに育ち 四季折々の風景を紡ぎ出します。

 

素人説明のかなりいい加減なことですみませんが、海の水に押し流された砂や泥が溜まって堰き止められて湖となった潟湖(せきこ) がいくつもできた辺りに湿地はあります。

以前 息子から見せてもらった湿地に育つ食虫植物のタヌキモの黄色の花の写真の可憐さが忘れられません。

 

「ザリガニの鳴くところ」。 主人公のカイアが住む湿地に育つ濃い蔭を作る高いオークの木の下には、エンレイソウや白いスミレの咲く淡い陽だまりがあり、人から隠れるための読書小屋は、イバラの中を通る細い水路をボートで進んだ先に建っています。

 

湿地にはカイアの好きな場所があちらこちらにあります。

イバラの茂みはウサギの通り道。湿地の水を飲むオジロジカの親子。

海岸には カモメたちが飛び交い、カイアにそっと寄り添ってくれます。

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自分の誕生日がいつか知らない小さなカイアは、秋の満月がお祝いにやって来るとお母さんから聞いていたので月を見ながら 7歳になったことを知りますが、

お母さんは出て行ったまま たったひとりで誕生日を迎えて、そばにいたカモメに「今日わたしは7歳になったの」と話しかけるのでした。

10歳の頃には 時々帰って来ていた父が帰らなくなり、人と出会うこともほとんどなくなったまま 湿地の中の家で生きていきます。

湿地にある家は、ハクトウワシ、ネッタイチョウゴイサギたちの美しい羽が飾られた ひとりぼっちのカイアが一番安らぐ場所。

人恋しいのに 人が嫌い。幼い頃から厳しい道を歩む湿地の少女カイアの魅力は あまり書いてしまうとせっかくのミステリが楽しくなくなりますね。

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作者のディーリア・オーエンズは動物学者とのことです。動物学者の書かれた本をあまり読んだことはないので何もたいした知識などないのですが、嵐のような出来事と対照的に描かれた物語の素地となる あらゆる生き物に対する愛情と豊かな抒情詩のような湿地の風景が強く響いて参りました。

「ザリガニの鳴くところ」の中で 強い差別や偏見を受けたために、学ぶことができないまま14歳まで字が読めなかった主人公のカイアが、その後勉強して読んでいた アルド・レオポルド「野生のうたが聞こえる」を興味深く思って検索してみましたら、実際に存在する有名なエッセイと知りました。

図書館にはなかったので、中古品を買ってみました。丹念な観察を重ねられ細やかに自然の息づく様子が趣深く綴られている本でした。

森林官であったレオポルドが 森や原野に棲む動物や植物を心から大切にしていたことが伝わってきます。

中でも「自然保護を考える」についての考察は端的でわかりやすく、生態系を守ることの必要性を繰り返し書かれていました。

 

***

昨日は、26年前に阪神淡路大震災の起こった日でした。私の実家は震源地の淡路島に近いところで、激しく揺れましたが被災はしていませんでした。

あの時 生後1カ月で実家で治療待ちをしていた息子も今は26歳になりました。

今の時代に経済を優先せざるを得ないことは理解できますが、自然を舞台にした小説やエッセイを読んだり いなかの森や農道を歩いていると、

自然の一部の存在に過ぎない人間は、自らの価値観を振りかざして驕ってはいけないと つくづく思います。私も自分を省みなければなりません。守るべき大切なことはもっと違うところにあるのですね。

 

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久しぶりにブログを書きましたが、都合で3月頃まで またお休みいたします。小さな事業所ですのに 確定申告にしばらく振り回される予定です。お恥ずかしい…

全く離れるのは寂しいですので、休んでいる間も皆さまのブログを時々拝見させてくださいね。

戻りましたら、またよろしくお願いいたします。

お身体を大切になさってくださいね。

いつもご覧くださいましてありがとうございます。

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「烈風の水仙にさす陽のひかり 峰夫 句」(69×69.5cm) 軸装 Ⅵ 補陀落 石井峰夫 句


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「待っていたような気もする地の怒号 新子の句」(68×69cm)  時実新子 句  村上翔雲 書

 

明石市立文化博物館 所蔵 2点とも (作品 15・28)

 

絵を刻む

こんにちは。

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週が変わって寒くなってきました。昨夜から雪になり朝にはあちらこちらで少し積もっていました。

お元気でいらっしゃいますか。

 

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木瓜は、12月に入って白から桃色に色を深める可愛らしい花を3輪咲かせていました。

