こんにちは。
久しぶりに雨が降って 靄がかかります。静かな雨の中で 近くに うぐいすの長閑な唄と、遠くで ひばりの賑やかな囀りが重なるように聞こえてきます。
先週 京都府京丹後市の琴引浜へ行って来ました。去年の10月にも伺ったお宿は 日本海に面した窓から、美しい夕日が望めます。
夕日にはまだ早い3時頃に着いたので 持参の長靴を履いて出かけます。岩礁の眺め。潮溜まりに行きます。
岩礁は、風や波に晒された鋭い岩肌の山の続きにあります。危ないので そこを通ることは避けて、なるべく歩き易い道を探します。
岩礁にある 潮溜まりは、いろんな生き物との出会いがある とても楽しくて 素晴らしい場所です。我が家の息子も 小学校の頃に夏休みの自由研究のテーマにしていました。今でも大好きだそうです。
岩礁は、ところどころコンクリートで固めてありました。年月の経過で 藻が被っており、濡れた藻の上は滑るので 避けて歩きます。
足首辺りまでの深さの潮溜まりが、雲ひとつない青空の下に広がっていました。時折、波が白く打ち寄せます。
ここには、小さな世界があります。
そっと覗くと、小魚の群れや ヤドカリ、小粒のウニがたくさん。アイナメやフグも見かけましたが撮れませんでした。
いずれも水の中です。日本海は 美しいです。
10cmほどのウミウシがいました。いろんな種類がいて小さくてきれいな色をしたものも いるそうですね。こちらで見たウミウシは、ちょっと雑な表現ですが、なまこのような体に かたつむりのような頭をしていました。動きがゆっくりなので 体を伸ばしたり、縮めたりする様子がどこかユーモラスです。
時間が ゆっくり流れます。
しばらく遊んだ後、単純温泉の柔らかなお湯のお風呂をいただいて、お料理は海の幸。平目や鯵のお刺身や ノドグロの塩焼き、銀ムツの包み焼きなど 新鮮で素朴なお皿が並びます。
お食事をいただきながら、夕日を眺めます。
移ろう空。波間に長く揺れる夕日。鮮やかに昏い水平線。
白く短い線は 飛行機雲ですね。
藍鼠の海へ潰れるように沈んでいきました。
翌日は、琴引浜の行き帰りで いつも気になっていながら、通り過ぎている「木下酒造」さんに立ち寄らせていただきました。
木下酒造有限会社 京都府京丹後市久美浜町 天保13年(1842)創業。
美味しいお酒「玉川(たまがわ)」を作っておられるところで、お宿でも 晩の食事の時に出されていました。お土産物屋さんにも卸されていますが、こちら限定のお酒がいくつかありました。
「ささやかなブログなので たいへん申し訳ありませんが、」と、お願いすると 快く 「いいですよ。どうぞ。」と写真を撮らせてくださいました。
以前は、酒蔵の見学の催しもされていたそうです。
見上げると、天井が高くて 季節の花の 大きな絵が飾られています。
大吟醸の棚と
熱燗用のお酒の棚。
冷蔵庫には、江戸時代の作り方で 作られた 極甘口のお酒もありました。
こちらの「タイムマシーン」が 江戸時代の復刻のお酒とのことですが、モダンな意匠の瓶でした。現在 杜氏さんは イギリスの方だそうです。
利き酒も4種ほどありました。
自宅用と、友人用に 買いました。
真ん中の 山廃純米酒 3年熟成。帰ってから いただいてみました。色は 淡い琥珀、ふわ と漂う豊かな薫りは 醪のように思いました。連れ合いは、紹興酒を思い出すと申していました。
あまりお酒に詳しくないので、お伝えするほどでもなくて申し訳ないことですが、燗がおいしいと聞いて 温めていただきました。薫りに迷い込むような印象がありましたが、それもやがて味わいに。角がなく飲みやすいお酒でした。薄暗い酒蔵の中で静かに時を待っていたのですね。
帰りに 木下酒造さんの入り口を撮らせていただこうとすると、こちらの家猫さん(かなり有名猫とのことです)が、くつろいでいました。
猫の首の辺りを撫でていると、連れ合いが驚いていました。いろんな方が 大切な家族の一員をかわいがっておられるブログを拝見しているうちに、抵抗がなくなりました。
自分が変わってきたことに気がつくようになりました。
かわいいと感じるようになったことを 皆さまに感謝します。
そして、何より この看板猫さんが自然でした。
久美浜辺りの道沿いには、上を平たく はつった梨畑に白い花が咲いていました。
時々、同じ仕立ての木に 明るい桃色の花が咲いていたのは、文字通り 桃だったでしょうか。
次回は、二週間ほど後にお目にかかります。
どうぞ 楽しくお過ごし下さいますように。
いつもご覧下さいまして、ありがとうございます。
「痩蛙 まけるな一茶ここにあり 翔雲かく」(150×75m/m) 小林一茶 句
「しんとろり こはくのいろの滴りの澄めば澄むもの音のかそけく 砕花の歌」(300×195m/m) 富田砕花 歌 村上翔雲 書