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先週 長らく畑で逆さまに干していた黒豆を収穫したからと、友人が少し分けくれました。

一反は、300坪(990㎡)でしたか。間を開けて植えるので、二、三反の広さの田んぼから100kg程度の黒豆が取れるとのことでした。

コンバインで黒豆を収穫するのと同時に、枯れた枝と莢を燃やす煙が漂う夕暮れの一日が 冬の初めの風物詩です。

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友人から分けてもらった取れたての黒豆は、1日干すようにと教えてもらい 伏せた籠の下に広げました。

農協へ出荷するのには、お正月向けの出荷と年明けの出荷の分とは時期が違うので 乾燥具合を調節しているそうです。

f:id:snow36:20201216211008j:image黒豆を撮るのは 私にはちょっと難しいようです。一握りだけ写してみました。

収穫したてのほやほやの 傷のあるものをより分ける前の黒豆が とても貴重なものに感じられます。

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割れた黒豆が愛らしい。

長く干していても、収穫の時に莢から外れない豆もあり、それは 友人のお母さんが ひとつずつ取り出して、自宅用にするそうです。

 

🎄

部屋のかたづけものをしていましたら、カポーティの「クリスマスの思い出」という小さな絵本が出てきました。

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有名なお話ですので ご存知の方も多いと思いますが、

七歳のバディーと おばあちゃんほど年の離れた従姉(最後にある村上春樹さんのノートによれば、スックという名前らしいです) とラットテリアのクィーニー。

ふたりがクリスマスにあげたい人に贈るフルーツケーキを30個作ろうと、一緒に自然に落ちた農園のピーカンの実を拾いに行ったり、一年間自分たちで工夫して貯めたお金でケーキの材料の買い出しに行ったり。

バディーと従姉「我が友」は、親戚の家にお世話になっていて窮屈な生活をしていますが、一緒にいれば そこはとても楽しい場所になります。

この場所は 気づいた時にはどこかに消えてしまって、幼い頃の楽しかった思い出だけが心に残る切ない物語に思いました。

本の中をお見せできなくて残念ですが、素朴で 子どもの匂いが感じられる物語に 山本容子さんのふんわり優しい鉛筆エッチングの挿絵が何枚も差し込まれています。

村上春樹さんの訳も素晴らしく、物語と絵の美しい融合が 登場人物をさらに生き生きと浮かび上がらせます。

 

お話から離れてしまいますが、銅版画の多様な世界には魅力されます。

美術展でエッチングのどちらかと言うと小さな作品を観る時には、書の展覧会で時々見かける蛇腹になった雅帖を拝見する時に通じるわくわくとした期待が広がるのを感じます。雅帖については、また改めて書いてみたいと思います。

 

🌱🌱

こちらは手元にある父方の叔父の銅版画(今年の年賀状と 8年前の植物文字というテーマでの作品群の個展の案内状です)の葉書です。

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一言で銅版画と言っても いろんな表現方法があることに少しずつ気づいてきました。 このように知った風に書いていますが、観るだけで相変わらずたいした知識がない私。 空にいる父を また困らせてしまいます…

 

⛄️

娘が久しぶりに 保育所の子どもさんたちと製作したクリスマスの飾りの写真を送って来ました。

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2歳になるかならないかの頃なので、用意した紙皿のリースと 色画用紙で作ったツリーに、シールを貼って クレヨンでぐるぐるした飾りです。

 

先日、保育所で生活発表会を かなり気を配ってしてみたそうです。

1歳児クラスでして、おうちの人が来られているのに気づいて 子どもたちみんながそちらに行ってしまうと発表会にならなくなりますが、

娘たちは何も言っていないのに、みんな嬉しそうにおうちの人とタッチをしに行くだけで すぐに戻って 小さな物語り仕立ての「かくれんぼ」を続けてくれたそうです😊

制約がいろいろとある中での発表会だったけれど、子どもたちのおかげで和やかで楽しい会になったと言っていました。

 

取り立ててお話するほどでもないようなところに住んでいますが、移り変わる季節にささやかな幸せを感じて過ごすことに感謝したいと思います。

f:id:snow36:20201216211234j:image近くの薬師堂にはアキノキリンソウが。雪が残って上まで上がれませんので、一昨日の写真です。

 

 

私自身のこの一年を振り返ってみますと、父の作品から 51点をまとまった形で 夏に明石市立文化博物館に収蔵していただいたことが一番大きな出来事でした。

長らく気遣ってくれていた銅版画家の叔父もたいへん喜んでくれました。

父の作品のために 今もご尽力くださっている名筆研究会の先生方には、改めて心から感謝申し上げます。

f:id:snow36:20201216211304j:imageアキノキリンソウのそばに躑躅が一輪だけ咲いていました

そして私の拙いブログは、夏からいろんなことがあり更新が間遠になっておりますが、おかげさまでなんとか続いております。

今年も早めのご挨拶になりますが、

いつもお付き合いくださいまして ありがとうございます。

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唐突な付け足しになって申し訳ありませんが、

金柑の焼酎煮を載せさせてくださいね。今年の初め頃に書いたのですが、季節も終わりのお正月の口取りにもならない頃でした。

とは言え、こちらでは金柑はまだお店に並んでいないようですので 生協さんのカタログから買って焼酎煮を作ろうと思います。

 

昔「 NHK今日の料理」に載っていた作り方です。

 

1. 金柑 500gは よく洗ってヘタを取り、5〜6本縦に切り目を入れ、竹ぐしで種を取り出す (種をすべてきれいに取り出すのは難しいですので、適当で)。

2. ホウロウか ステンレスのお鍋に 金柑を入れ、焼酎 2カップを加えて クッキングシートなどで落としぶたをして、弱火で40分ほど煮る。

3. 砂糖250gを加え、再び 30〜40分 ゆっくりと煮含める。 (アルコールは抜けます)  1240kcal

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何日か経った方が お味が馴染んで美味しいですね。

 

 

今日は、叔父の銅版画について少し触れましたので、父の書を叔父が銅版画にした作品をご覧ください。筆で書いたものをどんな風にして版画にと、とても興味深く思います。

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書 村上翔雲 銅版画 村上文生

 

お体を大切に、どうぞ よい年をお迎えください。

               野の書ギャラリー


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小さなお城の跡で。

こんにちは。お元気でいらっしゃいますか。

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農道を歩いていると、かわいらしい花が咲いています。ホトケノザと手前はヒメジョオンでしょうか…

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冬の雲が出ると寒さを感じます。ここ数日の昼間は スミレの咲く暖かさがしばらく続いていたようです。

 

 

庭の鉢植えのヒイラギの花は目立ちませんが こちらも可憐で近寄ると清楚な香りがします。 固く枯れた葉の棘もしっかりとしています。

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ヒイラギから ひいらぐ(疼ぐ)…痛いという言葉を昔習ったことを思い出します。

 

柚子の枝の棘も そこまで と思うほど長くて鋭いものです。

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実をひとつ取ろうとした時に 枝の棘ばかりを気にしていましたら、実のヘタのそばに生えていた小さな棘に気づかず 指先が当たってしまいました。相変わらず何かするとやらかしてしまいます…

枝から切ったばかりの実を手に取ると、切り口のところから柚子の香りが爽やかに立ち上ります。

日中は日差しが暖かいですが、日が暮れると鹿の鳴き声がよく聞こえてくるようになりました。

 

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詩人の今村欣史さんのブログを拝見して、

葉室麟さんの「冬姫」を図書館で借りて読みました。

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戦国時代 織田信長の娘として生を受けた冬姫は、家を絶やさず守るための結婚の後、さまざまな武将の正室や側室たちとの「女いくさ」に身を投じます。

冬姫が健気にひたすら誰かのために尽くす姿は胸を打ちます。それは 戦う相手の女性にしても同じことなのですね。

綾錦の絵巻物を見るような物語の中で、命を賭けた底知れない駆け引きが繰り広げられます。

 

冬姫が、父 織田信長の仇である明智光秀の娘、玉子(細川ガラシャ)と心を通じ合わせる場面からは、境遇は異なっても 同じ時代に生きる女性同士の共感が強く伝わって参りました。

蒲生氏郷への信頼と互いの情愛の深さも また心に残りました。

葉室麟さんの直木賞作品「蜩ノ記」では、端正な文章の行間から 人が人を思い遣る温かさが伝わってくる物語に惹き込まれましたが、

雰囲気の異なる女の世界「冬姫」では、引き締まった端麗な文体にのめり込んでしまいました。

今村さん、情感豊かな物語を教えていただきました。ありがとうございます。

「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ作。こちらは、ニナシモネさんのブログからご紹介いただきまして貸し出し予約をしました。

ザリガニの鳴くところ - この曲が心地よい!

www.kokochiyoi-blog.com

ブログを拝見してから 図書館へ出かけたのも遅かったのですが、ずっと人気の本らしく順番が来るのはまだ1ヵ月以上先になるようです。

楽しみに待っています。

 

 

🍁🍂🍂

10月に京都へ家族で出かけたことを以前のブログに書いてみました。

その折、細川忠興正室 細川玉子( 玉。後の細川ガラシャ) が 20歳頃に2年ほど隠棲したと伝えられる

京丹後市の味土野(みどの)へ行ってみたいと思いながら、時間がなくて帰って来てしまいました。

自動車道路が繋がって便利になり、我が家から京丹後市へは2時間ちょっとで行けるようになりまして、11月の連休の土曜日に 改めて行ってみました。

 

父の明智光秀が 主君の織田信長を討ったために、玉子は 仲睦まじかった夫の細川忠興によって山奥の味土野に隠棲 と言ったらよいのか…幽閉されたそうです。

明智に与しなかった細川家で 逆臣の娘である玉子が正室であるのも立場として難しく、狙われて危うくなることへの配慮などから隠されたとのことですが、

その場所へと辿るこの道は 当時とそれほど変わっていないのでしょうか。今も車1台がやっとの舗装された細い道が、人家の途切れた沢沿いをカーブを繰り返しながら続いていました。

 

この写真は 着いてからしばらく歩いてみた場所の写真です。辺りには 熊笹の大きな葉の重なりが目立ちます。

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イノシシの捕獲檻を ところどころで見かけました。

NHK 歴史秘話ヒストリアで、玉子 細川ガラシャについて取り上げられていた11月18日の回を見ました。

味土野は 雪深いところで、降り籠められると春までここから出られなかったのではないかとのことでした。

近年では 豪雪地方も春まで雪の深い状態が続くのではないのかもしれませんが、こちらに来る途中 3つのスノーシェルターのトンネルを通って来ました。山沿いの地形に合わせた形の畑が見えました。

 

着いたところは 小さな丘になっており、その上の小高いところに 玉子が幽閉された女城跡があるそうです。

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小さな観音さまの祠と、碑がありました。

もの寂しさを感じますが、居城跡まで歩く紅葉の散り敷く坂からは趣きが感じられて 地元の方が日頃から大切に管理をなさっている様子が伺えます。

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谷を超えて向こうの山に、玉子を守るために 警備の武士たちが控えていた男城跡がありました。

男城の山から谷へと突っ切るように女城までの道が真っ直ぐにつけられていたそうで、事が起れば 駆けつけられるようになっていたそうです。

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大河ドラマにも出てくる歴史的に有名な女性がひととき隠れ棲んだと言われる場所は、山深くひっそりとしていました。

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空気がひんやりとしています。川からは 寒くなると霧が立ち昇り、谷を覆うのでしょう。

後年の玉子の過酷な最期を思います。

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近くに谷の川からの落差で、滝が流れ落ちているところがありました。道沿いから下りたところに 滝を見渡せる場所が整備されていました。優しく美しい眺めでした。

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玉子には ここにいる間に地元の方々と挨拶を交わし合い、一緒に季節の移り変わりを楽しむような心が潤う触れ合いの時があったのかもしれない。滝を見ながら思うことでした。

 

散りぬべき時知りてこそ世の中の

           花も花なれ人も人なれ

             (細川ガラシャ 辞世の歌)

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今日もご覧くださいましてありがとうございます。

 

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「みみづくの腋羽にふかむ樅の闇 兜子の句」(210×300m/m) 玄玄 液雨 赤尾兜子


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「待ち惚けて 立てば桔梗の花のかず 兜子の句」(210×300m/m) 玄玄 獅子舞 入院  赤尾兜子

        村上翔雲 書

山のお寺。石垣の小径を歩く

こんにちは。

こちらはよいお天気が続いています。七五三ですね。コロナが心配ですが、お子さんたちが楽しい毎日を過ごされますように。

 

先日 兵庫県加東市にある西国三十三所 第二十五番札所 御嶽山播州清水寺へ出かけました。

播州清水寺は、標高552mの御嶽山の頂上に広がるお寺です。

f:id:snow36:20201115113512j:imageこちらは、頂上にある根本中堂の階段横からの眺めです。

西国三十三所ご詠歌は、私どものところでは 亡くなられた方が無事にあちらの世界に辿り着けるように 四十九日まで毎晩唱える歌で、素朴な歌詞や長閑な拍子に親しみを感じます。

慣れない初めの頃は 見よう見まねでして、ご詠歌の謂れも知らず ただ正座の足を痺れさせていたことを思い出します。

 

🍁

この日の元々の目的は、義父の冬の下着などをお世話になっている病院へ届けることでしたが、途中にある清水寺へは ずっと伺ってみたいと思っていました。

よいお天気でした。いくつものゴルフ場のそばを走る県道を通って行きます。

車の少ない県道は、色づいたもみじや まだ緑の残る木々が並木道のようです。 重なりあって道に伸びた枝葉が美しいトンネルとなってどこまでも続いています。運転している私は楽しいのですが、皆さまにご覧いただけなくて残念です…。

料金所のようなお寺の入り口で拝観料を車の窓から支払うと、そのまま舗装された山道を仁王門まで車で辿ります。道沿いにアジサイなどが植えられていました。(ふもとには、山頂まで歩いて40分の険しそうな登山道もありました。そちらからだと無料だったようです)

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播州清水寺は、インドから渡って来られた法道仙人が開かれたそうです。

明治時代に山火事で焼失して、その後 台風被害にも遭われて壊れた建物もあったとのことでした。

その都度 再建されたとのことですので、古刹ですが建物は 大正、昭和のもので比較的新しく 山門の仁王門も昭和に立て直されたとのことでした。

 

山の頂上なので、境内は階段と坂の多いところです。

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山に沿って石垣の続く道を行きます。

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江戸時代中期に造られたといわれる石垣は、表情のある石が組まれ、それぞれが岩に彫られた石仏のようにも見えて趣き深く思います。

シジュウカラか、コガラか。よく知らなくて頼りないことですが、小さな野鳥が道沿いの木の枝々を近くまで飛んで来ます。

 

🍁

薬師堂です。建物の写真を撮り忘れてしまいました。

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播州清水寺のホームページからお借りしました。

こちらは撮影できるとのことです。

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古刹の建築、伝わるご本尊や宝物を守り続けることは、どんなに難しいことだろうかとしみじみ思います。 

上に飾られている十二神将は、奈良の「せんとくん」を作られた籔内佐斗司先生によるものなのだそうです。わかりにくい写真になってしまいました。パンフレットの表紙をお借りさせていただきます。

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厳かな中にも表情豊かな神将たちに親しみも感じます。

 

 

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🍁🍁

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播州清水寺には、お堂がふたつあり、

こちらの 大講堂は札堂で、御朱印やお札をいただくところです。聖武天皇の命により 行基が725年に建立した由緒のあるお堂とのことです。
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大講堂のご本尊は、千手観音で お寺に伝わる宝物も多く展示されています。急ぎ足でまわりましたので、もう少しゆっくり時間を取って拝見したかったと思います。

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こちらの枝垂れ紅葉。とても華やかでした。

 

 

🍁🍂🍁

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もう一つのお堂、根本中堂へは80段の階段を上ります。数えながら上られている人もおられました。

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長い階段の道すがら、モミジの紅葉とイチョウの黄葉が美しく、散り敷く落ち葉が 木の根元を明るくしています。

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ふと赤紫のいろに気づいて見ると、石楠花が咲いていました。
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石楠花のきれいなお寺なのだそうです。冒頭の写真でも桜が咲いていましたし、紅葉も華やかで 植物の楽園なのかもとおもしろく思います。

 

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根本中堂は、大講堂よりさらに古く627年に推古天皇の命により建立された勅願所とのことです。

こちらには、30年ごとの特別公開の時にだけ拝顔できる 檜のご本尊 「十一面観音」が、お側には「脇士 毘沙門天」「吉祥天女」がいらっしゃるそうです。

 

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SNSで人気のある場所があると 案内の札が立っていましたので行ってみました。先ほどのお堂の大講堂を進んだところにありました。

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戦前のものらしく、私の知っている昔の丸ポストより さらに古そうです。丸い差し出し口の下には、右から左へ「郵便」と文字が浮き上がって見えました。

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お寺の施設から少し離れた場所に ひっそりと立っていました。一週間前はこんな様子でしたが、昨日の神戸新聞には、艶やかな紅葉の播州清水寺の様子が出ていました。

 

🍁🍂🍁🍁

さらに少し先には、何かの建物の跡がありました。こちらも山火事で燃えてしまった建築でしょうか。

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別の場所にも跡がありました。

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白飛びが多くて恐縮ですが、こちらは 多宝塔跡です。 白河院の寵愛を受けた祇園女御が、甥の平清盛の武運長久を祈願して建立された大塔だったとのことで、現在再建予定なのだそうです。

 

古い伽藍を見せていただくと、長い歴史に触れるようで気持ちが改まります。

ですが、播州清水寺を拝見させていただいて、災害に遭われても建て直して再び歴史を繋がれることの意義の大きさと ご苦労を思います。


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大きなイチョウの木に触れてみます。ごつごつとした木肌はひんやりとあたたかい。
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思いがけない広さの とても興味深いお寺に、気づけば 2時間近くも過ごしてしまいました。急いで義父のいる病院へ向かいました。

 

 

**

立派なお寺の後にご覧いただくのもお恥ずかしいですが、

簡単なこともあり 時々チャパタを作ってみます。捏ねないで発酵を2回して焼くだけの油脂を使わないパンです。

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ごろごろな感じを出したかったのですが… 

それでも、焼きたての皮はぱりっと、中は瑞々しくふくふくとして、私が作った不細工さんでさえ 小麦の香りと味わいが豊かに感じて嬉しくなります。

今日は 胡桃とドライイチジクを入れました。

 

🍂🍂🍁

f:id:snow36:20201114105827j:image黒豆は、一部は黒枝豆として流通しますが、 ほとんどの豆は こうして下から刈ったものを逆さまにしてしばらくの間置くか、葉を取った状態で植わったままにしたりして、お正月の黒豆煮にされる黒豆にしていくようです。つやつやの大きな黒豆煮って美味しいですね。

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黒豆が終わった畑には、ヌカキビのような草が夕日に仄赤く染まって綿のように生い茂っています。秋らしい眺めです。

 

西国三十三所 第二十五番札所 播州清水寺

あはれみや 普き門の品々に なにをかなみの ここに清水   第六十五代天皇 花山法皇

 

長くなりました。ご覧くださいましてありがとうございます。

 

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「狂句 こがらしの身は竹齋に似たる哉  芭蕉の句」軸装 (69×69.5cm) 野ざらし紀行  松尾芭蕉


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「布引や あぎとを責める秋の暮」(69×34cm)  

          石井峰夫 句             村上翔雲  書

  明石市立文化博物館 所属  2点とも(作品 6・12)

 

 

 

 

秋に憩む

こんにちは。今日は寒い雨でした。

晴れた昨日に 家の近所を久しぶりに歩いてみました。

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高い空に雲が流れます。

最近は、普段より用事が立て込んで しばらく歩いていませんでした。

 

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イヌタデの咲く原を過ぎると、小さな水路の奥の方までミゾソバが咲いていました。後ろで枯れたように何本も立っているのは、穂が綿となって散り終えた蒲です。

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イヌタデミゾソバも、可憐な花は花びらではなくて萼なのですね。そんな花が多いことを知るようになりました。

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使われなくなったコンクリートの焼却炉から、イヌタデがこぼれるように咲いていました。咲きだしてから かなり経ちます。

引いてから焼こうと捨てられたものが根づいたようです。それでも長く咲き続ける野の花の気丈を感じて ここを通る度に眺めてしまいます。

 

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青みのある赤い花は、ノアサガオの仲間でしょうか。朝夕と寒くなってきていますが、しぼんでは新しい花が咲いています。

 

f:id:snow36:20201105194949j:image庭に戻ると、アカタテハが飛んで来ました。放ったらかしになっていたオレガノ・ケント・ビューティを切ろうとしていたら、怖がらずにそばを飛び続けて私の肩にまで しばらく止まってくれました。

ちょっと(いえ、かなり) お見苦しい環境で 日向ぼっこの蝶々にはお気の毒ですが…。秋らしい色合いの翅ですね。

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連れ合いが 新潟へ用事で出かけました。写真の丸いタンクの上辺りに 八海山が写っているのだそうです。左に中ノ岳、駒ヶ岳が並んでいるのですね。

 

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伺った先でいただいたものもあります。自分で買ったお土産のお米は義弟に、小さな大吟醸は息子にと渡していました。

f:id:snow36:20201107222221j:image息子の八海山を少しお相伴させてもらいました。すっきりと飲みやすくて常温でも美味しいお酒ですね。

 

これからの季節の水炊きには欠かせませんので、私は かんずりが一番嬉しく思いました。

写真には半分しか写っていませんが、右端の かんずり酒盗には嵌ってしまいました。カツオの内臓に合わせたかんずりが 唐辛子と麹と柚子でできたものだからか辛みも柔らかで旨みが豊かです。

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笹団子は、清涼な香りがする笹で包んで藁で結えてあります。端を持って引くと するっと解けます。結び方を面白く思いました。ヨモギのお団子はもっちりと柔らかくてこし餡は素朴なお味がします。あっさりとしていて 美味しくいただきました。

 

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娘から どんぐりの写真が送られてきました。

コロナのために あまりお出かけができないので、1歳児のクラスも秋を楽しめるようにと 拾ってきて煮沸したものを園庭に置きます。みんなでささやかなどんぐり拾いです。

すぐに口に入れてしまう年齢なので、目が届きやすくするために、9人をいくつかに分けてやってみたそうです。

みんな 顔を輝かせて、何やらお喋りしながらにこにこと小さな手で拾っていたとのことでした。

そろそろイヤイヤ期に入るお子さんもいたり、お迎えを待ちかねて夕方に機嫌の悪くなるお子さんもいるようですが、

どの子も とてもかわいいと言います。

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先日、就活中の大学生が生まれたばかりの赤ちゃんを公園に埋めてしまった事件を聞きました。電話をかけてきた娘とそのことについて少し話しました。

どんな事情があったのかはわかりませんが、お腹に命が育つ感覚を長く持ちながら、相談できる人がいなかったのなら 辛い日々だったでしょう。相談する必要すら感じなかったとまでは思いたくありませんが、そうだとすると あまりにひどいことです。

たとえどうすればよいのか分からなくなっても、居ないことにできるものではない現実です。

生まれてきたばかりの命をなぜ手にかけてしまったのか。

その先を考えてみることはできなかったのか。

心が痛みます。

娘とふたりで亡くなってしまった赤ちゃんのことを思いました。

 

保育士さんは皆さんそうなのでしょう。就職して2年目の娘も 担任している子どもたちの服を畳む時に 匂いで誰のかがわかると申します。着替えた服に名前が書いていなくても 柔軟剤の香りに紛れていてもわかるのだそうです。親御さんなら尚のことでしょう。

どんな理由があったとしても、お母さんとして赤ちゃんを可愛がってほしかったと言っていました。時に面倒でも疲れてしまっても 子どもが一歩一歩と成長していく喜びが きっとわかるのに。

 

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暗いお話になりまして。次回は、西国三十三所のひとつのお寺へ伺ったことを書いてみようと思います。山の上のお寺では紅葉が始まっていました。

今日もご覧くださいましてありがとうございます。

 

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「葉鶏頭 池に沈みし百の蟹 兜子の句」(210×300m/m)  玄玄・時雨月・一休寺 赤尾兜子

 

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「自分の中に神が宿っていることを意識して 神とともに神の中に生きることだ そして 言葉で神を定義しようなどと試みないことである トルストイの言葉」トルストイ  村上翔雲 書

秋の日。少し遠出をしてみる (2)

こんにちは。

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最近の朝は深い霧で、7時過ぎになると漸く辺りに薄明かりが射してきます。

 

農道脇や 我が家の近く薬師堂の丘の下の石垣では、2週間前には彼岸花が並んで咲いていました。今はヨメナが咲き始めています。素朴で愛らしい姿は 色の寂しい秋の野の景色に優しさを添えます。

f:id:snow36:20201027143244j:image水路の花。

 

f:id:snow36:20201027144955j:image石垣の花です。

 

 

🌿

これまで 2、3度書いたことのある場所に出かけました。よろしければどうぞお付き合いくださいね。

 

京都市内から、京丹後市へ向かう途中 由良川の辺りは 本降りとなり山あいの集落は、雨のなか白く靄んで霧のような雨粒が車の窓に降りかかります。

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やがて日本海側に出るまで 厚い雲に覆われたり薄日が射したりを繰り返す空の下を走り続けます。

 

🌿🌿

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丹後半島にある海辺の宿に着くと 道路沿いの藪に薄紫のツリガネニンジンの花が咲いていました。

f:id:snow36:20201027143416j:imageたしかに 冴え冴えと冷えた秋の音色が チリンと聞こえてくるような気持ちがします。(梨木香歩さんの「家守綺譚」が好きなのです)

 

 

こちらは家庭的な雰囲気のお宿で 板前さんのご主人が作られる美味しい海のお料理がいただけます。

お宿が掘削された温泉は、かけ流しのアルカリ性単純温泉で、柔らかなお湯です。

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ホームページの写真をお借りしました。お天気が良ければ 眼前に水平線が長く延びる海のさざなみの音を聞きながら お湯が溢れる露天風呂で寛ぐことができます。海に浸かっているようで不思議な気持ちになります。

 

この日の天候は回復することなく 美しい夕陽は昏い雲に沈み込んでいました。雨は止んでいましたが、波が高く 眼下の岩礁にも打ち寄せています。冬が近くまで来ていると感じます。

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f:id:snow36:20201027150158j:image潮が引いてお天気がよければ そばまで行っていろんな生き物が見られる潮溜まりです。

 

 

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カンパチと真鯛などの舟盛りや ジェノベーゼソースのかけられた白身の魚(教えていただいたのに忘れてしまいました)のサラダ、天ぷらやノドグロの塩焼きと いつもの変化に富んだ楽しいお料理が続きました。

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海を眺めていると 沖にあった定置網が見当たらなくなっていて、仲居さんに聞いてみると以前から港の風が強くて操業し難かったそうで辞めてしまわれたとのことでした。代が変わられたのかもしれません。

 

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🍁

翌朝は 帰りに立岩に回って帰ることにしました。

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間人(たいざ)ガニで有名なところです。

 

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立岩は、京都府のホームページによると 20mの高さがある柱状玄武岩とのことで、鬼退治伝説があるそうです。柱状節理と言えば、ここからそれほど遠くない鳴き砂の海岸に迫り出している壁のような岩も横縞の模様でした。

 

私たちだけで誰もいませんでした。

そこに アカツメガニが ふいと現れました。みんな十分なおとななのに 子どものように大騒ぎです。

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可哀想にびっくりしてカニ走りで動き回るカニを写真に収めようとしますが、どうしてもブレてしまいます。

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駐車場は危ないからと カニには早々に茂みの中へ行ってもらいました。

あまり観光はできませんでしたが、久しぶりに子どもたちと旅行ができたことが嬉しく思いました。取り立てて何か特別なこともないささやかな我が家ですが、普段のことなどいろんな話をして楽しく過ごしました。みんな元気なら それで十分ですね。

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GoToトラベルの割引以外にも 地域共通クーポンをいただいたので、お土産と地元のお酒を買って帰りました。

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🍂🍁

京丹後市から帰って来ると、友人が黒枝豆を届けてくれていました。直売のお店に並んでいるようにたくさん置いてありました。お礼の電話をしてから 急いで豆を取り 水を何度も取り替えてもみ洗いをしました。焼き枝豆にする分を少し残して、大鍋2つで2回に分けて茹でました。

こちらは今日また改めていただいた黒枝豆です。

f:id:snow36:20201027143631j:image田舎田舎してまして、お恥ずかしいですが…。やはり時を移さず下処理をして湯掻いてジッパーつきのポリ袋に入れて冷凍します。

 

有名な丹波の黒豆が育つのは、霧の多い気候のおかげと数日前の新聞で知りました。若い枝豆のさやは霧で潤い 昼間の乾燥した日差しで実を育むそうです。

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丹波篠山市ではないのですが、こちらも山あいの盆地で 冷え込んだ秋から冬にかけての朝 濃い霧に包まれていれば、その日は爽やかな晴れが約束されます。ふっくらと大きく甘みが特徴の黒枝豆はこの季節からの贈り物です。

 

💐

秋明菊が輝くように咲いています。こちらは ご近所の歯医者さんの畑の隅です。朝 霧の抜けた新しい光を受けて一心に無垢な白い顔を向けていました。

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我が家の花は やっと蕾が膨らんできたところです。

小さいながら秋明菊に似た花を咲かせるアネモネ・シルベストリスも 春に続いてもう一度咲いています。

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この花々を見ると 思い出して心が温かくなるひとがいます。一輪の花にも思い出は重なり、忘れ難い記憶になっていくのですね。

 

ご覧くださいまして ありがとうございます。

どうぞ楽しい日々をお過ごしくださいますように。

 

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「荒たへの藤江の浦にすずき釣る海人とか見らむ旅行くわれを」(69×69.5cm) 柿本人麻呂 詩

 


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「みほとけといちりんの菊いや澄むも 三樹彦の句」(45.5×69.5cm) 伊丹三樹彦 句   村上翔雲 書

  明石市立文化博物館 所蔵 2点とも(作品 8・24)